※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

【#599  女房貸します】

 

(本放送)1973年4月25日

(再放送)2016年8月18日

(脚本)西沢治

(監督)龍伸之介

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(西郷昭二)、

鑑識課員(田川恒夫)、関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、

鷲見刑事(柴田昌宏)、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

宗方奈美、宮浩之、真咲美岐、中島純一、照井湧子、塚田正明、木村修、ローズ牧、

福山象三、杉義一、奥野匡、丸山修、浅香春彦、佐伯徹

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

月30万円で、セックス、家事一切を受け持つ契約ワイフが現われ、

週刊誌のトップ屋が特ダネを狙っていた。

そして、ドブ川で、そのトップ屋の変死体が発見された。

リースワイフの実態とは!?

殺害されたトップ屋のフィルムから、

〇〇〇〇に出入りする〇〇〇の追跡フィルムが見つかった!

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇にありながら、

夜は〇〇〇〇して性倒錯の世界に下降して〇〇〇!

無気力な都会生活の中で抑圧された何かが解放された時、

悦楽と破滅が待ち構えていた!

そして〇〇〇〇を知ったとき、

〇〇の苦悩はいなり(註・怒り、か?)にも似た、

いちどおり(註・憤り、か?)に変わるのであった!

次回、「女房貸します」に御期待ください。

 

 

(備考)

・完全ネタバレになるので、上記(あらすじ・予告篇から)の何か所かを〇で伏せます。予告篇映像自体もマズイので、予告篇は一切見ないことをお勧めします。

 

 

(視聴録)

 

土手からドブ川に落とされた、週刊ポップ記者・日下直樹(浅香春彦)の死体が発見された。死亡推定時刻は昨夜12時、後ろから手を回されての扼殺であり、遺留品として、口にくわえていた繊維、「雨が降ると 体がうづく」と書かれた原稿メモがあった。死体をドブ川に投げ捨てた和服姿の女が手にカメラを下げていた、という目撃者(未詳)はいるものの、顔を見ていないため捜査の難航が予想された。週刊ポップに、関根部長刑事、鷲見刑事が出向いても、編集長・白坂(福山象三)のした非協力的な反応が、その表れだった。

 

しかし、ライバル誌・週刊ナイトを訪れた畑野刑事、石原刑事が女記者(未詳)から聞いた、リースワイフ・安西理恵子(宗方奈美)の話が突破口となる。また、理恵子と契約したこうえい物産社員・植木(宮浩之)、上司の営業課長・塩月淳之介(佐伯徹)の存在も明らかになる。どうやら、日下はリースワイフの特集で、昨夜は理恵子、植木の線を追いかけていて、この2人の写真を撮ったことが事件の発端であるとも考えられた。警察沙汰になるのを恐れた理恵子の線もさながら、塩月からの話で、植木が本日会社を無断欠勤していることもわかり、三船班は植木にも着目する。

 

そして、日下への情報提供の若者が姿を現わす。松木部長刑事、鷲見刑事が追跡するも自宅に逃げ込み、母(真咲美岐?)に助けを乞うが、表札から、この若者は塩月の息子・卓也(中島純一)であることが明らかになる。

特捜隊本部では様々に入り組んだ事件を議論するも、進捗の悪さに田中係長から、「今回の捜査は、最初からなっちゃいない!」とカミナリが落ちる・・・。

 

 

まず、当作の助監督は加島忠義、前作「#598 黄色い性の 風化」の助監督は稲垣信明です。なぜこのことから書き始めたかというと、作品の予告篇をつくるのはたいがい助監督で、撮り終わった作品中の場面から、あるいはカットされた場面から、決められた分数に合わせてフィート計算して予告篇を作成します。ただ、テレビ映画作品だと、前作の助監督が関わるケースもあるので、2人の名前を挙げました。

 

要は、予告篇が完全ネタバレで、興味を削いでしまうこと、この上ありませんでした。映像、ナレーションとも見ないほうが良かったというものです。東映chでは、2016年8月18日に、#598→#599と放映されたことで、完全にネタ明しになってしまっています(予告篇は#598本篇・エンディング表記が終わった後に流れます)。つまり、#599の完全ネタバレ予告篇直後に本篇放送ですから、初見のときは全然面白くなかったのが実情です。

 

上記の(あらすじ・予告篇から)のネタバレ部分、具体的には「殺害されたトップ屋・・・」のくだり以降は、全篇放送45分のうちの放送34分以降の部分です。視聴者のことを考えれば、そこまでやる必要があったのか?自分が(視聴録)でまとめたのは放送23分前後までということから、興味を引くためにはせいぜいここいらへんで止めるべきでしょう。

 

加島忠義助監督(後年特撮モノで監督になられたようです)か、稲垣信明助監督か、どちらが作成したかは今ではわかりませんが、1週間後に#599放送ということで、気を抜いたのか!? ともあれ、せっかくの作品の興味を削いだのは間違いはありません。もし再々放送を見ている人がいたら、#598のエンディング終了直後に電源をOFFにして、時間を見計らって電源ONのうえ#599を見てください。欠番分の放送が無ければ、2話分セットでの#598→#599の連続放送となることは確実だからです。

 

こういうこともあり、再見は約2年経過してからということもあり、できるだけ脳内をリセットして観賞しました。内容は面白く、脚本・西沢治の久々の力作です。

現在では真相に対して、割と納得できる部分もあるとは思いますが、44年前の放送当時ではまだまだ世間の目は厳しいのではと推察されます。取調室の、三船主任、関根部長刑事、松木部長刑事の顔色、発言からもそれはうかがえます。ただ、いくら納得できるといっても、関根部長刑事のいうように「人殺しをしてまでも、こんな〇〇をしたいのか」というところは同感で、せいぜいカメラを取りあげるまででしょうね。

 

全般的には、「こんな場面あったか?」と感じる証言など不可解な部分は有りながらも、34分過ぎから大きな展開が起こります。そして、勢いよく大団円に向かい、ラストの夜のなんとなくほっこりした場面に繋げるなど、非常に面白い一篇。龍伸之介監督としても、久々に会心の作品を取りあげたのではと感じました。

そして、序盤のマンション内の場面に、数秒付加する感じのカメラの場面も、あとあとから考えれば、上手く味付けしたなあと個人的にも「してやられた」とも思える、秀悦した場面です。また、怖い仕草をとる田中係長の話の中に、視聴者に対しても、意外なヒントを隠していたと解釈できるところもあるなど、面白い作品です。

 

それがゆえに、興ざめとした予告篇が、佳作どまりとしてしまったことには残念でなりません。

 

(2018年1月13日 全面追加)