※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#523  噂の町の中で】

 

(本放送)1971年11月10日

(再放送)2015年12月10日

(脚本)横山保朗

(監督)天野利彦

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

三船班は(備考)を参照。

 

(出演者)

北条清、松本紘一、美弥たか子、渡辺千世、宮浩之、浅茅しのぶ、高野真二、

高津住男

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

数年前、酔っぱらって残虐な殺人事件を起こし、

町中から人殺し一家と罵(ノノシ)られ町を出て行った犯人の息子が、

ある死体を抱いているところを発見され、

その男を追って町中が狂気の渦の中に巻きこまれていく・・・。

さらに、病の身を町の一隅にかくまわれていた母親は、

見つけられ引きずり出される。

両親の仇(カタキ)と執拗に追い続ける、男とその従業員たち・・・。

逃げるように町を出て行った男が、再び舞い戻ってきた真意は何か!?

ある殺人事件を通して、噂の中に舞い踊らされる人間の弱さを描く、

次週、「噂の町の中で」に御期待ください。

 

 

(備考)

・劇中に、特捜隊メンバー(男優名)の表記、三船主任(青木義朗)、畑野刑事(宗方勝巳)、関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、白石刑事(白石鈴雄)、石原刑事(吉田豊明)、がされている。

 

 

(視聴録)

ある町ではかつて、大工・相川こうたろうが塩沢建設に乱入、社長夫妻、お手伝いの3人を殺害する事件があった。理由は、飲み屋・喜代で勤める妻・綾子(浅茅しのぶ)が、女将(渡辺千世)から店の金を持ち逃げ・店の客と駆け落ちした事件の八つ当たりであった。

こうたろうは裁判中に病死、息子・よういち(北条清)は学生時の不行跡で少年院送りと、町の人々から相川家への怨嗟の記憶は消えなかった。特に、塩沢建設では、両親を殺された娘(美弥たか子)は冷静を保っているものの、弟・のぶお(松本紘一)、殺されたお手伝いの息子で塩沢建設の従業員・手塚(高津住男)からは、その思いがなかなか消えなかった。

そして、4年後のある夜、町の駅のホームでよういちが目撃される。よういちは逃走するが、話を聞いたのぶおは、猟銃を持ち出し会社の車で追跡。そして町の住人で、村山という後家さん(未詳)を抱えているよういちを発見するが、のぶおの発砲で再び逃走する。

現場到着した三船班は、所轄刑事(宮浩之)から村山は死亡、村山は娘(松本ユカ?)の子供の具合が悪く医者を呼びに出たところ事件に遭遇したと報告を受ける。さらには、この娘は学生時代によういちから「乱暴」された過去があった・・・。

 

事件としては、「8分の差」があっさりと語られることに物足りなさを感じますが、人を描くという点ではなかなか面白かった作品です。親の因果が子に報いとはいうものの、ここまで偏見な目でみられた人間はどうなるのかという点でも興味深い。ただ、見る目のある人に巡り合わないと這い上がるのは難しいのも現実にはあり、当作では三船主任と「とある人」の存在が大きかったと、見終わったときに感じました。

 

個人的には、村山の事件をきっかけに、よういちの学生時代の不行跡に追及したほうが、土曜ワイド的になって面白かったと思います。ただ、この点よりも(ラストを盛り上げる意味からも)親子の情愛に重点を置いたこともあり、手をつけなかったのでしょう。

ちょっと不思議に思うところは、町中の風景と、その他の風景が、アンバランスなこと。どうみても町中は開けているのですが、道路や駅周辺は田舎の雰囲気で、山中が出るに至っては「町中から山がみえなかったぞ」状態でした。看板から推察すると、町中は西武池袋線・ひばりが丘駅周辺で、その他は奥多摩地区での撮影なような気がしました。

 

さて、当作は横山保朗脚本、天野利彦監督によるもので、かつて「#507 歩行者天国」を、新生・特捜隊の要望に息絶え絶えながらも完成させた2人と評しましたが、すでに3か月経ったこともあり、ようやく新生・特捜隊を手の内に入れた感があります。

横山保朗は、とにかく出演者や場面に見せ場を作る(当作では、三船主任でありラストの大格闘)。天野利彦は、とにかく勢いをつけてラスト大団円に向けて視聴者を引っ張る(当作では、再捜査と町の人たちの怨嗟の描写)。これが、上手く噛み合ったのが当作なのでしょう。

 

#513 その夜の女」のように、各人に見せ場の役割分担するのも面白いですが、当作のように絞りに絞ってラストで一気に盛り上げるのも一考。初めての実見のとき、三船主任のみせた「いい顔」は、今でも印象に残っており、ほかの捜査主任には出せなかったと感じました。

 

(2017年12月1日 全面追加)