※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#507  歩行者天国】

 

(本放送)1971年7月21日

(再放送)2015年10月15日

(脚本)横山保朗

(監督)天野利彦

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

関根部長刑事(伊沢一郎)、田中係長(山田禅二)、石原刑事(吉田豊明)、

白石刑事(白石鈴雄)、畑野刑事(宗方勝巳)、水木刑事(水木襄)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

山根久幸、加藤真知子、中原功二、駒村クリ子、平松慎吾、若原初子、桜井とし子、

由起艶子、岡部健、坂本長利、長岡初恵、加藤正之、榛名潤一、川瀬秀之、神哲也、

井関栄子、弘松三郎、長谷川弘、山本廉

 

 

(あらすじ・予告篇から)

 ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

歩行者天国、この楽しかるべき休日に、

誰かが自分をつけ狙っているとしたら・・・?

幸せな家庭の妻に、ある日突然訪れた恐怖。

それは、信じきっていた夫に女がいた、

しかも、その女に子供が!?

そして、自分の女を盗られたと復讐に燃える男の脅迫・・・。

殺人、

営利遺棄(註・備考参照、嬰児遺棄のこと)の容疑をかけられ、

窮地に立つ夫・・・。

だが、歩行者天国は、そんな夫婦の苦しみも知らぬうえに、

今日も多くの人々を飲み込んでいる・・・。

次回の特別機動捜査隊、「歩行者天国」に御期待ください。

 

 

(備考)

・白石鈴雄演じる白石刑事が、初登場の回。

・上記の「営利遺棄」の表現の意味が不明。

(追加)その後、2017年11月10日、コメント欄・「黒ぼう」さんから「嬰児遺棄」ではないかと指摘を受けました。再度、DVDを確認したところ、聞きとれましたので訂正いたします。

当方で、営利誘拐、が先入観としてあったため「営利遺棄」などと聞こえたのかもしれません。失礼いたしました。

 

 

(視聴録)

五十嵐修(山根久幸)、千恵子(加藤真知子)の若夫婦は新宿の歩行者天国で知り合ったことがきっかけで結婚、千恵子は妊娠中でもうすぐ出産を迎えようとしていた。そんな折、修のおじのスナックへ行った千恵子は、久仁子という女(駒村クリ子)から修の子を身ごもっていると伝えられる。そればかりか、放心した千恵子に追い打ちをかけるかのように、帰り道の夜、車で連れ去られてしまう。

翌朝、ゴミ集積場で清掃員が遺棄された赤ん坊を発見・通報、現場に急行した三船班は赤ん坊を病院に搬送する。さらに、一緒に発見された傘の特徴が、捜索願を出した五十嵐修の妻・千恵子の所持品と一致しているところから、五十嵐夫妻の住む東西建設社宅へ向かう。修は外出中であったが、かかってきた電話に三船主任が出たところ、望月久仁子の亭主と名乗る男から千恵子の誘拐、身代金500万円を要求される。捜査すると、男は前科3犯・望月竜男(山本廉)と判明、さらに前日には東西建設に久仁子が訪ね、守衛(長谷川弘)、修の同僚・及川かつみ(中原功二)の証言で、その後久仁子は修のおじのスナックへ向かったという。

修への疑いも捨てきれない中、三船主任は、下水道で女の他殺体が発見されたとの報告を受ける・・・。

 

当作は、新生・特捜隊の人間を描くスタイルへの過渡期の作品として、伝統的な「事件」的脚本をいかに「人間」的脚本にするかという横山保朗の苦悩が見え、さらに「#494 娼婦の流れ唄」「#503 純愛の海」自己の得意演出を見出した天野利彦にオーソドックス演出を求められたものといえそうです。

つまり、新生・特捜隊の要望に応えながらも、息絶え絶えゴールインした感じです。

 

それでは出来はどうかというと、これがなかなか上手く仕上がっており、事件:人間とも五分五分のバランスをとっています。そして、最初と最後のシーンで、題名の「歩行者天国」を強調、事件の悲惨な結末とは別に未来に向けて、はばたく姿を描いているのは新生・特捜隊の「人間」を描く姿勢を明確にしているように思えました。

ただ、長所短所も無く無難に仕上げたということは、逆に言えば個性が見当たらないことにもつながり、それは「いつもよりも意外におとなしい三船班」を目立たせることとなります。三船主任の電話の受け答え、急におとなしくなる望月竜男の態度など、何かいつもと違うなと・・・。

 

ただ、これが奏功したか、天野利彦監督は里見浩太朗主演1作目「#512  高倉主任誕生」の演出に抜擢されることになります。

 

(2017年11月29日 全面追加)