母の手 | ネコのつぶやき

ネコのつぶやき

家族、仕事、趣味、ネコの話し・・・のんびり、まったりとした時間をご一緒にどうぞ

いのちの記憶  かぐや姫の物語



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


の上では立秋らしいですが
今日も溶けそうな暑さでした。
何か、夏らしいことはされましたか?


先日、長男君がフラリと帰ってきました。

「これ、直せるかなぁ?」

持って帰って来たのは
随分と前に母が長男君のために縫ってくれた作務衣でした。
彼のお気に入りでかなり使い込んでいることもありますが
経年劣化?で糸が弱ってきたのもあるのかもしれません。

あちらこちらにほころびができた作務衣に
久々に再会しました。

「おばあちゃんが縫ってくれたこれが一番着やすい」


引っ越し荷物の中にこの作務衣も入っていたんだ・・・と
新しい生活を始めても、この作務衣を着てくれていることが
とても嬉しかったです。



IMG_20160807_193200939.jpg



母は昔から器用な人で
私も小さい頃は全て母の手作りの洋服を着て育ちました。
自分の服をリフォームしたり
かわいい生地を見つけてきては縫ってくれたり。

子供の頃は友達が着ている既製品の服がとてもうらやましかったのですが
今となっては、何にも代えがたい贅沢な服だったと
友達をうらやましがったことを申し訳なく思っています。


亡くなった父は
普段着は着物で過ごす人だったので
父の着物は全て母が縫っていました。

亡くなった父を見送る時に着せた着物も
母が父のために縫っていた大島紬の着物だったことを思い出します。


普通に着物が仕立てられる人だったので
作務衣の仕立ては片手間でも十分にこなせたようです。

まだ元気な頃に長男君の身幅を手で計って
縫ってくれた作務衣を
彼は未だに大切に着ています。



IMG_20160807_193143486.jpg


何度も洗濯しているので
生地もずいぶんと使いこなした感がありますが
長男君のお気に入りの作務衣です。
まず、襟の所から補修にかかりました。


あちらこちら、糸が切れてほつれています。
ペロンとめくれてしまっているところもあります。
針を運びながら、母が縫った後を見返しました。



ひと針、ひと針、丁寧に縫われた後をなぞりながら
切なくなってきました。

数年前に病気をした後、母は手元が動かしにくくなりました。
あれほど、毎日のように針を持って何かを縫っていたのに
それもできなくなりました。



この作務衣も、もう2度と縫うことはないのです。


私が同じ型紙を使って縫ったとしても
この糸の運びを再現することはできません。



もう一度だけでいいから
母に針と糸を持たせてあげたいな・・・




今まで普通にできていたことができなくなるって
とても辛いことだと思います。
それも大好きだったことができなくなるって
寂しいだろうなぁと思います。



思った以上に補修箇所が多いので
長男君にはしばらく待つように連絡を入れました。

そのしばらくの時間の間に
私は母の手を思い出しながら
もうあと何年か着れるようにお直ししたいと思います。


実家には縫いかけの着物があるんだろうなぁ。
今度行った時に探してみよう。
母に聞きながら、私が仕上げてみようかとふと思った日曜日の午後でした。




「障害者のママ達のお話お茶会」のお申し込みは
070-5463-8902
まで
「お茶会に行きたいです」とお電話ください。


メールのお申し込みはこちらまで → ☆申し込みフォーム☆





IMG_20160807_210114216.jpg

黒猫は写真に撮りにくいという典型のお方でごじゃります。シャイアさん。