塗り壁工事は、左官工法や湿式工法と呼ばれています。
壁にビニールクロスを貼り付けるような、水を使わない工法は“乾式工法”と呼ばれ、水を使う塗り壁工法は“湿式工法”と呼ばれます。
湿式工法は、左官職人が手で塗り壁作業をするので左官工法とも呼ばれています。
塗り壁工事と普通のクロス張り工事の違いは大きく分けて2つです。
それは施工にかかる“時間”と“施工費用”です。
まず一つ目の時間を見てみましょう。
私どもが取り扱っている漆喰(しっくい)は湿式工法で健康壁と呼ばれているのですが、その理由は壁が呼吸する、「調湿性」を持っているからです。
健康壁には漆喰の他にも珪藻土(けいそうど)などがあります。
調湿性を持っている健康塗り壁は、左官職人がコテを使って手で塗っていきます。
材料である漆喰や他の素材を水を加えて練り、壁に塗りつけていきます。
塗り壁工法は壁に塗った材料が乾くのを待つ作業が必要です。
そのため、乾式工法よりも工期が長くなるのですね。
乾式工法ならば1日で終わるような平米数の工事でも、湿式工法だとプラス1日か2日くらい見ておいた方がいいでしょう。
次に二つ目の施工費用です。
塗り壁の施工費用に関してですが、一般的にクロス張りよりも値段が高くなる傾向にあります。
塗り壁の素材に何を使うかにもよるのですが、私どもが扱っている自然素材の漆喰の場合もクロス張りの施工費用よりも割高になります。
素材の価格に塗り壁を塗る職人の手間を加えると、どうしても乾式工法と比べて価格に違いが出てくるのです。
時間もかかるし、費用もかかる・・・
それなのになぜ健康壁である漆喰や珪藻土の塗り壁を選ぶ人が増えているのか。
近年、漆喰塗り壁を選ぶ人が増えている背景には、無駄な化学接着剤を使わずに済むからという理由があります。
漆喰は自ら自然に固まる性質をもっているため、余計な接着剤を使わずとも壁に塗った後に二酸化炭素を吸収しながら時間をかけて固まっていきます。
日本の家の95%を占めるビニールクロスには可塑剤(かそざい)が入っていますし、ビニールクロスを貼り付けるために使われる接着剤にはホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(V
OC)が含まれています。
このホルムアルデヒドを人が吸い込んでしまうと、シックハウス症候群を引き起こしてしまいます。
このシックハウス症候群という言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれませんね。
実はこのシックハウス症候群対策壁として注目されているのが、漆喰塗り壁なのです。漆喰にはVOCを吸着して分解する力があるという研究結果がでています。
健康のために塗り壁工法を選ぶ人が増えているのには、このような理由があったからなのですね。




