【白雪姫・現代風】
猫犬「はいどうも〜! わんにゃんにゃん! cats&docksapplauseです!」
犬「ちょっと待ってください、今回の登場の掛け声、わんにゃんにゃんになっているんですけど?」
猫「もっとインパクトがある方がいいと言っていたので、にゃんを増やしてみましたよ。いい感じですよね?」
犬「いやいや、増やすなら言っておいてほしいし、にゃんだけ増やすのではなく、わんも増やしていただかないと……」
猫「いや、それにしても気になることがあるんですよねぇ」
犬「おっと、またスルーですか」
猫「気になって昼寝に集中できません」
犬「しなくても問題ないですね」
猫「えっ? 何が気になるって? よくぞ聞いてくれました白雪姫なんですけどね」
犬「勝手に話しを進めはじめましたよ。まあいいんですけど、白雪姫の何がそんなに気になるんですか?」
猫「いえね、白雪姫って1812年に初版が出ているらしいのですが、まあ、今とだいぶ違うわけですよね。わかりにくいし」
犬「まあ、そうでしょうね。今は2021年の令和の時代ですから。でも、ディズニーさんのおかげでわかりやすく感動的な物語に仕上がっていると思いますけどね」
猫「いえいえ、ディズニーが長編アニメ映画にしたのが1937年ですよ、車のトヨタさんが創立した年と同じ昭和12年ですよ。それはもう若い子にはわからん!」
犬「まあそうかもしれませんけどね、名作というのは色褪せないものですよ。今でも白雪姫は名作でしょう?」
猫「それは間違いないですよ、でもね、今の子には分かりづらいんじゃないかな〜と思うわけですよ、魔法の? 鏡? でしたっけ?」
犬「いや、魔法の鏡はわかるでしょう」
猫「あと、ほら、あれ、毒?りんご?」
犬「毒りんごがわからないってどういうことよ? わかるわかる! りんごがわからん子はいないから!」
猫「七人の小人はまあいいとして」
犬「それが一番謎な存在だけどね」
猫「まあ、わかりにくい!」
犬「そうかなぁ?」
猫「せっかくの名作なんですから、もっと現代の子でもわかりやすい形にした方が白雪姫もバズると思うわけですよ」
犬「バズる?」
猫「人気がグングーンですよ!」
犬「白雪姫はそんなこと求めていない気がしますけど。じゃあ、どんな白雪姫にするんですか?」
猫「そうですね。白雪姫は若くて、とても可愛くて、スタイルバツグンで注目を集める存在ですね。歳は七歳とかになっていたけど、今はコンプライアンスの問題もあるので、十七歳ってことにしておきます。このことから考えるに、白雪姫は女子高生ですね」
犬「え、白雪姫はJKなの?」
猫「白雪姫はJKです。性格よし、容姿よしの人気者なのでスクールカースト上位のスーパーJKです」
犬「スーパーJK? わかりやすい設定になってます? それ」
猫「あと難解を極めてしまっているのが、魔法の鏡によるランキングシステムですね。これは難しい、現代っ子にはチンプンカンプンニコニコプンです」
犬「たぶんニコニコプンの方が知られていないと思いますけどね」
猫「魔法の鏡……自分の姿が写って、問いかけると反応がある、これは現代的に言えば、インスタグラムです」
犬「えっ、魔法の鏡って、インスタなんですか!?」
猫「インスタです。王妃は白雪姫に【いいね】の数で負けました」
犬「いいねの数で負けたの!?」
猫「そうです。美魔女である母親はインスタグラマーとして活躍をしていましたが、成長してきた自分の娘である白雪姫の人気の前に敗れてしまうのです」
犬「インスタグラムはJKである白雪姫の方が先に使っていそうですけどね」
猫「どうして!? どうして私の投稿にはいいねがつかないの!? フォロワーが伸び悩むの!? こんなに露出を増やして、セクシー路線で攻めているのに!」
犬「結構深刻に悩むんですね」
猫「投稿数も、投稿頻度も、私の方が多い。ハッシュタグだって工夫しているし、コメントにはちゃんと返信だってしている……」
犬「王妃さまマメだなぁ、何がそうさせるのか」
猫「それなのに……おのれ白雪ィィ! もう、殺すしかない……そう、毒リンゴで!」
犬「そんな短絡的な! 現代でそれをやったら犯罪になってしまいますよ王妃さま!」
猫「このリンゴのマークのついたパソコンで白雪にアンチコメントを送りつけて、ネット上から抹殺してやるわ!」
犬「あ、そういうこと? 殺すって、ネット上で?」
猫「ふふ、ハッカー顔負けの私の腕を甘く見ないことね! 電子の海の魔女と言われた私の本気を見せてあげる!」
犬「あ、魔女設定出てきた。っていうか、王妃さまシステムエンジニアかなんかなの?」
猫「王妃はあの手この手で白雪姫の評判を落とそうと奮闘するがうまく行かない……」
犬「それはなぜ?」
猫「それは白雪姫を守りプロデュースする七人組があったから。その名を【セブン・チルドレン】」
犬「名前ダサッ!?」
猫「セブン・チルドレンの力で守られていた白雪姫だったが、昼夜を問わない王妃の執念はついに白雪姫を捉える!」
犬「白雪姫の評判が!?」
猫「白雪炎上! いいね激減、フォロワーも離れる大惨事!」
犬「えっと、白雪姫は死んだも同然ってことですか?」
猫「セブン・チルドレンも成すすべがないと頭を抱えていた時、白雪姫のもとに現れる人影……」
犬「おお! 王子さまですよね!」
猫「あらわれたのは影響力も絶大なインフルエンサー。ハンドルネームは白馬の王子!」
犬「さっきから名前がダサいなぁ」
猫「インフルエンサーとコラボすることで白雪姫は見事に復活。以降は、王子とカップルユーチューバーとして大活躍するのだった……めでたしめでたし。どうですか? 現代版白雪姫、わかりやすかったでしょう?」
犬「ところで、このお話だと王妃さまは結局どうなったの?」
猫「王妃は、インスタをやめてティックトックへ乗り換えたのでした」
犬「もういいよ」
了
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