
現地消息筋によると、春節期間中でのテロ攻撃の情報が浮上したのは、中国西南部の雲南省昆明。北京の米国大使館が、現地在住の米国人や旅行客に注意を呼びかけている。これを受け、中国当局も治安対策を強化。全土の主要鉄道駅やバスターミナルなどに武装警察隊を配置した。
雲南省は、ベトナムやラオス、ミャンマーに隣接する国境地帯。習近平国家主席が主導する少数民族政策への反発を強める新疆ウイグル自治区出身のウイグル族の国外脱出ルートになっているともされる。
治安当局は、昨年5月から今年1月中旬にかけて、同省をはじめとする国境地域で、ベトナムなどに密出国しようとした800人超の容疑者を拘束したが、そのほとんどがウイグル族だったという。
現地事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「一部のウイグル族の過激派が、中国全土で反政府テロや武装蜂起を繰り返している」とし、こう続ける。
「ウイグル族過激派のメンバー約300人が、インドネシアやタイ、マレーシアなどの東南アジア諸国を経て、イスラム教スンニ派過激組織『イスラム国』に加わったとの情報もある。当局は、彼らウイグル族を始めとする国内の不満分子が、春節期間中に大規模テロを仕掛けかねないとみており、警戒レベルを上げている」
中国全土が緊張感に包まれている。