
勝久氏は同社の発行済み株式の18%を保有する筆頭株主。1月末に行った株主提案では、取締役候補に長男の勝之氏(45)が含まれている。
現社長の久美子氏側は17日、この提案に反対する意見を表明。「経営を再び混乱、不透明にさせ、企業価値と株主利益を毀損(きそん)する」と批判した。会社側の取締役候補には次男の雅之氏(38)が名を連ねている。
埼玉県春日部市の桐タンス職人の家に生まれた勝久氏は、大塚家具を創業し、会員制で販売員が付き添い家具をまとめ買いしてもらう手法で成長させた。
久美子氏は一橋大卒業で、富士銀行(現みずほ)を経て大塚家具に入社、その後、広報・IRコンサルティング会社の設立などを経て2009年に大塚家具社長に就任。入りやすい店舗作りをするなど路線転換したが、外資系のイケアや低価格路線のニトリなどに押されて業績は低迷。昨年7月に社長を解任され、勝久氏が会長兼務となった。
しかし、業績悪化は止まらず、14年12月期決算で営業損益が4億円の赤字(前期は8億円の黒字)に転落。今年1月に久美子氏が社長に返り咲き、3月の株主総会後に勝久氏が取締役から退任する人事を決めていた。
勝久氏には5人の子供がいるが、「父、母、長男」と「久美子氏と次男など妹や弟」が対立している構図だ。勝久氏が18%を保有する一方、久美子氏は10%弱の株式を握る創業家の資産管理会社の役員を務める。
今後は総会に向けて両者の委任状争奪戦が展開される可能性もあるが、カギを握りそうなのが米投資ファンドのブランデス・インベストメントだ。昨年末から同社株を買い進め、今年1月現在で10%超を保有しており、父と長女のどちらにつくかで勝敗を大きく左右する。両者の多数派工作への思惑もあって、ジャスダック上場の同社株は17日の市場で、前日から3・8%も急騰した。
ただ、市場関係者からは「創業家のもめ事が大きくなればなるほど、婚礼で家具を買う客は同社を敬遠するのではないか」と懸念する声もあがっている。