「数年後の私」主人公に物語 | 国際そのほか速

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「数年後の私」主人公に物語 
  • イラスト・安芸智崇
  •   山口大学の就職支援室には、約2600冊の本があります。

      就職活動の進め方を紹介した「就活本」だけでなく、企業の経営戦略の解説書、経営者の伝記、企業を舞台にした小説など、働くことをテーマにした様々な書籍が並んでいます。

      私は、これらの本を、キャリア教育の授業で学生たちに読んでもらっています。何を読むかは、本人たちにまかせ、感想文を提出してもらいます。逆境にめげず、一つのことをやり抜く働き方をよいとする学生もいれば、偶然をチャンスにした働き方に感動する学生もいます。どんな働き方に共感できたかで、自分の価値観を見つけてもらうのが狙いです。

      その後、今度は数年後の自分を主人公にした短い物語「キャリアストーリー」を、リポート用紙1枚程度に書いてもらう授業も行っています。

      「地方都市の百貨店に勤めた私は、自分の店にも商店街にも若い客がいないことに気づく。活気ある街にしたいと、周囲を巻き込み、プロジェクトを成功させ、街全体が元気になった」

      そんな物語を描いた学生もいました。自分が働くことで何かが変わっていく。そうした夢や希望を持って歩んでほしいと思い、キャリアストーリーを描いてもらっています。

      数年後、いや数十年後かもしれませんが、きっと社会を動かす一人になっているはず。先人たちの働き方を学ぶことで、自分の未来を描いてほしい。これも就職活動の第一歩です。(山口大教授)

      (2014年9月30日の読売新聞朝刊に掲載)