矢吹ゴルフ倶楽部 | ゴルフ場探訪記 in 福島

ゴルフ場探訪記 in 福島

震災と原発事故で大きな打撃を受けた福島県のゴルフ場、様々な歩みを体験リポートする。

矢吹ゴルフ倶楽部

2014年10月17日(金)



ゴルフ場は東北自動車道の矢吹インターチェンジより7キロのところにある。

インターチェンジに近く、交通の便がよい。


コース3


平坦な丘陵コースだ。標高差は22メートル。松林の中を、ゆったりとしたコースが広がる。フェアウエーの大きなうねりも自然の地形をそのまま生かしている。視界が広いため、伸び伸びとプレーができる。

しかし、決して楽なゴルフはさせてくれない。バンカーが巧みに配置されている。狙うポイントをしっかり定めておかなければ、思わぬ落とし穴に嵌る。

バンカーにつかまると厄介だ。いかにバンカーを避けるかが、スコアメイクのポイントだ。

グリーンはベントの1グリーン、大きくアンジュレーションがある。


印象に残るのはアウトの5番。
5番ホール
やや右ドッグレッグのミドルホール、セカンドからが要注意だ。グリーンの右手前に落とし穴がある。しかもフェアウエーが絞られていて、セカンドの距離が足りないと右下に転がり落ちて行ってしまう。セカンドの距離感が試される。






インの17番も距離感が勝負だ。やや打ち下ろしのショートホール。
17番ホール
グリーン手前には大きな池が待ち受けている。風の影響も受けやすい。クラブ選択がカギだが、まずは自分の腕に自信を持つことが先決なのだが・・・・

視界が開けているだけに距離感をつかむのが難しい。

池のプレッシャーは予想以上に大きい。






インの18番のロングホールも気になるコースだ。
18番ホール
距離はたっぷりある。ここはコースの右側にトラブルが待ち受ける。とりわけ第3打。グリーンを狙う地点で手前に高い樹木、グリーン手前に大きな池、グリーンの左右にはガードバンカー、こんな状況になりやすい。木越えを狙うにはあまりに背が高い。低い弾道で転がすには池が邪魔する。どう攻略するか、絶体絶命の状況をどう打開するか、頭の使いどころだ。



この日、雨上がりのプレーだったがコースは水はけが良い。メンテナンスが行き届いている印象を受けた。


巨匠は17番のショートで見事に罠にはまった。
巨匠
池を避けようとして右のバンカーへ、目測を誤るとしっぺ返しが手厳しいコースである。だが、ドライバーは絶好調、体を大きく使うことを心掛けているという。遂に開眼したのだろうか、ゴルフの開眼には閉眼がつきものと言うのが悩ましい。いつまで「開眼」を維持できるかがゴルフの奥深いところであろうか。



名人
名人は開始早々バーディ、絶好調に見えたがその直後に大崩、天国と地獄の往復が止まらなかった。「今日こそは、後半こそは、次こそは」そんな思いが全身に漲っていた名人。だからこそ、いつまでも若くいられるに違いない。でも時折シニアティが恋しくなるようだ。




粋人はこのゴルフ場設計者の罠にはまり続けた。
粋人
その典型が18番、第3打で木越えを狙うが、距離が足りずに池に、リカバリーをピンそばにと欲張り、バンカーに。言い訳は昔も今もフォーム改造中ということだった。改造を重ねても進歩がみられない。本当は退歩しているのだろうか、そんな疑いも湧いてくる内容だった。


矢吹ゴルフ倶楽部は自動車音響機器メーカーのクラリオン系列のゴルフ場として1991年(平成3年)にオープンした。

福島県では珍しくいつでも予約の取れる法人専用の高級倶楽部をコンセプトに縁故会員3000万円を300口で募集が始まった。300万円の内訳は入会金500万円、預託金が2500万円、10年据え置くという内容だった。

最終の会員予定数は750口、大手の企業が会員に名を連ねた。


しかし、2001年(平成13年)ゴルフ場を運営していたベルビエが大幅な債務超過に陥る。10年間据え置きの預託金返還の負担に窮したのが大きな要因。

このため新会社のワイ・ジー・シーが営業権を引きついた。ワイ・ジー・シーは会員有志が設立したもので会員の権利、預託金の返還やプレー権を維持するためのものであった。新会社の運営は多くの会員の預託金据え置き期間の10年延長を前提としたものだった。
コース



ワイ・ジー・シーは労働者派遣などにも乗り出し、売り上げを伸ばしたが、ゴルフ場激戦区にあって、厳しい運営を迫られるようになる。利用者の減少、ゴルフ場同士の価格競争は収益の悪化を招き、債務が膨らんだ。


2006年(平成18年) ワイ・ジー・シーは東京地裁に民事再生法を申請。この時、負債は2億7千万円に達していた。



ワイ・ジー・シーを引き継いだのは、リゾートソリューション系列の投資会社「ウィル・インベストメント・パートナーズ」だった。ワイ・ジー・シーの解散に伴い、退会する会員は98.8%カット後、3か月以内に3.2%を一括弁済するというものだった。


2007年(平成19年) ウィル・インベストメント・パートナーズの系列に入った「矢吹ゴルフ倶楽部」は「スパ&ゴルフリゾート白河矢吹」に名称を変えて再スタートとなった。温泉と宿泊ホテルを持つゴルフ場をアピールするためだった。



2010年(平成22年4月)経営が韓国系に交代する。
コース2

フェニックス・カントリークラブがウィル・インベストメント・パートナーズからすべての株式を買収、矢吹ゴルフ倶楽部を傘下に治めた。

フェニックス・カントリークラブは不動産管理などを行う韓国企業で、その日本法人が運営することになった。

そして、2013年(平成25年)ゴルフ場の名称は「スパ&リゾート白河矢吹」から「矢吹ゴルフ倶楽部」に戻った。