出だしからもう、唸ってしまいました。(小さなタブレットで見た)横浜2日目プロローグのロミジュリ。
17歳のロミオが、大スクリーンに映し出された明るく真っ白なリンクで懸命に舞う。そのシットスピンの回転を繋ぐように、生身の27歳のロミオが、闇から静かにスルスルと現れる。やはり回転をしているけれども、巻き起こす風の色が確かに違う。
こんなにも増した存在感。カリスマ。涙。
演技が進むにつれ、指先から肘、肩、背中へと流れるような柔らかで、優しさと包容力に満ちた27歳の、細やかで確かな動きに魅了されていく。さまざまな過去バージョンのロミオと比べて確実に円熟した表現力を十二分に見せてくれるものでした。特に美しい手指が作り出す美しさといったら。
厚さを感じさせる黒手袋をしていないせいもあったかな?
素手だったのはコンティニューも同じでしたね。でも、プロローグのロミオの際立って神経の行き届いた手指は、彼自身があの「ニースロミオ」に言及し、かつフィニッシュに人差し指を突き上げもしたコンティニュー版とは別の…若かりし頃の、アマチュア時代のニース伝説を吹っ切ったような、より意識的に行うプロの演技の象徴のように感じられました。
随所で目を引く、右から左、上から下、内から外へと、よりスムーズで調和した、工夫された全身の動き。流れるようでいながら、さまざまな長さと強さの音符がちゃんと1小節毎に収まっていると感じさせるようなフレーズの整い方。
この演技の揺るぎない精密さに、プロとして滑るロミジュリのなんたるかを見た思いでした。(その上3A3Tなんぞも雄大に美しく決めてしまうというね…さすがなのですよ、羽生プロは)