祝・プロアスリート羽生結弦の誕生 | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

記者会見と重なった休暇前後のバタバタのせいでなかなか落ち着いて考えをまとめることができず、やっと、やーっと、これを書いています。

 

スケーター・羽生結弦さん、プロアスリートへの転向おめでとうございます!スケートを続けてくださりありがとうございます!

 

決意表明、しかと受け取りました。取材陣が殺到する中、記者会見ではいつも通り言葉と礼節を尽くし、将来へのビジョンを語ってくれました。

 

平昌以降はボーナスステージ。ファンとしてそう肝に銘じてはいても、「Xデー」が来るのは怖かった。「決意表明の場」として記者会見を開くと知った時、それはほぼ間違いなく「Xデー」なのだろうと思ったけれど、「決意表明」という彼らしく前向きで力強い言葉の選択に、これから聞くことを受け止めるための勇気を既にもらったような気がしました。

 

そして…やはりチャンピオンは、プロスケーター転向に当たっても誇りを持ってフロンティアを開拓する使命を自らに課していました。

 

平昌後はルールに関して首を傾げるような変更や右往左往があったり、コロナ禍や怪我に見舞われたりで本当に大変なことばかりだったでしょう。それでも去年一昨年と2シーズン続けて全日本が初戦、しかもコーチ不在という前代未聞の逆境を、圧倒的優勝でねじ伏せました。「羽生結弦らしさ」を凄まじいばかりに叩きつけた最後2年の全日本は、今振り返るとどんな花道よりも尊いと思えます。

 

現行の採点システムは、五輪を連覇してなお成長し続けるレジェンドに相応のインセンティブを与えてくれるようにはできていません。伸び代と期待を与えられている立場と、両者とも飽和してしまった立場。演技の理想が高ければ高いほどリスクも高くなる。それでも、彼は迷うことなく段違いに精巧で音楽的な繋ぎに骨身と精神を削り続けました。そういうスケートはトレンドじゃないんだよね、というような保守反動とも言いたくなるような見方など、自分の中にしっかりとした芯や理想があればこそ、惑わされる訳にはいかなかったはずです。ジャッジ席に座る人々の評価を真剣に問うた最後のプログラムたちは、高難度ジャンプを詰め込まざるを得ない男子シングルというカテゴリーではほとんど不可能なほどの芸術的な高みと深みに達していました。文武両道を具現する羽生結弦らしい、彼の哲学と美学が詰まったこの二つのプログラムは、彼の選手生活の最後を飾るにふさわしい傑作に間違いありません。目まぐるしく変わる採点トレンドなど超越した技術と音楽性に支えられた彼の演技は、「フィギュア界」のみならず「社会」でずっと語り継がれるのです。

 

フィギュアスケーターとして自分が目指すべき方向性をプロトコルが示してくれなくなったら…。むしろそれらが進化への制約としか感じられなくなったら…。そうなったら、もはや競技にとどまるのはマイナスでしかない。一切の制約から解き放たれた羽生結弦の理想のスケートを、そして4Aの成功を、今は首を長くして待ち望むばかりです。うん、これからも全力で応援しますよ!馬の耳になんとか、とは思いますが、どうか体にだけは気をつけて、堂々と羽生結弦道を突き進んでいってください!