海外解説訳:平昌男子上位3人を中心に:CBCショート編 | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

順番が前後してますが、先日アップしたCBCフリーに続きショート編を。

 

動画はこちら(要串)

 

 

ゆづ

 

B:今ブライアンの前でフェンスを押して準備に入ったのは羽生結弦です。

 

K:握手。お馴染みの送り出し方だ。

 

B:会場を埋める羽生ファン。ユヅルの五輪への準備は理想からは程遠く、最後に出た試合は10月。怪我のため先月まで滑ることができませんでした。私たちが今週公式練習を見た限りでは、調子は戻っているようです。

 

K:彼は現世離れした(訳注:ethereal。ロビン・カズンズさん始め、羽生くんを描写する時頻出する単語。この言葉で賞賛される選手は羽生くん以外にいないと思う)スケーター。強烈な個性。彼のジャンプ構成予定表では1本目4Loとなっているが、僕は4Sと見てる。ウォームアップで3本トライしていた。(4S)サルコウ!パーフェクト!才能に溢れている彼の場合、クワドにも選択肢がある。その日調子の良いものを選べるんだ。美しい構成のプログラム。戦略的構成でもある。次の2本のジャンプは10%ボーナスを狙って後半に配置されている。(4T3T)最後のジャンプ!決めた!決めただけじゃない、アピールもばっちり!センス(flair)!流れ(flow)!あとは羽ばたく(fly)だけだ!訳注:ここでカート、キメの言葉の最初をリズミカルにFで揃えてるんですよね。偶然にしては出来過ぎなので彼の喋りの才能のなせる技かと)

 

C:今日は彼、フリークエントフライヤー訳注:マイレージプログラムのアレ)のポイントを全部取り戻したわこの演技で、怪我・欠場によるブランクを帳消しにしたという意味でしょうね。それにしてもカートもキャロルも元スケーターなのにプロ顔負けの喋り。それにひきかえ…ry)

 

K:この五輪にあたって未知の要素だった、元…いや、現五輪王者…あと少しの間だけれど…がやりました!

 

B:これが、なぜ彼が五輪王者で世界王者なのかの証です。(ディック・バトン連覇の話など・略)ワオ…!

 

(プーの話題。略)

 

K:彼の目下のタスクである五輪連覇に話を戻すが、彼には一部のロックスターたちのように舞台を支配する才能がある。こういう人たちは、他の人間が自分もひょっとしたら仲間になれるかも?などと考える能力すら突っぱねちゃうんだよね(キャロル笑)。ジャンプのフィニッシュスタイルですらそうだし、プログラムのフィニッシュポーズの決め方にもそれが出てる。

 

C:プログラムの始め方もよ。音楽が鳴っているけれど彼は全く動かない。それから、かすかに肩をすくめるだけなんだけど、それがとても意味深なの。

 

K:この4S、今週は6割ほどの成功率だった。クリーン。完全に回りきっている。タッチダウンもなし。美しい、弧を描くバックアウトのエッジ。スピンもうまい。フローもいい。そして…おお!ここぞという時に決められる!!難しいエントリー、ターンからの3A。だが、決定打であり、ライバルたちの棺桶に釘を打ち付けたのはこの後半のコンボだ。アクセルとこのコンボにはボーナスがつくんだよ。4T、これを見て。完璧な着氷ではないけど、だから何?(キャロル笑)。腕の変形姿勢、フリーレッグはちゃんと氷からの距離を取っている。そして着氷のガッツポーズも効果的。すごく感情が出ている。彼のスケートにはフィジカルなむき出しのパワーがあるんだ。

 

B:トロント郊外のオーサーとウィルソンの元でトレーニングをしています。(リプレイの足元を見ながら)どこかまずいところが一カ所でもありますか?

 

K:ノー

 

C:ノー。もしあったとしてもこの会場の誰にも見えなかった。

 

K:スクリーンによると一つスピンでレベルが取れていないね。

 

C:だけど技術的なことだけじゃないの。このプログラムはジェフ・バトルが作った傑作。絶えず何かしら動きがある。興味深い動きが。

 

K:動いている。だが性急さはない。

 

(点数発表)

 

 

昌磨

 

B:宇野昌磨。五輪・世界王者の羽生結弦の影から抜け出そうとしています。結弦のあのショート演技の後では非常に難しいでしょう。GPF2位、全日本優勝、そして団体戦では見事なショートを滑りました。

 

K:新世代のスケーターたちはクワドも跳べるしブレードを音楽に合わせる魔術師でもある。昌磨はその中でもベストの1人。

 

C:昌磨のスケーティングは力みがなくて柔らかい。滑りながら膝と足首が文字通り呼吸をしているよう。そうやってターンを撃破していくの。

 

K:音楽が次第にテンションを高めていっているところで、冒頭の4Fがちょっとした奇跡だったということは言っておこう。あんなのは今週全く見せてもらえなかったからね。だが、羽生結弦のスコアと戦うには最低でもクリーンに滑らなければ始まらない。全てを決めなければならないんだ。コンボに向かっている。(4T)クリーン(3T)クリーン!パーフェクトじゃないがクリーン。これで競争に残った。(3A)すごい傾き!どうやって堪えたんだ。まあ普段から着氷がオーバーローテーション気味だから、ああいう堪え方を常に練習していると言えるが、五輪という肝心な場面でそれができた。

 

B:(演技後)練習の滑りはベストではなかたけれど、五輪という肝心な場面ではまとめてきました。

 

K:(客席が映る)ホームの観衆かな?そんな感じだね。すごい数の日本の国旗だ。

 

C:彼(彼女)らは、スケーターたちが本当に好きで、世界中どこでも喜んでついて行くようね。

 

K:ファーストクラスの航空券でね。だって目的地に着けばこんなスケートが見られるんだからファーストクラスさ。

 

C:(リプレイ・4F)これはラッキーなテイクオフだったわね。トウが滑ってる。見て、あの膝!着氷を耐えている…(痛そうなトーン)

 

K:ふむ、僕の中の「潔癖家(purist)」は昌磨が10本中9本のジャンプをああやって体を開いて降りてくるという事実にちょっと不満を覚えるかな。これは大丈夫(4T)、まっすぐに保てたけど…左肩をスイングして着氷の時に左に開く。(3T)ここがちょっとそうなってる。僕が求めるピュア(純正)な着氷じゃないんだ。(4F連続画像)ここでも修正しているのが分かるね。いつもこうなんだ。これは彼のスケートの欠陥だ。この場合はプログラムがその欠陥に救われたけど。ジャンプの終了ポイントを過ぎているのに上半身が回り続けても大丈夫という能力。そして振り戻して着氷を救う。

 

(カナダ勢の話とキスクラ点数発表)

 

 

ハビ

 

B:さて、メダル候補の呼び声高いハビエル・フェルナンデス。2度の世界王者。4年前ソチでは惜しいところで台乗りを逃しました。先月6度目の欧州王者のタイトルを獲得。

 

K:スケーターの中で人気のスケーターの1人。4年前、メダルを逃したが、それはミスのせいではなく、一本余計にジャンプを飛んだからだった。(4T)落ち着いてる(3T)コントロールされている!いい調子だ。これまでに見た中でテイクオフに一番力みのない4S。軽くて早い空中の回転。2本クワドを跳んでしまえば後は気楽と思うかもしれないが、彼は3Aが危ないことがあるから…(3A) 今日は違う!わーお!

 

C:離氷前から着氷するのが見えた感じだったわ

 

K:その通り。

 

C:完璧ね。

 

B:オーサーのスケーターたちが今日は魅せてくれますね!まずは羽生、そしてフェルナンデス。6冠の欧州王者、素晴らしい。

 

K:彼は(聞き取れず)

 

C:(笑)私が今思ってたのは、ユヅルはガラスの城の王子様みたいに手の届かない人で、ハビは一緒にビールでも飲みたいごく普通の人ってこと。

 

K:その通りだね!

 

C:まるで大好きな映画を2本立てで観るみたい。それぞれ全然違うけどとても楽しくて、完璧!

 

K:彼と一緒に仕事をする時は、彼の強みが何かを心に留めておかなければならない。クワドではないんだ。いくらこのクワド(リプレイのコンボ)のように素晴らしくてもね。そしてスピンでもない。それは彼の個性なんだ。そしてマルティーニを注文されたら、ちゃんと作って客に届けるという能力(観客にコネクトする能力という意味だと思います。カートオリジナル表現?w) ポール・マルティーニが要求したように客に手を差し伸べる能力がある(意味通じないなーと思いつつpour martini にしか聞こえなくて。そしたら今日アップのPjさんのFBライブでPaul Martiniという名前が出たのにハッとして!調べたら80年代に活躍したカナダのペアスケーターさんだったんですね・汗。固有名詞で時々起こるミスですー。ずーっと気になってたけどやっと意味が通じました…。3月17日訂正)。彼に今まで会ったことのない人でも前から彼のことを知っているという気にさせられるんだ。なぜなら、彼のなすこと全て、偽りがなくてピュアだから。チャプリンを演じる時、彼はチャプリンになっている。

 

C:それに、誠実さも。どの演技も偽りがなく一貫してる。

 

K:どうしてこの演技がかなりの高得点になるかというと、全ての着氷で上半身がピュアだったから。修正をしていない。流れがとてもいい。こんなに難しいジャンプなのに簡単そうに跳ぶ。着氷の時の顔の表情ですらリラックスしている。

 

(キスクラ・略)

 

B:フリーを控え、ユヅルの点数になるべく近づいておきたいところ。

 

C:ユヅルは2本のジャンプを後半に跳んでるけどハビは1本というところが違うわ。

 

K:鋭い観察だね。

 

(略・点数発表)

 

 

以上。

 

 

 上位2人のジャンプが完璧だっただけに昌磨のジャンプの癖に対するカートの(いつもの)お小言が目立ってます。シニア3年目満了目前にしてなかなか癖が改善されないためか周囲の見方も厳しくなっている気がしなくもない。ちなみにジャンプの質の指標であるGOEの付き方。今回は以下の通りでした。

 

FS

ゆづ 10.49

ハビ 10.66

昌磨 2.37

 

SP

ゆづ 8.28

ハビ 7.14

昌磨 3.28

 

 ゆづハビ、あらためて別次元のホールパッケージ…。ワールド、彼らは不出場ですが、男子カテでもエレメンツの質が高い演技をたくさん見られますように!