NHK杯で羽生くんが達成したこと、海外のフォーラムや解説、記事を読むにつけ、想像以上にすさまじいインパクトと意義があったのだと、今更ながらひしひしと感じます。
この大会の二つの神演技が、男子フィギュアの新しい出発点であり、また、世界がゆづを新しく定義する物差しになりそうです。
というわけで、彼のN杯演技がもたらした衝撃がよく伝わる記事を一本翻訳してみました。
点数とパーフェクト演技の衝撃はもちろん、彼のぶれない生き方と姿勢が絶賛されている記事でもあります。
先日もお願いしましたが、リンクを一度クリックしていただければと思います。
寝落ちからふと目覚めた頭で一気に訳したんですが、誤字脱字等、大丈夫かな^^
元記事のリンクはこちらです。
Hanyu’s greatness confirmed at NHK Trophy
NHK杯:やはり偉大だった羽生
Jack Gallagher
正しい時間に正しい場所に居合わせる。人生には時々そんなことがある。
「アイスタイム(ペンネーム)」にとってはまさに先週土曜の夜がそうだった。
五輪チャンプの羽生結弦がその夜ビッグハットで成し遂げたことは、信じがたいと言うしかない。それは、スポーツと芸術の完璧な融合だった。
羽生はフリーを終え、 NHK杯の二日間で三つの世界記録を打ち立てた。まさに驚異的だ。
羽生にはすべてが揃っている。才能豊かなスポーツ選手かつ魅せるショーマンでもあり、そのうえ人間的にも素晴らしい 。
僕にとっては羽生こそが21世紀の日本人の理想像だ。
何をしても成功するであろう、無限の可能性を持った人間なのだ 。
1981年、読売ジャイアンツの原辰徳三塁手が、日本人男性のシンボルに選ばれた。日本で最も人気のある球団の最大のスターとして、それは当然の結果だった。
今なら投票さえ必要ない。今日アンケートが行われたとしたら圧倒的に羽生が一位に選ばれるに違いないし、彼はそれに値する。
フリーの216.07とショートの106.33を合わせた合計322.40という総合点は、史上最高のスコア。羽生は300点の壁を越えたはじめての選手であり、3度の世界王者であるパトリック・チャンが持っていた295.27という過去の記録を木っ端微塵にしてしまった。
その夜、私はホテルへの帰途につきながら、ひたすら「信じられない」と独り言を繰り返した。
間もなく、大会を見た世界中の人々から続々と称賛の声が寄せられ始めた。
CBCのフィギュア解説者、キャロル・レーンは、ツイッターに「今日羽生結弦がフリーの世界記録を破ったのを見られたのは特権だ。真の達人。世界に手本を示した。リスペクト」と書き込んだ。
先週、31年間、記者を務めたシカゴ・トリビューンを辞めたばかりの伝説的スケートライターのフィル・ハーシュも、こうツイートした。
「もしこれが五輪で起こっていたら、人々は何十年にもわたって語り続けたことだろう」
土曜日の羽生の輝かしい演技について、ハーシュとあるフォロワーの間で面白いやり取りがあった。
「見事だったが、高橋大輔やヤグディン、ランビエールに比べ、彼にはカリスマが欠けている。彼は芸術的だが芸術家ではない。」と、そのファンがリプライを送った。
挑戦されても決してひるまないことで知られるハーシュは、間髪入れずに次のように返した。
「彼のカリスマは、98年のリピンスキーと同様、ジャンプとエネルギーから発するものだ。圧倒的アスリート性は芸術たりうる」
アーメン。
3度の全米王者でNBCの解説者、ジョニー・ウィアーは、「ゆづくんがとてつもない世界記録を出した!322点以上だ!誰もかすりもしなかった点数だ。ブラボー!」とツイートした。
長年、スポーツ記者として過ごしてきたアイスタイムは、これまで何人もの偉大なアスリートをこの目で見るという幸運に恵まれている。
サッカーのペレ、ボクシングのムハマド・アリ、バスケットボールのウィルト・チェンバレン、アイスホッケーのウェイン・グレツキー、アメフトのジョー・モンタナや、野球のウィリー・メイズなどだ。
彼らは各々の分野における巨人であり、超えることのできない選手だと考えられている。長期にわたって王座を占めていた。
もし羽生がこのような演技を続けるなら、彼らの仲間入りをするチャンスがある。
ジャッジの判定に委ねられるフィギュアスケートを、真のスポーツではないという意見もあるだろう。しかしそのような意見にはまったく根拠がない。
ジャッジは時にミスを犯すこともある。しかし選手たち自身はまぎれもなくアスリートなのだ。 フリーで見た羽生は、疑いもなく、そのスポーツの頂点に立つ 絶好調の人間そのものだった。
あらゆるスポーツの中で最もハードとされるNHLの選手たちに、ヘルメットもパッドも付けずにフルスピードでリンクを滑り、4回転を跳んでくれと頼んだとしたら「バカなことを言うな」と言われてしまうだろう。
羽生は二日間で5回のクリーンな4回転を降りた。もし彼がアスリートではないと考える人間がいたら、その人間は明らかに現実を見ていない。
まだ時期尚早ではあるが、五輪金メダルやシニアとジュニアの世界タイトルを持つ羽生は、まだ何年も現役生活を残しており、いつか、史上最高の男子スケーターとして語られる日が来るかもしれない。
これまで複数の五輪金メダルを獲得したのは3人の男子選手だ。スウェーデンのギリス・グラフストローム(1920、1924、1928)、オーストリアのカール・シェーファー(1932、1936)、そして、アメリカのディック・バットン(1948、1952)だ。
ファンとメディアは、羽生の陽性の性質や機転、勤勉さが大好きだ。ネガティブさがはびこる今の世の中で、ポジティブな気を発する人間は、人に元気を与えてくれる。
去年、上海ワールドで自分を制して優勝したトレーニングメイトのフェルナンデスに対し、羽生は心から喜びを見せていた。まさに羽生らしい振る舞いだった。
広い心を持った偉大なアスリートなのだ。
2018年の平昌五輪まであと2年と少し。羽生が土曜日に見せたようなスケートをすれば、金メダルを再び手にして、フィギュアスケートの不滅のレジェンドとしてパンテオン入りするだろう。
彼はそれにふさわしい優れた人物だ。
以上。