思いがけずアスコリを楽しんだあたしは、16時30分のローマ行きバスに乗るため、駅へ向かった。
少し時間があったのでバールでお茶をして、バス乗り場に行くと20人ぐらいの人がバスを待っていた。
朝のバスには7~8人しか乗っていなかったけど、やっぱりローマに向かう人の方が多いんだねぇ。
バス乗り場は西日が強くて暑かったので、あたしは駅構内へ移動し日陰でバスを待つことにした。
そこにはひとりの上品なシニョーラがいて、彼女もローマ行きのバスを待っているようだったんだけど、
予定の時間になってもバスは来ないし、シニョーラも外でバスを待っている人たちもちっとも動じない。
アレあたし、バスの乗り場間違えちゃったのかしら
みんな違うバス待ってんの
あたし、16時30分のバスに乗れなかったら、ローマに帰れないよぅ
あたしは思い切ってシニョーラに話しかけた。
『あの、スミマセン。16時30分のバス待っているんですよね』
『そうよ。だけど、まだ5分しか過ぎてないじゃない。』
ちょっとあんた、5分ぐらいで何ガタガタ言ってんのよシニョーラはそう言いたげにあたしを見たわぁ。
『いつも10分以上遅れて来るのよ。荷物を積むのに手間取ったり、工事で渋滞してるとか。』
そうか、あたしが待ってるバスはアスコリ発じゃなくて、サン・ベネデット・デル・トロントから来るんだった。
事情はわかったけど、あたしはちょっと適当な返事をした。
『あ~、そうなの』
-si’, non viene mai puntuale-
《そうよっ、時間通りになんか絶対に来ないわよっ》
あ゛~~~っ、シニョーラ、こわっ
この後シニョーラは、イタリアのバスや電車がいつだって遅れることについて、あたしに熱~~く語った。
涼しげな顔してたけど、時間通りに来ないバスに、やっぱりイライラしてたんだね、シニョーラ。
イタリア人とおしゃべりしたくて、ちょっとしたきっかけがあれば話しかけていたあたしも、
さすがにこのシニョーラのお相手は荷が重すぎだよぅ。
お願いっ、早くバス来て~~~ぇ
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