望月六郎的日記『中年勃起』 -5ページ目

4月公演終了後の雑記です。

5月9日・晴れました。

 

30日千秋楽、終了。

翌日から雨と晴れの間を縫って、衣装の洗濯・物干しでの乾燥・取り込んでの畳ものの繰り返し。

3日昼過ぎ、劇団員三人が倉庫にこれを納め、八割方が片付いた。

六時から神田、居酒屋にて打ち上げ。

25名参加。

延々11時30分まで、三千円ポッキリ、飲放題。オーナーの懇意にすがってお貸し頂いてます。

感謝。

楽しかったなあ。無論反省はある。しかし出演者は皆明るかった。

お褒めの言葉を貰ったそうだ。みんなに歌歌ってもらって、僕も幸せ。

4日、遅い起床。

残りの洗濯物を片付ける。

5日、起床時、妻から「唐さんが死んじゃった」と告げられる。

寺山修司の命日と同じ日に逝ってしまったそうです。

合掌。

 

劇団唐ゼミの中野敦之に宛てたメールに僕はこんな言葉を書いた。

 

「待っていたわけではないですが、覚悟していた感もあって、
平成天皇の譲位のような、神の配慮を感じます」

 

唐十郎は僕の青春のアイドルだった。

ややむっちりした体型でクリクリまなこ。

5月人形のような愛嬌と勇ましさに10代中盤だった僕は気持ちを奪われた。

 

30歳、拙作・自主映画「スキンレスナイト」に劇団唐組・赤テント公演『電子城』のワンシーンが登場する。

映し出される壮年時代の唐十郎とその盟友・怪優『大久保鷹』の勇姿が眩しい。

 

その数年後『新極道記者・逃げ馬伝説』で小説家・阿佐田哲也から着想した人物を演じて頂きたく、高円寺に出向いた。

ご自宅を訪問した後、三軒焼鳥屋を梯子した。

どの店でも唐さんは、作家・大家じゃなくて、ただのノンベイとして顔を聴かせていた。

 

その後はテントに通い、横浜国大教授の室井尚に出会い、僕はもうおじさんだったけど弟のように可愛がってもらった。

皆んないなくなっちゃうけど、これは世の常、致し方ない。

 

連休も明け、僕はまたガードマンの仕事に戻りました。今日で2日目。

 

公演明け何だかんだで、ぼーっとしていた日にちはなかったが、空いてる時間はただyoutubeなんかを観ていた。

「稽古は無休、稽古休みは全部本書き(早く書けない自分が悪いんだが)、からの〜骨休め」

と言い訳していた。

 

しかし路上の仕事に戻ると、いつの間にかいつものペースに戻った。

行き帰り、休憩中の読書。

基本、暇な時間は無念無想。実に単調な風景を見回すばかり。

打ち上げで丸山正吾から「次はどんな感じですか?」と問われて

「今は空っぽ」と、答えていた。

本当、休みの間には、殆ど何も思い浮かばなかった。

が、路上に立つと、次々と連想が始まった。

あまりに単調な世界に立ち尽くしているためか、「夢は枯野を駆け巡る」訳なのかな。

 

『セクシー女優事変』シリーズ第一作『結婚するって本当ですか?』篇を書く前だった。

「だいたいモチーフはあるんだけど、あとは神話だな」と出演者に語っていた。

現代物だし、自分から書きたいと思ったのだから、モチーフは腐るほどある。

しかし、そもそもが下世話な題材だし、そのままでは下世話な世話物になる他ない。

神の目線、というか神々の戯れを思わせる、素っ頓狂な超越感が無けりゃあ、笑い飛ばせる筈もない。

僕はそんなふうに考えていた。

 

今回も神話は出てくる。

 

昨晩寝るまでのドリンク&物思いに耽るタイム。からの今朝の目覚めは凄かった。

三回トイレに行ったんだけど、その度すごい夢を見ていて汗びっしょりだった。

頭がヒートして、この年でいきなり知恵熱出ちゃいました。

 

次回作『絶頂作戦』篇のヒロインは劇団員、野村亜矢演じる桃井園子だ。

整形手術依存症が彼女の特徴なのだが、個人の精神史を遡っても、それこそ世話物の域を出ない。

DVやらイジメとか、精神の衰弱だげが原因じゃ、ワイドショーとおんなじだ。

 

で、思いついたのが美人バブル。

 

世界中、特に韓国なんか、美人のバブル期絶頂です。

世の中美人だらけ。

そしてバブルは泡だから、必ず弾けて、霧散する。

ビーナスだって海の泡だった訳だし、そこで次作の渚は、『新大久保』に決定しました。

 

好評だった『馬お嬢』またやるかは別にして、

やるんだったら…

初めて府中市から抜け出たライブハウスが『新大久保』でも何とかなるだろう。

 

そして『新大久保』は彷徨う宗教家『情縞仲人』が荒んだ青春を送った思い出の街でもあった…ってのはどうだろう。

誰も愛せない青年『鳴鬼』は、ただナルキッソスに浸る怠惰な男。

『鳴鬼』に尽くす薄幸な女『エコ』…『eco』。

『鳴鬼』は如何にして『宗教家=情縞仲人』に変身したか?

完結編を前に、全編を貫く最重要人物の過去が明らかになる。

な、な、なんてロマンチックなんだろう!

 

天国の唐さんに向かってご挨拶します。

「どうでもいいことですが、11月公演に向かっていいスタートが切れました」

それじゃあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千秋楽です

4月30日

 

昨日ブログ休んでしまった。

書くことが見つからなかったからです。

昨日終了後、劇場からお見送りしていると、お客様から

「今までで一番面白かった」

と言って頂いた。

 

劇団唐ゼミの主宰・中野敦之さんからも観劇後の興奮で顔を赤めて、お褒めの言葉を貰った。

「やっぱりこのシリーズ、面白いです。色々人間を見てきた望月さんだから、

ダメな人間、苦しんでいる人間を肯定できるんだと思います」

今んな感じだったかな。

 

高校演劇部以来の友人も気に入ってくれたようで、ホッとした。

ですから、昨日飲んだお酒大変美味しかったです。

 

さていよいよ本日千秋楽。

シリーズ第三弾もこれっきり。

お見逃しなきようよろしくお願いします。

 

第四弾「絶頂作戦」を構想して現在オウィディウスの「変身物語」を読んでいる。

ローマ初期に描かれた、ギリシャ・ローマの神話の再録、みたいな本で

高校時代読んだ岩波文庫「ギリシャ・ローマ神話」全三〜四巻(だったかな)を思い出しています。

 

まあ同じ神話だから当たり前ですね。

 

ローマ前期だからまだキリスト教ではない世界観が伝わってきます。

ギリシャの神様は好色で嫉妬深い。失敗をしでかす。

ギリシャという美しい世界を支配する神々が、これまた美しい。

この後ローマの国教となるキリスト教は教祖キリストが人間でもあったから、痛々しさも感じる。

 

でもキリストは優しい感じもあって、十二使徒以外、多くの女性が彼を支えている感じがします。

キリストも弱者、女性に優しく接してますよね。

でも、最初のローマ教皇になったペテロは厳しく、重々しい、男性的な存在です。

禁欲的だったり、独善的な感じもあります。

 

人間が人間らしく生きていく為に生まれた教えですが、窮屈な感じもしてしまう。

 

まあそんなことを考えながらぼちぼち読み進めてます。

 

「絶頂作戦」は整形美容から始まって、サイバーパンク的な快楽に迫ってみたい思いがある。

どこまでも人間が希求してやまない快楽は人間を幸せにするのか。

僕はマンモスの牙や、サーベルタイガーの牙のように

あまりに大きくなった欲望人類を滅ぼしてしまうんじゃないか、なんて考えることがある。

その反面、未来を広げていけるのは人間の飽くなき欲望がこの先に生み出す科学・技術だとも思います。

 

う〜ん、大袈裟な話になってしまいましたが、僕は大上段に振りかぶって、

それから巷の人間たちの滑稽な世界に入って行きたいと、毎回考えています。

 

そんなこんなで、今日浅草東洋館で待ってます。よろしくお願いします。それじゃあ。

 

 

 

 

残り三回です。

4月28日

 

晴天。まるで夏。

 

いよいよ本公演も残り三回残すのみ。

昨日は初代ケンちゃん事、中瀬古健も来館。

終演後、感想を聞いた。

「シリーズ三作中一番良かったです。望月さんの優しい気持ちが伝わりました」

その理由を問うと、

「とにかく明るかった。一人も傷ついていなかった。本来ならそうなってもおかしくなかったのに」

だそうです。

 

「自分はそんなことを気にしていたか、どうか」

それはわからない。

 

しかし、暗くしたり、陰惨になるの、避けたい気持ちはあった。

一歩間違えればそんな話になりかねない設定であることは知っていました。

 

だいぶ以前フランスで主婦と母親やってる女性の新書本の話です。

先進国の中でフランスは子供の数を増やしているそうで、その秘策と苦労が綴られていた。

 

最大の貢献は教育だそうです。

 

「みんな裸ん坊」的タイトルの絵本があるそうです。(今Googleで検索したらエロいの出てきてしまった)

内容は、先生も僕もママもおじさんも、みんな裸、的内容で、裸に対する免疫というか劣等感をなくす意図があるようです。

 

ポルノとかスポーツを観てると肉体エリートしかいない。

自分の裸に自信を持てない子供たちはせっくすを怖がるようになる。

特定の人が行う特別な行為…確かにsexエリートたちの饗宴って感じだもんな。

本来のsexはそんな凄いもんじゃない、って教えないと萎縮してしまう子供もいるだろう。

 

子供たちの性からポルノの影響力を削ぐ。

その為には性を抑圧、隠蔽するのではなく開いた環境に置く、積極的に性教育する。

それ専門の教師やカウンセラーを用意して、両親と子供の間に郷里を置く。

親の独断に子供が困らないよう、干渉を塞ぐ措置が取られているようです。

 

日本でも、改革を進めようと試みたようですが、統一教会の支援を受けた自民党議員から反対を受け霧散しました。

話が大袈裟になってしまったな。

 

以前もブログで書いたけど、ポルノ、アダルトビデオの現状・将来に関して、忌憚ない意見交換が始まることを願います。

 

それはさておき後三回。

客足は正直コロナ以前の状態に戻っていない。

飲み屋だってそれで潰れてるんだし、コロナで人々の生活様式はだいぶ変わった。

 

寂しいけど、悲しんだって仕方ない。

そんな僕の気分を救ってくれているのが、お客さんの反響です。

一幕・二幕・どんどんとお客さんの拍手や反応が大きくなっているのが分かります。

「この熱狂は本物だ」

そんな気分にさせてくれます。

後三回。浅草東洋館劇場で起きている小さな奇跡に立ち会ってください。

 

お待ちしています。それじゃあ。