【読書案内 1】パリの毒殺劇―ルイ十四世治下の世相 | アルプスの谷 1641

アルプスの谷 1641

1641年、マレドという街で何が起こり、その事件に関係した人々が、その後、どのような運命を辿ったのか。-その記録


  
 さて、最初にご紹介する本は 
 
パリの毒殺劇―ルイ十四世治下の世相です。

 

 
 

著者 フランツ・ファンク=ブレンターノ  訳者 北澤真木 (論創社)

 

 
 
 十七世紀、ルイ十四世治下で起こった毒薬事件の全貌について、日本語で
 
読める本は、この一冊しかありません……、多分。
 
 丁寧に翻訳され、図像も多数収録された良心的な本だと思いますが、
 
読むにはちょっと注意が必要です。
 
 この本の日本語版は 2016 年、最近に出版された本なのですが、
 
原書は 1920 年、つまり百年も前に書かれた本なのです。
 
 どうして、この本がいまさら翻訳されることになったのか、首を捻らざる
 
を得ません。結局、著作権切れとなった本だから、出版されたということ
 
なのでしょうか。(著者は 1947年に亡くなっています) もしそうだとしたら、
 
出版社も商売なのだからやむを得ないとはいえ、日本の読者にとっても、
 
大きな不幸だと思わずにはいられません。
 
 こうした歴史的事件は、特にこの毒薬事件のような謎の多い事件というは、
 
今この瞬間にも時々刻々と調査・研究が進められているのであって、この本
 
を読んでいると、内容的な古さや違和感を覚えることがあります。
 
 とはいえ、関連する話題までを広く網羅し、事実を丹念に収集して、
 
網を張り巡らすかのように事件の全貌をまとめていて、今回、「第二章」
 
を書く上で、参考にした部分は少なくありません。
 
 百年前の研究であることを分かった上で読む分には、良い読書になるのでは
 
ないかと思います。いずれにしても、日本語で読もうと思ったら、この本しか
 
ないわけですから。
 
 なお、この本では、国王に死をもたらす黒ミサにモンテスパン夫人が直接
 
関わっていたことを示唆しています。
 
 
 
 次の記事では事件に関する最新の研究結果を書いた本をご紹介します。
 

 (10/11 にアップします)