来栖と話してから、
すぐに家に帰った。
ドアを開けるときも、
もしかしたら、あいつが
いるかも知れないと、
緊張しながら開けた。
あいつはまだ来ない。
いや…、もしかしたらもう………
ガチャ
諦めかけていたその時、
神宮寺がきた。
神宮寺………
戻って来てくれた…………
俺は、神宮寺に
駆け寄ろうとした。
「別れよう、聖川」
………え?
今、なんて……………
神宮寺は、戻って来たのではない。
別れを告げに来たのだ。
何でだ……
俺は、いまでも、
お前を好いていると言うのに……
「来栖の所へ………
行くのか……………」
やっと絞り出した言葉が…
こんなに未練がましものなんて…
来栖の言葉を思い出した。
『俺は、王子だからな!!
好きなやつの幸せを
願えなくてどうする!!』
お前は、すごい。
好きなやつが、
他の奴と一緒にいるのは、
こんなにも心が千切れそうなのに…
お前は………
神宮寺が、目を閉じて
俺からの制裁を待っている。
これは、
俺の最後のわがままだ。
神宮寺に口づけをする。
「お前の好きにしろ。
これは、慰謝料としてもらっておく。」
「ありがとう…っ…」
そう言って、神宮寺は
出ていった。
再び独りになった部屋で、
俺は、泣いた。
神宮寺…
幸せになれ…
あいつなら……
きっとお前を幸せにしてくれる…。
今でも時々後悔する
もっと優しくすればよかった。
俺は、来栖のように強くはないから、
お前の背中を押すことはできない。
だけど、いつの日か、
笑い会える日が来ると、
そう願っている。