オレは、オチビちゃんの所を出て、
聖川の所に向かった。
オレは、
もうあいつを独りにしたくない
辛い思いをさせたくない…
ひさしぶりの、
聖川との家。
そのドアを、
おそるおそる開けた。
「じん……ぐうじ……っ」
信じられない、
そんな顔で、聖川はオレを見た。
オレは戻ってきた。
聖川に会いに。
そして、
あの言葉を言いに。
「別れよう、聖川。」
迷いはなかった。
オレは、
オチビちゃんを……、
翔を選んだ。
いつだって、
オレを話を聞いてくれた。
オレを励ましてくれた。
オレのために泣いてくれた。
オレのために怒ってくれた。
オレのために笑ってくれた。
いつもそばにいたのは、
翔だった。
「ごめん。聖川の事は、
本当に好きだった。
でも、オレ達は、
また一緒になっても、
きっと同じことを繰り返す。
お互いをダメにする。
そんなのは、嫌なんだ。」
「来栖の所へ………
行くのか………………」
「ああ…。
あいつは……、翔は、
オレをいつも見ていてくれた。
包んでくれた。
本当に浮気したのはオレの方だね…。
聖川の気がすむまで、
オレを殴っていいよ。」
そう言って、オレは目を閉じた。
聖川、ごめん。
お前はオレを大切にしてくれた。
だけど、
オレは好きになってしまったんだ。
太陽のように、
眩しい笑顔を。
あの笑顔をいつも見ていたいと
願ってしまったんだ。
聖川が近づいて来る音がして
身を固くした。
ちゅ……
唇に何かが触れた。
目を開けてみると、
そこには、切なそうに笑う
聖川がいた。
「お前の好きにしろ。
今のは、慰謝料としてもらっておく。」
「ありがとう…っ…」
オレは、
走り出した。
小さくて、大きな、
オレの王子のもとに。
************************
さっき出てきたばかりのドアなのに、
妙に緊張する。
ガチャ
ドアを開けて中に入れば、
驚いた顔をしている王子がいた。
「レ………ン………?
なん………で…………」
「なんでって…、
オチビちゃん、オレに言ったじゃん。
俺が幸せにする、守ってやるって。
だから、幸せになりにきたよ…」
翔の顔は、みるみるうちに
歪んでいった。
「本当に……………
俺で……いいのか……?」
「もちろんさ……」
オレは今でも思う。
本当にこれでよかったのか。
オレの選んだ道は
本当に正しかったのか、と。
だけど、わかることが一つだけ。
オレは今、とっても幸せ。