麒麟¶゚ -13ページ目

麒麟¶゚

まったり更新。






聖川が女と歩いているのを見てから、
オレは、
余り聖川と顔を合わせなくなっていた。


自然にしようとしていても、
どうしてもぎこちなくなってしまう。



だから、
それとなく避けていた。


でも、
別れようとは思っていなかった。


やっぱりオレは、
聖川を嫌いになれなかった。




************************




「オチビちゃん、これ食べていい?」

「おう!!いいぜ♪」



最近は、
よくオチビちゃんの所に
来るようになっていた。

オチビちゃんは、
学園にいるときから良くしてくれていた。



聖川の事も、
度々相談していた。



だから、こんなことがあって、
余計にオチビちゃんを頼るようになった。


オチビちゃんは、
オレに何も聞かない。

オレが話すまで待っていてくれる。

それが、
とてもありがたかった。


「………、最近さ。
聖川がわからないんだ。
この間、知らない奴と……
楽しそうに……っ」


そこまでいって、オレは
言葉につまった。

みっともないな…
こんな…


「オレは…もうあいつにとって、
要らない存在なのか…?」



オレは、
オチビちゃんに助けを求めていた。

オチビちゃんなら、

違うよ。
真斗が、そんな事
するはずないだろ?

そう言ってくれると思っていた。


「もう……、
真斗と別れた方がいいんじゃねえ…?」


「え…?」


何を言っているかわからない。

オチビちゃん…?

「ずっと……、
黙ってよって……思ってたけど……、
俺は、お前が好きだ。」



オレは、
その場から逃げ出した。



なに!?
なにいってるの!?


オチビちゃんは、
ずっとそんな……



必死に走っていた足が
だんだん止まっていく。



最近オレは、
逃げてばかりだな…

自嘲気味な笑いが漏れる

「はっ……」


自然と涙がこぼれた。


もう、
オレは……、

恋人も、友達も、
何もない…。



***********************



「ただいま…」


誰もいない部屋に向かって
挨拶をする。



電気もつけないで、
ぼんやりソファに座っていた。




ガチャ




ドアの開く音がして、
聖川が帰ってきた。


聖川は、
オレを見て少し驚いていた。



無理もない。
しばらくまともに顔を会わせて
いなかったからな。



「お帰り…」


なんだか急に気まずくなって、
オレは布団に入ろうとした。



「神宮寺。」


いきなり名前を呼ばれ、
ヒュっと息を吸い込んだ。


「な…なんだよ……」


振り返るより先に、
ベットに押し倒された。



「おっ、おい!!
なんだよいきなり!!」


「恋人のオレが、
こういうことをしてはいけないのか?」



オレを見下ろす聖川の目が、
ひどく冷たかった。


オレは怖くなって、
目を反らした。


「今日は…疲れてるんだ……」



「ほう。来栖と、何かあったのか?」



カァっと顔が熱くなった。

「ふん。図星か。」

そう言って、聖川はオレから
離れていった。


「ちがっ…!!!
そういうことはしていないさ!!」


オレは、必死に聖川に訴えた。


違うよ聖川…
聞いてよ………


「どうだか…」


その言葉を聞いて、
オレの中の何かが切れた。



「お前だって……、
ひとの事言えるのかよ……」

「なんだと!?」


「…っ!!お前だって!!
この間、知らない女と歩いてただろ!?

そんなお前に!!
どうこう言われる必要は」


バシッ







一瞬、何が起こっているか
わからなかった。

左頬が熱い。


頬に触れ、自分が
殴られたのだと分かる。



その場にいたくなくて
オレは逃げた。


本当に、
逃げてばかりだな…




くそ…っ!!




オレは、
見慣れたドアを必死に叩いた。


もう嫌だ…

早くオレを暖めて……


「レン……!?
どうしたんだよ!!!」



オレは、
ドアを開けたその人に、
すがり付いた。


オレより小さい、その人に。


「もう嫌だよ…オチビちゃん…っ」