ピルチャーティ! | シチリアを旅するなら。。。

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先日おじゃましたワイナリーのテイスティング&ランチにて、

ひっさびさにピルチャーティにお目にかかることができました。

 

イタリア各地いろーんなパスタがありますが、

シチリアの中にもいろいろあって、

Pirciatiピルチャーティはエトナ山麓~ネブロディ山地あたりでしか見たことがないパスタ。

 

ほんとにひっさびさだったので、名前が出てこなくて、

もはや私の脳みそ化してる、このブログを開こうとしましたが、

ネット環境が悪くて開けず、

ワイナリーのオーナーさんに聞いたら、

オーナーさんは「ブカティーニだ!」と。

日本でも働いていたことがあるという国際派のオーナーさん、

ワインづくりにはすごいパッションを持っていて、精通してるけど、

ローカル料理に対しては見聞を広める余地ありとお見受けしました。

グラサングラサンちょー上から目線でゴメンねーグラサングラサン

だって、だって、

ブカティーニより太くて、短いこのパスタには

ちゃんと名前があるんだもんビックリマーク

結局、食事中は思い出せず、消化不良のまま帰宅して、

自分のブログで、テーマ【パスタの種類】を開いたら、

出ました!でました!

IMG_20160526_190141509.jpg

 

Pirciati ピルチャーティ

 

名前が出たところで、イタリア語で検索すると

そうです。そうです。

ピルチャーティと言えば、

モンタルバーノビックリマーク

 

シチリア出身の作家アンドレア カミッレーリが

シチリアを舞台にシチリア語をちりばめながら書いた警察ものシリーズの主人公

モンタルバーノ警部ビックリマーク

テレビドラマになってるので、日本でご存じの方も多いかも?

 

食べることに重きを置いて生きてるモンタルバーノなので、

より詳細に描かれている食事シーン、

カミッレーリがモンタルバーノに食べさせたことで、

忘れ去られた郷土料理やシチリア語が

再び息を吹き込まれ、

生きながらえてる面があるんですよね。

 

その一つがPirciatiピルチャーティ。

ワイナリーのオーナーだって知らなかったシチリア語

 

「L'odore della notte」の一部を要約しながらちょっと抜粋します。

~・~・~・~・~・~・~・

お腹を空かせて道に迷いながらようやくたどり着いた山奥の食堂で、

モンタルバーノが席に着くと、ホール係兼店主が

Se se la sente,avrei i pirciati ch'abbruscianu

(大丈夫なら、燃えるピルチャーティがある)と、

大丈夫なら、ってどういうことかとか

燃えるとはどういうことかとか、

テレビをつけるか否かなど、

ホール係兼店主とやり取りしてると、

E arrivarono i pirciati.Sciauravano di paradiso terrestre.

(地上の楽園のような香りを放つピルチャーチがきた)

La vuole una bottiglia di vino a portata di mano prima di principiare a mangiare?

(食べ始める前にワインを一本手元におきましょうか)

とワインもきたところで、

Montalbano se ne inchì un bicchiere e si mise in bocca la prima forchettata.

Assufficò,tossì,gli vennero le lagrime agli occhi.

Ebbe la netta sensazione che tutte le  papille gustative avvesero pigliato foco.

Si sbancatò in un colpo solo il bicchiere di vino.

(モンタルバーノはグラスをワインで満たし、一口目のパスタを口にした。

瞬間のどを詰まらせ、目に涙がたまるほどむせてしまった。

味覚を感じるすべての突起物に火がついたような衝撃に、

グラスのワインを一気に飲み干した。)

 

それを見ていたホール係兼店主から

Ci vada chiano chiano e liggero

(ゆっくりゆっくり、少しずつ)と声がかかったので、

Ma che c'è?

(それにしても何が入ってるの?)とモンタルバーノが尋ねると、

髭のその男は

Oglio,mezza cipuddra,dù spicchi d'agliu,dù angiovi salati,un cucchiarinu di chiapparina,aulive nìvure,pummadoro,vasalicò,mezzo pipiruncinu piccanti,sali,caciu picurinu e pipi nìvuru

(オイル、玉ねぎ半個、ニンニク2かけ、

塩漬けアンチョビ二つ、カッペリ小さじ一杯、黒オリーブ、

トマト、バジル、辛いペペロンチーノ半分、塩、

ペコリーノチーズ、黒コショウ)

とサディストのような残虐性を込めた響きで列挙した。

 

~・~・~・~・~・~・

って、なんか面白いでしょ。

 

Pirciati ch'abbruscianu(燃えるピルチャーティ)

は一般家庭でよく食べられるシチリア料理では決してなくて、

シチリアの家庭でも山の中の食堂でも

台所に常にあるものを全部入れて作った創作料理って感じかな。

でも、どこのおうちにもある材料だから

シチリアのどこかで誰かが今日作っててもおかしくない一皿という位置づけ。

だから、シチリアのレストランでは

燃えるピルチャーティが食べられるというわけでは決してないです。

ピルチャーティ自身幻のパスタになりつつありますからね。

 

 

モンタルバーノ警部シリーズは20冊くらいあってね、

カミッレーリがモンタルバーノに食べさせたシチリア料理もたくさんあるから、

いつか紹介しようと、付箋を貼ってはいるものの、

まとまった時間が取れず、寝かせっぱなしになってます。

 

今回はワイナリーでピルチャーティに会えたので

お蔵出しできました。

 

ちなみにワイナリーで食べたピルチャーティは

燃えるのではなくて、

揚げたズッキーニのペーストとあわせたものでしたナイフとフォーク