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今回は長野県大町市の若一王子神社本殿を訪ねます。
大町市内には仁科神明宮がありました。
が、他にも歴史ある神社がもう一つあったんです。それがこの、若一王子神社です。
大町市の市街地にあり、おそらく松本街道(千国街道)の宿場町だった大町宿の鎮守だった神社でしょう。その意味では大町宿では仁科神明宮より崇敬を集めたかもしれません。
それはさておいて、ここにも国指定重要文化財となった社殿があるというので訪ねました。どんな建物なんでしょうね。
神様より建物を目当てにお参りするなんて、そのうち罰が当たりそうですが、興味がそこにあるので仕方ありませんね。
若一王子神社本殿にお参りする
若一王子神社は大町市の市街地に鎮座されます。
仁科神明宮をお参りした後では、そんな古い神社があっちにもこっちにもある大町市ってなんかすげぇな、って感じます。
若一王子神社 伊勢神宮の第60回式年遷宮の際に譲与された拝殿
境内には三重塔があり、神仏習合の名残が見受けられました。この三重塔は長野県宝(長野県は県指定有形文化財を「県宝」という)に指定されています。江戸時代の宝永3(1706)年に建てられたものだそうです。
拝殿にお参りし、裏手へ回ります。
卿は何かのお祭りだったようで幕が掛けられていましたが、これが本殿です。
質素な中にも重厚な雰囲気のある二重軒の屋根が印象的ですね。室町期末の建築と見た![]()
と思ったら、解説を見るとやはりその点が指定理由とありました。
若一王子神社本殿は天正10(1582)年に地元の有力氏族だった仁科盛康が造営したもので、承応3(1654)年に改修されて現在の姿となりました。
建築技法が室町末期のもので、安土桃山建築の直前の地方的特色を残す重要な神社建築、ということでした。
屋根の形式は切妻造り妻入り屋根で、正面破風には向拝が付いている形式です。春日造ですね。解説には隅木入り春日造とありました。破風と向拝の境に隅木が入っているからでしょう。
背面からもお参りしました。この時代の建物では蟇股の彫刻が見どころです。神社建築だと背後にも装飾があるので、しっかり見ておきたいです。
高欄がここまで回っていないのは、この建物の特徴ですね。
本殿 背面(背面参りというお参り方法もあるというので、しっかりお参りしてから撮影した)
背面の蟇股は、波でしょうか?植物の万年青(オモト)にも見えます。なんでしょうね。
力強さを感じる、太くて大きくうねる波のような蟇股です。
側面を見ると、高欄が回っています。全部、素木です。手摺りを、斗栱で受けている意匠がおもしろいです。
こちら側から見ると、組物の木鼻の彫刻もよくわかります。装飾が増えていくけど、華美にならない。16世紀末の建築らしい、落ち着いた中にも豪勢さを感じる彫刻です。
私はこの頃の装飾彫刻が一番カッコいいと感じてます。
こちら側にも蟇股があります。これは何の花でしょう?
望遠レンズで拡大してみましたが、どうも瓜のようです。瓜は当時の主要な作物で、蔓が伸びる様子から繁栄を象徴して彫刻などに取り入れられました
そして、拳鼻の雲形。三階菱の釘隠しも見えます。大改修を松本藩がやったからでしょうか。
右側面の蟇股も見ましょう。こちらは何の彫刻だかわかりません。ただ意匠が左側と違うのがおもしろいです。
向拝の蝦虹梁も見ておきます。
最後に、魔除けのために付けられているという、正面破風の棟先にある鬼面を紹介します。
こんなところに鬼の面がある、ということで、神社でも看板で案内するほどの見所です。
牙がいかつくて恐ろしげですが、目つきは優しくてほほえましい鬼の面です。ただ、自分が持っている望遠レンズではここまでのズームが限界でした。
以上になりますが、若一王子神社本殿は仁科神明宮と並んで文化財保護法発足初期から、すでに重要文化財に指定されていました。
すなわち、その意匠や建築様式の貴重性は早くからよく知られていたようです。そんな神社が2か所もあるなんて、大町市は今でこそ日本の屋根といわれるほどの大山脈に囲まれた静かな場所ですが、かつては豊かな場所だったのでしょう。
正直、大町を含む北信地方は鉄道や道路の開発が遅れ、今では主要流通路から外れた、鄙びた土地です。でも、かつては周辺地域や中央地域との交流が盛んだったんだろうことが、こういった文化財が残されている点からよくわかるのです。
まあもっとも、だからこそリゾートとしては適地なんでしょうね。スキー場や登山基地としては至れり尽くせりなほど発展しています。
地元の人はこのような文化の高さをもっと誇っていいと思います。
…どの地方へ行っても、地元の人に聞くと「自分のところには自慢できるものなんて何にもねぇよ。」って言うんですよね。その都度「そんなことないです、私はこういったものを見に来ているんですよ。」って私は皆さんに言うんです。











