最近、ブログの更新が滞ってまして、申し訳ありません。
ブログの更新よりも、今しか見られない文化財を見に行くのに必死でして…
先日も、東京国立博物館まで国宝「医心方」を見に行ってしまいました。
こちらの情報は令和4年2月20日(日)現在の情報ですので、この記事をご覧になった方はご注意ください。
東京国立博物館(東博)では、総合文化展(いわゆる常設展示)で、
「全巻修理完了記念 日本最古の医学書・国宝「医心方」の世界」
と称した特別展示を行っています。
大掛かりなものとしては実に450年ぶりとなる修復を終えた、まさに日本最古の医学書「医心方」が、今なら冒頭だけとはいえ全巻展示されているのです。
これは見に行かねばとて、先日行ってまいりました。
実物は漢文で書かれているので、何が書かれているかわかりにくいです。
それでも私が特に気になったのはこれ。「巻第十九 服石部」です。
医心方 巻第十九 服石部 目次
この巻第十九には、いわゆる薬の飲み方が書かれているようです。特に鉱石から造られた、いわゆる薬石の服用法らしいです。
当時は時間が経っても腐らない薬石に、不可思議さを感じたんでしょうね。
そんな迷信がまかり通った時代。
そう、不老長寿の薬として「丹薬」が信じられた時代なのです。
上の写真を見ると、上段中央やや左側に
「服金汞丹法第廿一」
とあります。
汞とは、今ならわざわざ薬として服用することはもちろん、その蒸気や粉塵すら吸い込むことが憚られるあの金属を表わします。
その化合物(丹)を薬として服用する方法が書かれているのです。
そう、あの金属とは、水銀。元素記号なら「Hg」、金属では唯一、常温で液体のあの金属です。
丹といったら当時は延命の象徴、水銀朱の事でしょう。古墳の埋葬施設を真っ赤になるまで装飾している例もある、あの粉です。
怖いですね。
秦の始皇帝も不老長寿を追い求め、東の海へ使者を送りました。それが徐福です。
しかも不老長寿の薬と信じられた金丹なる粉(水銀の化合物だったらしい)を飲むことで寿命を縮めたとされています。その服用方法が解説されているようです。
時代ですね。
そんな医学書「医心方」が、全巻展示されています。期間は3月21日まで。
興味がある方は是非どうぞ。
国立博物館は常設展示でも期間限定で貴重な文化財を展示しているので、展示情報は常にチェックしています。
今回も速報で文化財を紹介しました。いつもご覧いただいている方々には申し訳ありません。本編はもうしばらくお待ちください。