「久住小春」から考えるモーニング娘。史 | カルバートン・スミスの告白

カルバートン・スミスの告白

ふたつ、不埒な悪行三昧……。

 

               

 

 

 それは近来まれな加入であった。

 

 久住小春。モーニング娘。七期メンバーとして2005年5月に加入。モーニング娘。としては、やり直しで行われた最初のオーディションである。奇しくもAKB48が結成された年であった。

 つんく♂から「ミラクル」と呼ばれ、ファンからも歓待されたが、これがとんでもない爆弾娘。だと発覚するのは後になってからである。

 それまでのモーニング娘。は、まだ海のものとも山のものともつかない何処でもいそうな少女が、一躍スターダムにのし上がっていく有様を見せる、ドキュメンタリー・ショー的要素でファンを楽しませていたが、この七期メンバーはすでに完成されたルックスとスター性で他と一線を画していた。

 

2009年で卒業するまでの三年半は、実に濃密であった。あらためてその年月を振り返りながら、大きな転換となっている現在のモーニング娘。のありようも考えたい。

 

 

デビュー曲となった『色っぽいじれったい』では、早くもセンター扱いだった。

 

 

 

 

 

 

自由奔放な性格だった久住に、多くの先輩たちが手を焼いた。

 

六期メンバーであり、教員ががりとなった道重さゆみは、実際に今でいう不安神経症手前まで言ったのかもしれない。

 

その二人のユニット「レインボーピンク」は奇作『わ~MERRYピンXmas!』で鮮烈なデビュー(?)を飾る。

 

お飾りのおもちゃユニットと思われていた二人だが、8hアルバム曲『宝の箱』の存在は今でも大きい。(しかしながら、その年のハロプロ楽曲大賞での得票数は7票のみだった)

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど、結成10年を目前とする年に結成された「モーニング娘。誕生10周年記念隊」において、最年少メンバーとして選ばれた彼女は、先輩の飯田圭織が据わるべき上座にどっかりと座り、嗜める新垣里沙に「先に座らない飯田さんが悪いんじゃないですか?!」と正々堂々と口答えをしてメンバーを辟易させた。

 

 

ここでは、二枚のシングル『愛しき悪友(とも)へ』のカップリング『未知なる未来へ』を取り上げる。

 

 

 

 

 

 

「1000年先の仲間まで」という言葉の重さ。

 

 

以降、モーニング娘。の活動の中で鮮烈だったものを取り上げる。

 

 

まずは『笑顔YESヌード』

 

 

 

 

 

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生涯の天敵となる、後輩・光井愛佳のデビュー作。

 

パートを毟り取られたことになるが、サビ前のパートでしっかり自分を残すことにだけは成功している。

 

 

それでもモーニング娘。のなかでのスター性を発揮した曲が『リゾナントブルー』だろう。

 

 

 

 

 

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大人メイクが本当に似合っていた。

 

 

また、久住小春を語る上で忘れてはならないのがソロ活動である。

 

 

「月島きらり」として、アニメ『きらりん☆レボリューション』の声優を務め、アイドル役ということで、劇中歌を担当していた。

 

月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。) 「バラライカ」

 

 

 

 

 

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今でも地下アイドルがひっきりなしにカバーする曲の一つだ。

 

 

月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。) 「パパンケーキ」

 

 

 

 

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ここまで並べてみるとわかるが、彼女は歌が上手くない。そこを堂々と歌い切られてしまうので聞くほうも納得するしかなくなるのが彼女の恐ろしいところだ。

 

 

星のしずくのサビの不安定感は、ある意味ではニューウェーブに相当する。

 

 

 

 

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そんなニューウェーブ・アイドルに心酔するのが、日本を代表するニューウェーブバンド『ロマンポルシェ』掟ポルシェ氏である。そんな彼が、DJイベントで毎回かけるのが『きら☆ぴか』の『はなをぷーん』だ。

 

 

 

℃-uteの萩原舞とのコラボ。コミックソングながらも下品でない感覚は素晴らしい。

 

コミックソングとしては、その究極にある『こんにちぱ』をお薦めたい。

 

 

 

 

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これらの展開は、小学生を中心にスマッシュヒットとなった。ハロプロエッグだった吉川友と北原沙弥香で組んだユニット・ Milky Way。楽曲『タンタターン』で使われたおもちゃのタンバリンはいまだに持っているファンもいるとか。

 

 

 

 

 

 

 

たしかに歌は苦手だったかもしれない。自由奔放すぎて周囲に迷惑をかけることもしばしばだったかもしれない。

 

 

 

 

だが、彼女がモーニング娘。にいたことで、モーニング娘。の命脈が繋がった事実も見逃せない。

 

前述したが、彼女の在籍当時、世の中のアイドル界の流れは完全にAKB48に移っていた。

2006年には『会いたかった』をヒットさせて、2008年までの間にミリオンヒットを連発する。大きく風向きが変わるなか、凄まじい期待の中にあったのが久住小春だった。

 

結果的には、彼女はその期待に応えたことになる。

 

後に11期となる小田さくらを憧れさせ、12期の羽賀朱音にグッズを集めさせ、同じく12期の野中美希は原作の漫画本を重複して買わせるまでになったのは、彼女が「月島きらり」だった所以である。

 

 

 

 

乃木坂46や欅坂46など、よそのアイドルグループにもこの『きらりん☆レボリューション』のファンはいて、彼女は意識していたのかどうかはわからないが、まさに「ミラクル」を起こしていたのは間違いないのだ。

 

同じく、『きらりん☆レボリューション』のファンだったという、こぶしファクトリー井上玲音は、アニメ版の発信源となったテレビ東京『おはスタ』で、おはガールとなり、ホスト側として久住小春を迎えている。

 

 

 

 

今、モーニング娘。は、カントリー・ガールズから移籍・兼任という森戸知沙希を14期メンバーとして迎え、大きな岐路に立たされている。

 

 

2017年夏のハロープロジェクトのコンサートから合流したが、扱いはセンターであっても、エースは間違いなく小田さくらでここは全く崩れなかった。

 

 

 

 

久住小春の加入当時も、彼女がセンターに立つことはあったが、エースは藤本美貴であり、高橋愛であり、田中れいなだった。

 

森戸知沙希が久住小春のように「ミラクル」を起こせるのか、そこはもはや後世の歴史家の評価を待つしかないが、また歴史が繰り返されようとする気配にあることを見逃してはならない。

 

久住小春は気の強さだけは人一倍だったが、森戸知沙希も頑固者で気の強い一面があるという。

 

 

状況いよいよ悪くなるなか、森戸知沙希がどのような風を吹かせるのか、これから注目していこうと思っている。