アップアップガールズ(仮)と「大人アイドル」を生きる道 | カルバートン・スミスの告白

カルバートン・スミスの告白

ふたつ、不埒な悪行三昧……。

 

次なる一手を。

 

 

アップアップガールズ(仮)の黎明を振り返る。

 

アップアップガールズ(仮)は、2010年、ハロープロジェクトからアイドルを目指すハロプロエッグ出身者の七名によって結成されたアイドルユニットである。

 

だが、これは簡単に結成され、すんなりデビューできたユニットではない。

 

2010年から翌年にかけて、所属事務所であるアップフロントは、大幅なエッグメンバーの再構成を図った。呼称が「ハロプロエッグ」から「ハロプロ研修生」となり、メンバーも増えたが、同時に戦力外として放逐されるメンバーも少なくなかった。

 

アイドルとして、芸能人の仲間入りが出来る望みが全くなくなった彼女たちは、そのまま鬱々と一般人として生活していてた。

 

山田マネージャーは、このとき、彼女らを招集して新たなアイドルグループを独自の企画として仕立てあげたいと思っていた。

まずは、仙石みなみ・古川小夏・森咲樹・佐藤綾乃・関根梓・新井愛瞳の六人に招集をかけた。

仙石は、自分のために父親が地元・宮城での会社勤めを辞めて、慣れない東京に転勤してきたことを思うと、自分もアイドルの道を捨てて普通に暮らすとはとても言えなかった。

関根は、地元長野で親孝行して暮らすと約束していたのにもかかわらず、招集を受けてアイドルになりたい一心に東京に出たいといったが、親御さんの了解が得られなかった。それでも説得を続け、長野から新幹線で通うことになった。

新井も地元群馬から通うことを決め、勉強一切を怠ることなくアイドルを続けると約束した。

 

ここで2011年に結成されたのが「アップフロントガールズ(仮)」である。

 

それぞれのメンバーが、それぞれに己の理想を求めて終結したのだが、思うようには活動は出来なかった。

 

なにしろ、曲がない。

 

歌はハロプロの曲を歌うしかなかった。自分を追いだしたハロプロの曲を歌わされる状況は屈辱というしかなかった。メンバー同士ハエかつての仲間ではあったが、年は最年少と最年長の間は7歳と離れており、会話もかみ合わず、楽屋ではだれもが無言だったという。

 

同年五月、佐保明莉の加入が決定。実力派で、エッグの中でも一番アイドルデビューに近かった彼女だったが、四月にエッグから放逐されていたのだ。

 

同年六月、愛媛でのイベントに参加するにあたって、イベンターがフライヤーに誤って表記した「アップアップガールズ(仮)」が正式にグループ名となる。

 

それでも彼女らはオリジナル曲をもらえず、鬱々とイベントをこなすだけのアイドルだった。

客が盛り上がるのが自分の曲でなく、既存のハロプロの曲であることが歯がゆかった。

 

2012年3月、初のオリジナルシングル「Going my ↑」(ごーいんぐまいうえ)をアップフロントより発売。ここから彼女たちが一致団結し始める。

 

それから6月に『バレバレI LOVE YOU』を発売後、ほぼ毎月のようにシングルをリリース。

 

同年八月には『TOKYO IDOL FESTIVAL』(TIF)に初めて出演した。

 

同年九月、年末よりタワーレコードのアイドル専門インディーズレーベル「T-Palette Records」に参加することがサプライズで発表され、アルバムも発売された。

 

2013年正月にハロプロの冬のコンサートにゲスト出演。仙石みなみは「ハロプロを辞めさせられて……」と発言し観客の歓声を浴びた。

 

そのあとは、マネージャーであり、プロデューサーである山田氏が発案するとんでもない企画(富士山上でのライブ、一日で2時間×3回公演、MCなし3時間公演、自衛隊ライブ、ハワイ易断の後にライブなと、数えればきりがない)に鍛え上げられ、すっかり「アスリート系アイドルグループ」となってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、武道館公演を果たすも、満員とはいえないものであった。

 

 

 

 

 

 

 

この公演で二期メンバーが加わることが発表。四人が選抜された。

 

 

 

 

後に、富山県出身の中沖凛が加入。

 

 

 

 

また、新井愛瞳がアップアップガールズ(2)メンバーを兼任することが発表された。

 

アップアップガールズ(2)は、妹分として活動。単独公演も控えている。

 

 

 

青島玄武「選曲の三曲」

 

!!!!!!!(ババババン)

 

 

 

佐保の歌唱力で引き込まれたかと思いきや一気にバカ曲になる、アップアップガールズ(仮)クオリティ。(笑)

 

MVは「何なの?」とか言わないように。(笑)

 

 

 

青春の涙

 

 

 

 

疾走感はありながらも、確実に歌に力を込めていくタイプの青春ソング。

 

 

 

君という仮説

 

 

 

中華風EDMの至宝。ファン目線で語られるアップアップガールズ(仮)の姿。MVのオフショットが実に効果的。

 

 

 

終わりに。

 

 

アップアップガールズ(仮)のこれまでの軌跡をたどった本が発売された。

 

 

 

 

この本の刊行記念した記者会見で、つんく♂のメッセージが代読された。

 

 

 

エッグ加入当時、小学一年生だった新井は今年で二十才となり、最年長の仙石みなみはこの四月で27歳となる。

 

アイドルはどうしても、「何かになるための腰掛け」というイメージがある。

 

元モーニング娘。の久住小春が、モーニング娘。時代の自分を「踏み台」と呼んで嗤笑を買ったことは、まだ記憶に新しい。

だが、実際、彼女らが放逐されたハロプロは定年を25才とする方針に落ち着いているようだし、「アイドルと納豆には賞味期限がつきもの」なのかもしれない。

 

だが、彼女らは「アイドル」という手段を使った「表現者」の道を突き進もうとしていると、わたくしは感じている。

 

南阿蘇の道の駅にある小さなステージにやってきた森高千里は、高校生と中学生の子供を持ち、47歳なのに、ひとたびマイクを握ればちゃんとアイドルになっていた。

 

そういえば、2016年12月のFNS歌謡祭で℃-uteと共演したいとも、そこにいたのは「先輩アイドル」としての森高千里だった。

 


161207 FNS歌謡祭 森高千里×℃-ute 「二人は恋人」 「SNOW AGAIN... 投稿者 masknerd

 

そう。年齢なんて関係なく、アイドルは志ひとつでアイドルたれるのだ。

 

彼女らが、道重さゆみの公演を見学したのも、そこに自分の指針を見るためだったのかもしれない。

 

 

 

彼女らの道のりは、まだまだ果てしなく遠いのである。