こぶしファクトリーがカバーすべき日本の名曲、ベスト5! | カルバートン・スミスの告白

カルバートン・スミスの告白

ふたつ、不埒な悪行三昧……。


こぶしファクトリー


日輪を貫いて咲く辛夷かな  青島玄武


2015年1月2日。ハロー!プロジェクトコンサート「Hello!Project 2015 WINTER」において、ハロプロ研修生から藤井梨央、広瀬彩海、野村みな美、小川麗奈、浜浦彩乃、田口夏実、和田桜子、井上玲音の8人による新ユニットの結成が発表された。
そこからしばらくは「ハロプロ研修生新ユニット」として活動していたが、およそ二か月後に当たる、2月25日。「こぶしファクトリー」と命名された。

由来は「辛夷(こぶし)の花」のような初春の寒気に耐えながらも美しく咲く有様と、「握り拳」のような力強さにあやかったもの。
「ファクトリー」には、Berryz工房の「工房」の意味があり、Berryz工房の精神を継承する後継という意味もある。

同3月には、リーダーに広瀬彩海。サブリーダーに藤井梨央が選出。年長である藤井梨央は、自分がサブに回ったことに、一か月ほど戸惑いと嫉妬に駆られていたそう。

同6月の『ハロプロ研修生 発表会 2015~6月の生タマゴShow!~』にて、9月2日にメジャーデビューが決定したことがサプライズ発表された。


つんく♂プロデュースのグループではないが、多分につんく♂色の強いグループであることは否めない。

まず、リーダー・広瀬彩海と、井上玲音は、つんく♂が個人で経営していた会社、TNXの「ナイスガールプロジェクト」の研修生であるところの「ナイスガール・トレイニー」の一員だった。
普段は100人規模の小さなライブハウスをホームとし、事実上の「地下アイドル」として活動。浅草のはなやしき前の路上でミカン箱二つを並べたステージを設えて、春夏秋冬、熱波寒波を厭わずに路上ライブをしていたこともある。
特にこの二人は重要である。広瀬はトレイニーのディーバとして地下アイドルファンも一目を置く存在であり、「田中れいなさん(元モーニング娘。)みたいになりたい」といっていて、つんく♂も可愛がっていた。井上はその美少女ぶりはトレイニーのエースとして認めざるを得ないアイドル性を有しており、わずかにファンの間ではあったが、絶大な人気を誇っていた。TIFのステージも数度経験しており、その際には多くのアイドルファンの耳目に止まったようである。だが、しょせん地下は地下。メジャーデビューするアイドルには遠い存在だった。
つんく♂の病によって、個人事務所が解体。トレイニー組がハロプロ研修生23期として吸収されるにあたり、二人はアイドルなるための道をあきらめなかった。先輩に年下もいる中、研修生として飛び込み、わずか二か月後にはユニットのメンバーとして選出されたのである。それほどに彼女らの才能が欲しかったのであろう。

和田桜子は、2013年、この年が初回となる春の研修生実力テストにおいて、つんく♂から特別賞を得ている。「歌やダンスでなく、彼女の持っているキャラクターや雰囲気に期待する」とコメント。以降、実力テストでは「キャラクター部門」が設立されることとなった。

野村みな美は、モーニング娘。となる小田さくらとともに2012年に研修生として加入。おそらく、つんく♂からその肉声で「ポンコツ」の烙印を押された最後のメンバーである。その後、血のにじむ努力の末、2014年にはモーニング娘。'14コンサートツアー春~エヴォリューション~に、吉橋くるみ、和田桜子、稲場愛香、新沼希空、段原瑠々とともにチャレンジアクトとして帯同できるまでに成長した。今では、歌唱パートの重要な部分を担っている。

ことほど左様に、このグループはつんく♂の生きのかかったメンバーが半数を占める。これを「つんく♂印」と言うには疑問があるかもしれないが、発売された新曲を聴く限りでは、そう思わずにもいられなくなるのだ。




ドスコイ! ケンキョにダイタン/ラーメン大好き小泉さんの唄/念には念(念入り Ver.)(初回.../UP-FRONT WORKS
¥1,728
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『ラーメン大好き小泉さんの唄』は、言わずとしれたシャ乱Q『ラーメン大好き小池さんの唄』のカバー。

モーニング娘。『LOVEマシーン』を編曲したDANCE☆マンが編曲している。





『ドスコイ!ケンキョにダイタン』は、作詞作曲を星部ショウ。

星部は、今年になって突然登場した作詞作曲家であり、アンジュルムの『七転び八起き』『臥薪嘗胆』の作曲。Juice=Juiceの初アルバムの楽曲、『CHOICE&CHANCE』『愛のダイビング』の作詞作曲。『生まれたてのBaby Love』の作曲、『チクタク 私の旬』の作曲を手掛けていて、これらも多分につんく♂色があるため、「星部ショウ=つんく♂」説がまことしやかにささやかれている。
だが、先日のアップフロント公式のYouTubeチャンネル「Music+」において、「星部ショウはメディアに登場できない若手作家」であることが、チーフディレクターの橋本慎氏より説明された。



※27分38秒~

ただ、つんく♂の手記となる『だから、生きる。』には、アップフロント会長の山崎氏から「もう少し仕事をセーブしよう」と助言されたとあり、「セーブしよう」→「星部ショウ」ではないかという憶測がまことしやかにインターネットの世界で蔓延しており、事態は藪の中である。


ではあるが、わたくしはつんく♂色を残しながらも、リベラルに様々な楽曲にチャレンジできるこぶしファクトリーの登場を歓待したい。


ここでは、せっかくカバー曲でデビューしたのだから、今後、彼女たちがカバーしていくべき邦楽の名曲を集めてみようと思っている。

先日の特集で、「Berryz工房がカバーすべきだった日本の名曲10選」という特集をやったが、あの特集も、Berryz工房が様々なジャンルの楽曲に挑戦していたことに発露があって、こぶしファクトリーはBerryz工房の後継となるべきグループであるから、より深く様々なジャンルにチャレンジしてほしい。


ここでは、「ベスト5」としているが、デビュー曲である『ドスコイ!ケンキョにダイタン』にちなんで、相撲の番付で紹介したいと思う。



前 頭

島谷ひとみ『Perseus -ペルセウス-




Perseus-ペルセウス-(CCCD)/エイベックス・トラックス
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映像は、2003年12月、日本テレビ系『1億3000万人が選ぶ!ベストアーティスト』での映像。

この時、モーニング娘。は『Go Girl ~恋のヴィクトリー~』を、松浦亜弥は「GOOD BYE 夏男」を歌い、まさにハロプロ全盛であったが、同時に「ヲタ芸」という悪しき慣習を呼び込んでしまった。

関西ハロプロ研究会という大阪を拠点としたファンの活動の中から、ヲタ芸は創始された。
藤本美貴『ロマンティック浮かれモード』によって、その形態は様式化され、ファンの間ではあまりにも突飛な行動をとる「ヲタ芸師」たちに冷徹な視線を浴びせていたものである。




ロマンティック 浮かれモード/hachama
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モーニング娘。と松浦亜弥のきょくは、確かに盛り上がる曲ではあるが、当時のヲタ芸師たちにとっては、ヲタ芸を打ちづらい曲だった。

ここで飛んで火にいる夏の虫だったのが、この『ペルセウス』だった。

カメラに映りこんでしまった異様な集団に、日本テレビにはクレームが殺到したようである。

これを機会に、ヲタ芸もプラチナ期にかけて徐々に収束していくことになる。


だが思うに、盛り上がったのは盛り上がったので、一曲くらいはこういう曲で『解放区』を作ってやるのもいいかもしれない。(度を超えない盛り上がり方は、今のファンもわかっているだろうし)
そういう意味での選曲。



小 結

DA PUMP 『ごきげんだぜっ!  ~Nothing But Something~』





ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~/エイベックス・トラックス
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Berryz工房のときに、SPEEDの『Body & Soul』を取り上げたが、その対のイメージ。

男性アイドルグループの曲に挑戦するのも一興であろう。

ダンスがかなり術達していなければならず、歌もかなり難しい。だが、是非とも挑戦してほしい曲である。





関 脇

東京事変 『閃光少女』




閃光少女/EMI MUSIC JAPAN INC.
¥価格不明
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椎名林檎をフロントマンに置くバンド、東京事変の代表曲の一つ。

タイトルもそうだし、ロック調の楽曲もこぶしファクトリーのイメージにぴったり。

ダンスと歌割りがどうなるのかを想像してみるのも楽しい。



大 関

Tomato n'Pine 『ワナダンス!』



PS4U/SMR
¥3,086
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2009年に活動を開始し、2012年に活動を停止した、もはや伝説となったアイドルユニットTomato n'Pine(とまとぅんぱいん)のキラーチューン。

2012年から始まった「アイドル楽曲大賞」(日本のあらゆる女性アイドルグループの楽曲からグランプリを選ぶもの)においてグランプリを獲得し、あらためて楽曲制作スタッフの意識の高さに驚愕した記憶がある。

ファンク調であり、つんく♂風味であることから、こぶしファクトリーがカバーするとどうなるのかな、と思っている。




横 綱

レキシ『狩りから稲作へ』




レキツ/レキシ
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日本を代表するファンクバンドだった「SUPER BUTTER DOG」のキーボード担当、池田貴史のソロプロジェクト。

日本の歴史縛りの唄を歌い続けている彼の楽曲は、まさに中高生からなるこぶしファクトリーにはピッタリ。

ラップではあるが、歌っていることは、日本史の教科書の序盤を読み上げているような内容で、ユーモラスだし、キャッチーでもある。


フジテレビ『アフロの変』では、℃-ute・岡井千聖とMCとして共演しており、岡井から「こぶしファクトリーは事務所が推している」という話を聞いているので、もし、コラボの話が持ち上がったとしたら……。


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いろいろと見てきたが、Berryz工房は解散してしまい、もう二度と目にすることができないかも逸れないが、こぶしファクトリーはデビューしたばかりの期待の新人である。

アップフロントは、これを籠の鳥とせず、様々な可能性をかけていろんなことにチャレンジさせてほしい。


この提案が、その初端となれば、これに勝る僥倖はない。