東京の江戸川から
茨城県の実家まで
高速で行けば約1時間。
久しぶりに父と母に会うわくわくを
めいっぱい抑えながらも
笑顔は溢れて
毎年 大きくなる娘を連れて
夫婦そろっての帰省は
私の大きくて大切な年中行事でした。
高速を降りて 父へ電話。
受話器の声が弾んでいる。
「お父さんの駐車場に止めなさい」
玄関を開ける。
数か月前よりも 少しおおきくなった娘をみて
こぼれんばかりの笑顔の父と母。
カッコよく浴衣でお出迎えする父は
いつでも大きく見えた。
リビングにあるソファに座る
大きく伸びをする。
母の読んでいる月刊誌をのんびり読んだり
夜遅くまで パパを交えて
ビールを飲みながら いろいろな話をする。
そんな何気ない 時間が
かけがえのない 時間だった事に
無くなってから気がついた。
父は突然 天国へ旅立ったので
実家へのさようなら・父へのさようなら
する間もなく
実家は無くなり
母は東京へ出てきて兄夫婦との暮らしを始めた。
だから
この時期は少し淋しい。
いつでも帰れると思っていた実家は
期間限定の大切な場所。
「なんか美味しいものあるかなぁ？」
そういって開ける冷蔵庫は宝石箱だった。
少しばかり忙しくても
ちょっと面倒でも
帰る実家があるのなら
是非 帰って
実家の空気を感じる今この時を
うんと大切に味わって下さい。
心にぽっかり空いた穴は
もう埋まる事はないかもしれません。
だけど、実家で過ごした思い出は
無くした今 光り輝いています。
だから すべて良し。
もう会えないと思っていた父も
実はすぐ近くで見守っていること。
あの時 無知だった私は
この数年で色々な事を理解しはじめています。
前を向いていこう。
前を向いていこう。
ありがとう。