上海彩虹室内楽団ベートーヴェンマラソンその2 | 上海鑑賞日記(主にクラシック)

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上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2020年12月27日15:00~

会場:上海交響楽団音楽庁 演芸庁(チェンバーホール)

指揮:薛源

演奏:上海彩虹室内楽団

曲目:

ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 作品60

ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67

ベートーヴェン:交響曲第6番へ長調 作品68

感想:

上海の室内楽団である彩虹楽団によるベートーヴェンチクルスの第二弾の演奏会。

前日の演奏会で、まあまあ及第点の演奏が聴けたので、この日も特別な期待もかけられないが、そこそこの演奏にはなるのではないかとの意識で演奏会を訪れた。

 前日は最前列だったが、この日はかなり後列の席をとってあった。

 

さてこの日の第二弾は4番5番6番であり、ベートーヴェンの中期の交響曲の三曲である。

今年はベートーヴェン生誕250年にあたり、前半がコロナで大方の公演が中止になたっため、どうも後半に企画が詰め込まれたのではないかという印象があり、この第4番はこの2か月で4回目である。

さて演奏が始まって、ステージ上を見ると2ndヴァイオリンの首席は昨日の人ではなく、それ故かいささか音程が不安定に聴こえる。

1stの方も昨日に引き続き若干不安定である。

ただこの日はクラリネットか調子良さそうで、まずます良い音を鳴らしてくれている。

フルートやファゴットもまあ何とか鳴らしている。

ちょっと頂けなかったのはオーボエである。

良さそうな音色を鳴らしている瞬間もなくはないのだが、ミスが多いというか時々変な音が聞こえてくる。

 この曲に限らず、オーボエが安定しないオーボエ演奏というのはどうにも頼りない。

また指揮者も徐々に疲れが出ているのか、音の組み方が前日に比べ雑になってきた印象は否めない。

ただ一応押さえるべきところは押さえておりクラリネットの音色に救わた印象となった。

 

そして続いて休憩なしで第5番。

  このクラシック界の顔のような曲であるが、それほど重々しさもなく少し軽めに入っていく。

  メンバーの入れ替えが少し有ったようだが、オーボエの交代はなかったようで、演奏の質が上がらない。

段々、メンバーや指揮者にも疲れが出始めたような印象で第一楽章の勢いにキレが亡くなってきているような印象を感じた。

本来、もっと勢いがあれば格好よく響く楽章だが、そうすると演奏がきしむのではないかと思われるほど怪しいバランスである。

第2楽章に入り、テンポが落ち多分だけストリングにはまあ余裕が出たのか、音の狂いっは減って、クラリネットが安定している分だけ、何とか聴きける状況になる。

そして第三楽章は。もう少し低弦を効かせて欲しかったのだが、そのような深い響きをつくっていけるような集中力がないようなそんな印象。

そして第4楽章へのピークをつくれないまま、そのまま第4楽章に流れていく。

指揮者にもう少し演出意図があれば。第4楽章冒頭でピークを迎えて、疾走するようにオケを導いていってほしいのだが、どうも徐々に指揮姿も雑になり、演奏の細かい部分に気を配るというより、とりあえず演奏をこなすことに精いっぱいの様子になっていた。

そもそもこの指揮者の姿はもはや音楽を体現できるほどリズムが良くなくなっており、オケ側の奏者のリズム感覚だけで、音楽が進んでいるような印象になり、そのまま第5番の演奏を終える。

 

そして休憩を挟んで第6番「田園」である。

15分の休憩だけではどうも気分がリセットしきれない。

 そもそも前半だけで4番と5番を演奏するというのは、オケにも聴衆にも負担がかかり、集中力を続けるのは大変であり。やはり15分程度の休憩は入れたほうが良いように思う。

 ただ、懸命に演奏し続けるというのが、「マラソン」という由縁なのかもしれないが、まああんまり意味はないなとは個人的には思う。

 演奏が始まると、オケの奏者それぞれが疲れているなというのにこちらが気づくほど。音に冴えがなくなってきている。

ホルンの音が狂い始め、オーボエは駄目なまま。

まあフルートはそこそこの音を聴かせてはくれていたが、相対的にマシというだけで、ほかがどんどん苦しくなっていく。

爽やかさがないのである。

そして第2楽章はどんどんと冗長な印象に変わっていく。

演奏もだれてきて全体のバランスが狂ってきたうえに、聴衆としても集中力が維持できない。

 演奏がもっと素晴らしければ、もう少し集中力が保てたのかもしれないが、奏者ともどもどんどん崩れていった。

 第4楽章以降は、演奏している人たちには申し訳ないが、早く終わって欲しいという気分になった。

そして演奏が終わってぐったりとしてしまった。

聴衆の拍手も感動というよりお義理に近かったのではないか。

それでも、一応アンコールは演奏した。

マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲と、もう一曲エルガーの愛の挨拶だったかを演奏し、こちらの演奏の質としてはまあまあだったのだが、疲れ切ったもう回復の効果がなかった。

このまま来週も3曲も同様にやるつもりなのか。少々気持ちが重くなった演奏会だった。