プロ論 | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog



ビジネス系インフルエンサーの

「インボイス制度の導入で

ガタガタいうなら

止めてしまえ」

とか

「食えないなら

プロ失格」

みたいな発言で

にわかに巻き起こった

プロとは何ぞや

論争

(という程

盛り上がらなかった

かもしれない)。


随分時間が経ったので

覚えている人はもういないか...。

 

個人的に

SNSで

「就職して

社会貢献しろ!」

なんて事も言われたので

僕なりに

プロとは何か?

という事について

改めて考えてみた。

 

一般的な認知として

僕の職業は

DJだと思うのだが、

食える食えないで

プロと素人を分けると

間違いなく

僕はプロではない。

DJで食えてないのだ。

 

え、

35年もやってて食えないのか!

とか

高級旧車(ボロボロですけど)に

乗ってるのに?

とか

海外にもしょっちゅう

呼ばれてるんだから

それはないだろう?

思われるかもしれない。

 

でも

純粋に

"現場でのDJプレイ"の

収入だけを計算すると

自分でもビックリする。

 

DJを始めた時の年収は

35年で倍にはなった。

 

こう書くと

倍増していいじゃないですか!

と思われるかもしれない(再)。

でも

元が低いんで

倍になってもしれているのだ。

 

金額は

具体的に明かさないけれど、

DJだけでは

東京で借りている

築50年の

2Kのマンションの家賃も

払えない。

 

家賃が

払えないのだ。

 

え、

あまりにも夢がない?

35年もDJやって

家賃も払えない...

 

いや、

ご心配なく。

 

僕は、

DJとは

音楽を紹介する仕事だと

考えているから、

ラジオ番組、

有線放送や

店内BGMの選曲、

イベントの企画、

アーティストのプロデュースや

楽曲制作、

ライナーノートの執筆まで

幅広く活動している。


そして、

音楽を活用した

企業のブランディングや

僕監修のコラボレーション

を含めた事業で

異なるチャンネルからの収益で

自身が経営する会社を

成立させている。

 

2022年は

コロナ禍にも関わらず

過去最高の売り上げだったし、

(2020年は

過去最悪の売り上げだった)、

会社としては

家賃をちゃんと払えている(苦笑)。

 

僕が自分のスタイルを

全業と呼んでいる事を

ご存知の方もいるだろう。


いたずらに

事業を

拡張するのではなく、

音楽を作ったり

選んだりして

あくまで

音楽に関連する仕事、

つまり、

音楽を活用したビジネスで

業界をサバイヴして来た。

 

従業員二名の小さな会社だが、

来年、

25周年を迎える。

 

ない知恵絞って

何とか

継続出来ている。

 

実は

DJの収入が少ない事には色々と

理由があるのだ。

 

以下、

箇条書きに。

 

①日本における音楽ジャンルの規模感

②僕の年齢

③キャリアの長さ

④クラブシーンの変化

⑤日本の経済状況

 

ざっとこの5つが

問題というか課題。

 

①だが、

日本における

ジャズや

クロスオーバー・ミュージックの

需要がない。

いや、少ない。

2000年代前半には

活況を呈していたけれど

今や空前の灯火。

 

②同世代のファンは

もうクラブに来ない

(ゼロではないです)。

僕が渋谷の

The Roomを作った時は25歳で

ターゲットは下5歳、

上5歳と考えていた。

 

③キャリアが長いと

ギャラが高いと思われる。

特に地方は

交通費や宿泊費もかかるので

呼びたいけれど、

呼べない・・・

という話を人伝てに

聞いている。

僕のギャラ

そんなに高くないのに...。

 

④コロナで夜遊びの傾向も

変わったのではないだろうか?

終電前に帰る人も増えたし、

そもそも大人で夜遊び

する人が減った

(若者は元気ですが)。

僕のジャンルは

クラブよりも

サウンド・バーの方が

引き合いが圧倒的に多いかな。

自分はクラブのオーナーなのに、

集客力がないので

責任を取って

レギュラーで回すのを辞めた。

 

⑤やはり日本は

経済状況が悪いと思う。

僕のギャラ、

スペイン、

モンテネグロは日本の10倍。

バンコク、

インドネシアは7.5倍。

ベルリン、

ブラティスラヴァで4倍。

 

でも、

ちょっと気になる事もある。


スロバキア

(首都はブラティスラバ)の

平均月収って日本より低いのに

一晩で現地の聴衆の

月収の半分位の額を

ギャラで貰ってるから

やはり、

バーやクラブで

飲む人が多いんじゃないだろうか?

 

日本人ってそもそも

ヨーロッパに比べて

飲む量少ないし、

30年のデフレで

収入の平均値も

下がる一方なので

やはり財布の紐wは

固いような気が...。


ま、

日本では

厳しい状況の僕だけど、

国が違えば、

DJだけで

食べられる可能性は

あるかもしれないな。

 

時代が違えば...

ってのもあるだろう。

僕がDJを始めた80年代後半、

大阪で

週に5本のレギュラーを持ち、

月収50万

なんて知り合いもいたな。

 

そして、

食べられているとしても

決してプロのDJとは言えない例も

示しておく。

 

ロンドンの知人から聞いた話。

DJをやった事のない素人が

インスタの

フォロワー数が多いだけで

パーティーの

仕事を貰えたりするそうだ。


人のMixを平気で流しているのに

クライアントは

そもそも

発注したDJのプレイを

聴いてもいないし、

フォロワー数が多い事や

見てくれ

で選んでいるから

プレイの内容は

どうでもいいようだ。

ロンドンですらこれ...。


嘆かわしい状況です。


Instagram

なんかのフォロワー数が

多いに越した事はないが、

本来、

曲を集めたり

人が真似できない選曲を

考案したり

スキルの向上を図る為

修練する方が

重要度が高い筈。


それらを全部やって

フォロワー数の多い

DJ Koco aka Shimokita

なんて

稀有な存在もいるけどね。

 

さて

長々と書いて来たけれど、

食えないからプロではない

という考え方が間違いである事は

お判り頂けただろうか?

 

ここからが本題(遅!)。


プロとはやはり腕の良さが必要。

DJの場合、

踊らせてナンボ。


しかし、

インフルエンサーDJが

その人気から

キャーキャー言われたり、

有名人崇拝から

無条件降伏的に

ダンスフロアーが

盛り上がる事もあるので

踊らせる事が出来たら

イコール、

プロだとは

僕は考えていない。


Mixの基礎的な技術を
身に付けている事は当然で
僕が考える
現実的な
プロのDJの条件はこうだ。

①選曲に対する
ポリシー/信念/哲学を持っている。
②その上で、
自分が考える正しい選曲が
実践出来ている。
③ダンスフロアーと
コミュニケート出来ている。
それは、
聴衆と話すという意味ではない。
その場にいる人に
インスパイアされて
曲をその場で選び、
その曲で
彼らを触発する循環を指している。
④逆境を乗り越えて
盛り上げる事が出来る。
ホームで盛り上げるだけじゃ、
真価を問う事は難しい。
⑤オリジナルのスタイルを
持っている。

あくまで、
自論なので
普遍的な基準ではない事を
付け加えておく。

正当化?
かもしれないね。

週末のDJだけで
食えるようになっても
僕は
好きな音楽を
一人でも多くの人に
聴いて貰えるように
平日にも色々やるだろうな。