きっと誰かが聴いている〜KYOTOGRAPHIE 3Days | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

今年も春の風物詩、

国際写真展KYOTOGRAPHIEが始まりました。

今年も僕はDJとして(DJと名乗るのは辞めたけど、

選曲家として、音楽家としてDJプレイは継続中なんです)

オープニングから3日間連続で

お手伝いすることになっていたんです。

 

初日はHYATT REGENCYで行われた

オープニング・パーティーでのDJ。

企業やブランド等V.I.P.の集まるパーティーって

選曲がとても難しいんですよね。

踊らせる訳ではないけれど、

雰囲気作りや空間の価値を上げる為に

音楽は必要不可欠ですから。

ちなみにKYOTOGRAPHIEのオープニングでは

Kyoto Jazz Sextetのライブを演ったこともありますし

(何と3時間10分!)、

”Love”がテーマの時は、

曲名にLoveが入った曲だけでDJをやったこともありました。

 

そう、僕の場合、単に演出効果として音楽を流すのではなく、

パーティーのコンセプトを選曲で表現するようにもしています。

今年のKYOTOGRAPHIEのテーマは、Vibe。

Vibarationが曲名に・・・とも考えたんですが、

数々のミュージシャンの写真を撮った

Albert Watsonさんもお見えになるし、

翌日MetroのKick Off Partyで演奏する

キューバ人キーボード奏者、Axel Tostaが

飛び入りするということだったので、

Watsonさん関連楽曲と

翌日のMetro用に選盤したラテン縛りのレコードを

をHyattに持ち込みました・・・。

 

今年のKYOTOGRAPHIEは、

オープニング・パーティーから

熱気が充満していました。

それは僕の個人的な印象ではなく、

会場にいらしたファッション・エディターの

祐真朋樹さんもそう仰っていました。

祐真さんは、

KYOTOGRAPHIEの代表でもある

仲西祐介さんに

「観た展示がどれも素晴らしかった」とも

直接熱く感想をお伝えになっていました。

7年目を迎え、すっかり京都に定着し

(仲西さんは市長のスピーチで”よそ”から来たけど

もう京都人!みたいにお墨付き貰われてましたw)、

その質の高さの周知も行き渡り、

期待が益々高まっているのかもしれません。

 

そして、この日のゲスト・パフォーマンス、

オープン・リール・アンサンブルのパフォーマンスも

とてもエネルギッシュで良かったです。

オープン・リールを楽器として使う?

オープン・リールと竹の組み合わせ?

オープン・リールを叩きまくってるけど切れないのか!!??

と謎と不安だらけのライブでしたが(笑)、

画期的にして芸術的、

しかも、そこはかとなくYMO感もあり・・・w。

 

で、その流れから僕は

坂本龍一さんの曲をかけたんですよね。

Watsonさんが撮影されたことがありましたし、

今年のKYOTOGRAPHIEのポスターにも

その写真が使われてましたし・・・。

 

勿論、僕はDJと言ってもBGM係ですから、

気付く人はいなかったんですが・・・(笑)。

ま、その辺りをさりげなく入れるのが

僕はプロの選曲家だと思っていますけどね。

 

で、翌日のMetroがまた凄かったんです!

KYOTOGRAPHIEのKick Off Partyは、

2015年から毎年参加してますが、

今年は店に入れない位人が押し寄せていました。

KYOTOGRAPHIEの関係者とAxel Toscaのファン、

更にはDJ達のお客さんの全てが駆けつけ、

いい具合でミックスされてたんじゃないですかね?

あんなMetroは久々に見たし、

昔のナイト・クラブの盛り上がりの再来と、

音楽に対する聴衆の真摯な好奇心みたいなものを

強く感じました。

仲西さんも「昔のクラブの感じ、こうでしたよね~」と

仰ってましたし。

 

Axcelのライブが盛り上がり過ぎて、

僕は、20分押しの状態で始めることに・・・。

人生初?のラテン縛り!

ありそうでなかったんですよね。

ラテン・ファンクからEddie Palmieriをブリッジにして

サルサ・タイムに突入!

同じ週に東京でEddieさんのライブを観ていたものですから

僕のテンションも半端なかったんです。

彼の曲、都合、4曲位かけたかな~。

発売されたばかりのROOT SOULの「Spirit Of Love」

(Eddieさんもカバーした名曲)も織り交ぜ、

最後は丁度誕生日だったHerbie Hancock

(AxelもMaiden Voyageをライブでカバーしたんです)

のSaturady Night(実際に土曜)で締めました。

全編大盛り上がりで、手応えがあっただけでなく、

Metroの健在ぶりにもただただ感無量でした。

帰り際に楽屋に挨拶に行ったら、

Axel Tosca Trioのドラマー、

Amaury Acostaが僕のDJに反応してくれてましたねぇ。

ステージの後、一旦、涼みに出て

戻って来たらEddie Palmieriの連発に大興奮だったそうです。

何でも今回一緒に来日する筈だったベースが

Eddie Palmieri Orcestraのベースだったらしく

(僕、多分東京で会いましたw)・・・・。

 

そして、日曜は、

Albert Watosnさんの展示が行われる京都文化博物館にて、

招待客オンリーのプライベート・パーティーのDJでした。

僕は、会場の入り口付近でBGMを担当。

展示会場と壁を隔てた通路に続々とお客様が入って来られる間も

もくもくと音楽をかけていました。

プライベート・パーティーでしたので、

エレガントな曲、ドラマティックな曲、

そして、ジャジーでテンポは早過ぎない上に、

グルーヴ感のあるものを選んで行きます。

勿論、その中に、Albert Watosonさんが撮影した

ミュージシャン達の曲を挟み込んで行くのが

その日の僕の狙いだったのです。

 

お客さんの服装や年齢層、男女比や着ている服の好み

(全て選曲を決定する際のフィルターになるんです)

を観察しながら曲を選んでいると、

KYOTOGRAPHIEのスタッフで若い女性が

僕に声をかけてくれました。

「私、坂本さんのアルバム『Summer Nerves』が

大好きなんです!

Hyattでかけて頂いてありがとうございました!!」と。

彼女は、僕がかけた「カクトウギのテーマ」

(『Summer Nerves』に収録)に気付いてくれてたんです。

BGMってはっきり言って脇役ですが、

それでも、ちゃんと聴いてくれている人がいるんだなぁと

嬉しくなってしまいました。

 

お客さんがほぼほぼ博物館の2Fに移動された後も

(Albert Watsonさんのスピーチが予定されていたので)、

僕は遅れてくる人の為に音楽を流し続けていました。

誰もいなくなったエントランスで、

スピーチの後のカクテル・パーティーの為準備が始まりました。

そして、今夜の主役、Albert Watsonさんも奥様と共にご到着・・・。

しかも丁度、彼が撮影を担当したSADEの『Love Deluxe』から

「I couldn’t Love You More」をかけ始めた所だったんです。

気付いて頂けるかなーと思ったものの、あっさり素通り(苦笑)。

 

今回、展示でSADEの写真も観られるので、

本当はスピーチの後、

お客さんが展覧会をご覧になっている時に

それをかければ良かったんですが、

選曲の流れでハマっちゃんたんです。

「I coudn’t Love You More」が・・・。

ま、アルバム持って来てるから他の曲を、

後でかければいいかなぁと思っていたその時!!

 

何と目の前にAlbert Watsonさんが(驚)。

階段の下で通訳の方と一緒に待機されてるのは

視界に入ってたんですが・・・。

 

「俺がこの曲のビデオも撮ったんだ」と

満面の笑みで、レジェンドが

僕に話しかけているではありませんか!

 

え、今、何と仰いました?

写真を撮られたのは知ってましたが、

ミュージック・ビデオもWatsonさんとは

知りませんでした。

 

通訳の方に導かれ

2Fで行われるスピーチに向かわれましたが、

ちゃんと僕の選曲を聴いて下さっていたことが嬉しかったです。

お声がけ頂いたことも光栄でしたけど、

僕がSADEをかけていることに気付いて頂いたことに

何よりも感激しました。

たとえBGMと言えども、

ちゃんと聴いてくれている人はいるもんなんですね。

 

スピーチ中は一旦音楽を止めたんですが、

終了後再び僕のスキルを密かに皆さんに披露。

ジャズ・ファンクから、ジャズ・ロックを経て

Albert Watosonさんが撮影されたMick Jaggerが歌う

The Rolling Stonesの「Miss You 」を

ロング・ミックスで挿入。

そこからディスコっぽい方向へシフトして行きました。

The Rolling Stonesが流れた際には、

Watsonさんの奥さんも思わずダンスされてたようで、

主役の奥様にも反応頂き、

予想以上の好反応ではなかったかなと。

 

ところが!

油断大敵・・・。

この直後に思わぬ事故が発生するのです。

 

何と電源が落ちて音が止まってしまったんです・・・。

こればかりは僕にはどうすることも出来ません。

 

Party会場が突然、

真夜中の駅のような状態に。

しかも何のアナウンスもなく、

皆さん、

何処へ行くべきかも知らされない不安な乗客状態に・・・。

 

突如訪れた無音状態で、

僕はあることに気付きます。

BGMは、流れていてもあまり気にならないけれど、

なくなるとその重要性が痛い程身に染みるのです。

それは空気にも似た、目に見えない装飾で、

消えてしまうと、息苦しくなり、

視界を殺風景なものにしてしまうのです。

 

お客さんの居心地の悪さが

手に取るように伝わって来ます。

目に見えるものは何も変わらないのに、

何もかもが違って見える錯覚。

きっと彼らも失われた価値の存在に気づいた筈・・・。

 

電源が復旧するや否や

僕はマイクを取ってお客さんに

即興のスピーチを披露しました。

電源のトラブルでご迷惑をかけたことを詫び、

改めてレジェンド、

Albert Watsonさんを紹介したのです。

 

拍手喝采!

僕はすかさず、キラー・チューンを投入しました!!

沈黙を破ったのは David Bowieの「Let’s Dance」。

2日前から仕込んでいたものの、

どういう流れで投入すればいいのか

皆目検討がつかなかった名曲を

トラブルから立ち直る時の起爆剤として起用したのです。

災い転じて福となすとは

まさにこの事です。

流石に全員が踊り出す!

というミラクルは起きませんでしたが、

誰もが知る曲ですっかりその場の空気は和み、

関係者からは感謝されるなど

これまたプロの面目躍如を果たすことが出来ました。

その後Roy Ayersなどのブギーから

James Masonのカバーを経て、

再びSADEのLove Deluxeから「Kiss Of Life」に辿り着き、

パーティーはお開きとなりました。

 

感激からの、危機、そして大円団・・・。

 

ホント、毎度のことですが、

僕の人生色々とハプニングが起こりますね(苦笑)。

 

余談ですが、

Albert Watsonさん夫妻は僕の妻と同郷で、

話に花が咲いてました。

地元トーク??

あれ、世界共通なんですかね?

並んで妻が話し終わるのをお待ち頂いていたファンの方!

申し訳ありませんでした(笑)。

この場をお借りしてお詫びします。

 

PS

 

このブログを書いていて、

何故ジャズのDJがDavid Bowieなのか!

を説明する為に参加ミュージシャンを調べていたら、

「Let’s Dance」のドラムってOmar Hakimだと判明。

次にかけたRoy Ayersと同じドラマー・・・。

プロは潜在意識で曲を選んでいるですね。

 

 

Albert Watsonさんと記念撮影。

 

Kyotographieは5/12まで!

https://www.kyotographie.jp