ありがとうフジロック!さようならTCJF? | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

あれからもう1週間が過ぎたのか・・・。

車で京都から乗り込み
テントで2泊し、
最終日はDJが終ってそのまま12時間かけて京都へ。
何とその後、
月曜の深夜2時までDJをするという超ハード・スケジュール・・・。

もとい、
フジロックフェスティバル
最高でした!


既に色んな方が
WEBやブログに書かれているので
今更感もあるんですが、
何せ大阪の後、さすがに1日休んだものの、
東京で2日間ライブとDJがあり
京都に戻って自分のイベントがあり
その合間には打ち合せや
ラジオと
有線のアプリケーションの選曲があり(都合130曲以上を用意)、
怒濤のスケジュールだった為、
今まで書けなかったからしょうがないやん
と言った方がいいかもしれません。

何が良かったかって
雨が降らなかったこともさる事ながら、
僕にとって
今年のフジロックは
まさに
理想の夏フェス
であったという事。

ジャズに影響を受けたアーティストと
ダンサブルなジャズを演奏するアーティストが目白押し。
その面子を1ステージに集めれば
世界的に見ても
強力なジャズ・フェスが完成した筈です。

実は、
僕が12年前に
TOKYO JAZZ CROSSOVER/JAZZ FESTIVALを始めた時、
王道のジャズ・フェスはあったものの、
ジャズに影響を受けたダンス・ミュージックや
踊れるジャズに特化したフェスはなかった・・・。

だから第一回目のビジュアルは
どうせフェスをやるなら
いつか野外で、
フジロックみたいな規模を目指すか!
的な野心を込めて
こんなフライヤー(ポスターも)を作ったんです。



2年休んだけれど
10回開催し
2014年には
10周年を迎えることができました。

しかし、
去年は、敢えて開催を見送ったんですよね・・・。

何故なら
KYOTO JAZZ SEXTETでTOKYO JAZZに出演し、
BLUE NOTE JAZZ FESTIVALが始まり、
MONTREUX JAZZ FESTIVAL IN JAPANが東京に移って来たから。

いつの間にか、
クラブ・ジャズ&クロスオーバー系のアーティストが
出演できる舞台が3つもある事に気付いた。

果たして僕がやる必要があるのか・・・。
そんな風に思い始めたんですよね。

でも、
その3つのフェスの全てをチェックし、
改めて僕はTCJFの存在価値を再認識したんです。
止めちゃいかん!
僕にしか出来ない事があるから続行するぞ!と。

ところが、
その決意は
今年のフジ・ロックで
脆くも
崩れ落ちることになります(苦笑)。

だって、
THE INTERNETに
ROBERT GLASPERに
Fox Capture Planに
dCprGに
SOIL&"PIMP" SESSIONに
UAに
Ego-Wrappin'に
JAMES BLAKEに
DISCLOSUREに
SQUAREPUSHERに
KAMASI WASHINGTON・・・。

ちょっとちょっと
これ完全に
フジロックの
TCJF化ですやん!


いや恐れ多いっすね。
フジロックが
たまたま僕が好きなアーティストを
多目にブッキングしただけで
TCJF化した訳じゃないですよね。

しかし、
どう考えても世の中は
僕の好きな路線に傾倒している!
12年前には考えられないブッキングは
僕の目指す方向に
間違いがなかった事を裏付けてくれたのです。

ありがとうフジロック!!

しかもですよ、
僕が出演した、
そして
僕がフジロックで一番好きなステージ、
クリスタル・パレスでは
UNIVERSOUNDSの尾川雄介さんが回し、
須永辰緒さんも回し、
DRILL SOUND SYSTEMもプレイするという
まさにThe Roomなライン・アップ。
で、
Fields Of Heavenに出演した
G.Loveもそこで演奏するという
とんでもない事が起こったり・・・。

つまり
今回のフジロックは
僕の番組、
JAZZ ain't Jazzのリスナーも、
The Roomのお客さんも、
TCJFのファンも楽しめた
もの凄くジャジーな回だったと思うんです。

もうTCJFをやる必然性はないのかな・・・と
落ち込む暇などない程、
僕は色んなステージを楽しみました。

中でもKAMASI WASHINGTONのライブは圧巻で、
スピリチャル・ジャズをベースにしながらも、
そこにファンク、ブギー、
果てはヘビー・メタル(苦笑)の要素までをブチ込む
"超クロスオーバー大会"になっていました。

まるで
ファラオ・サンダースと
P-FUNKと
エドガー・ウインター・グループ?が
合体したような混沌としたステージは
レッチリを
今年まで
レッド・チリ・ホット・ペッパーズと思い込んでいた
僕にとって、
完全にヘッド・ライナー的存在でしたね。

個人的には
ジャズがロックを越えた日・・・
と言っても過言ではないインパクトがあったように思います。
彼を今年のTCJFにブッキングする話しもあっただけに
ライブを観る前は複雑な心境でしたが、
とにかく我を忘れて楽しみました。

かくして、
TCJFを野外で、
そして、フジロックみたいな規模を目指すという
僕の夢は破れたものの、
奇しくも
フジロックがあたかもTCJFが目指した方向性に接近し
僕の願望を実現するという
摩訶不思議な状態に陥った20周年となりました。

いや、本当に素晴らしかった。

かくして
三日間の高揚状態の後も
DJやらライブやらイベントで
突っ走った僕は、
今日
ようやく
脱力感に苛まれ
現実と向き合っている訳です。

そう

僕は自分に問いかけているんです。

お前、
まだTCJFやんのかと・・・。

去年僕が
数々のジャズ・フェスへの出演や参加を通して
改めて知ったTCJFの存在価値は
まだあるのだろうかと・・・。

ブログを書き始める前、
僕はTCJFを終らせるつもりだったんです。

でも
ここまで書いてある事に気付きました。

12年前、
確かに
僕が行きたくなるフェスはなかった。

そして、
今は、行きたくなるフェスがある。

でも
僕が観たいアーティストが
そこに揃っているかというとそうでもない・・・。

例えば
マンチェスターの
MATTHEW HALSALとか、
NYと上海を拠点とする
THEO CROKERとか、
ブラジルのレジェンド、
BANDA BLACK RIOとか、
パリ在住の
ARCHIE SHEPPとか・・・。

勿論誰かが呼んでくれたら嬉しいけれど、
その人達を何処で観るかということに
僕は今凄く興味を持っているんです。

今月から新しく始めた、
"MODERNISM & RHYTHM"は
モダニズム建築の中や外を使って
音楽イベントを行なうプロジェクト。

そんなことをやっている人はまだいないし、
それとTCJFを絡めるのも面白いんじゃないかと
僕は思い始めています。

だから
フジロック的なものを目指したTCJFとはお別れだけど、
新しい形のTCJFは今後も続いて行く筈です。

僕は
音楽もイベントも
常に今まで
なかったものを提案したいと考えています。

だから
TCJFを始めた時の気持ちを取り戻し、
もう一度
一からやり直すつもり・・・。

夢が破れたのに
願望が実現するという
悲しいような嬉しい体験は、
僕の力不足を露呈させたものの、
僕の嗅覚の正しさを証明したと思いたい。

今、
僕は
鼻を鳴らして
次の準備に踏み出そうとしています。