ライブ会場に到着 | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

JAZZAMARと
EDDYとYANNAHと僕で
送迎用のバンに乗り
WORLD WIDE FESTIVALのライブ会場に向かった。

丁度、日の暮れ時で、
町並みに明かりが灯り始めている。


西側の低い低い空が、
オレンジに染められた部分減らして行くと同時に
ある時間帯にしか見る事のできない
透き通って発光するような青さが
僕の上空を覆って行った。

今回、
3つの会場に跨がって
WORLD WIDE FESTIVALが行われているのだが、
僕達が到着した一つ目の会場は
(JAZZAMARとEDDYとYANNAHは前日、
既にそこを訪れていた)、
巨大な中世の要塞のような建物であった。

裏口から
関係者が溜るバック・ステージに入ると
JIMI TENORと彼のバンドが準備をしていた。
遊牧民が身に纏うような民族衣装を来て
JIMIが屈伸運動をしている。

アーティストの為のビュッフェに
JAZZAMAR達が向かった。

古い建物の裏口近くに蛍光灯で照らし出された
その食事が入手できるスペースは、
ちょっと戦後の配給を連想させた(笑)。
僕は、一瞬躊躇したけど、
食べ放題の牡蠣が
どんどん消費されて行く様子を目の当たりにして
自分が空腹である事を急遽自覚する事になる。
牡蠣は苦手だったけれど、
そのペースの早さは、
僕が直に食べ物にありつけなくなるか、
或は、
本場の地中海料理が
絶品である事を物語っていたからだ。

しばらくすると
少年のような笑顔で
一人の男がが僕に近づいて来た。

「ハロー、シューヤー、よく来てくれたね」
そう、それはFESの主役、
GILLES PETERSON。

そもそも今回のブッキングは、
GILLES と僕が一緒にプレイする
(結局、GILLESはキューバに行ってしまって
一緒に回す事はなかった)
ロンドンでの20周年記念パーティーの後、
そのまま
ヨーロッパにいるのなら
(結局、DJ KAWASAKIの誕生日パーティーで回すため
一時帰国する事になってしまった)
WORLD WIDE FESTIVALに出ないか?
とGILLESが僕に声をかけてくれた事が
きっかけで実現している。

「会場を見てくれたかい?」
GILLESが
僕の驚く様を想像して
予め同意を求めるような表情で
瞳を大きく見開いた。

僕は
ステージの脇にある階段を上がって
サウンド・エンジニアが作業しているPA卓の
影から会場内を見渡した。

なんとそこは
ローマ時代のコロシアムを半分に分断し
片側の客席だけを残したような構造になっている。
反対側の建物はそのまま断崖絶壁から
突き落とされてしまったかのように
ステージの背後には
月に照らされて表面が輝く
夏夜の地中海がどこまでも広がっていた。

GILLESの元に駆寄ると
僕は彼を賞賛し
全ての無事を確認してみた。

「それが、そうでもないんだよ・・・」

一瞬、
GILLESの顔が曇る。
「JAZZANOVAのALEXのレコードが行方不明なんだ・・・」