菊地成孔ダブ・セクステット | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

昨日、
オーチャード・ホールで初となる
DJプレイを敢行しました。

菊地成孔ダヴ・セクステットの
オープニング・アクトとして。

着席形式、
しかも
初めてDJなるものを目撃するであろう
お方も多かった事でしょう。

さて
一体何をかけるべきか?

そして、
最先端ジャズを実践する
菊地氏の前座として
何をかけるべきか?

時間は、わずか40分。

僕が出した答えは・・・。

まずは、
60年代ウェイン・ショーターにディレイをかけまくりました(笑)。
一応、DJプレイにおけるダブ処理で幕を開けてみたんです。
スペーシーなSEをバックに忍ばせ、
僕なりの菊地さんへのオマージュだったんですが、
開場10分後だったので
まだオーディエンスはちらほらな感じ。
ソロの盛り上がりでフィルターをかけまくったりもしたのですが、
僕の気合いとは裏腹に
若干空回り気味?
会場内に
ジャズは嵌っていたものの
僕の努力は虚しく響いているようです(汗)。
徐々にディレイのフィードバック成分を減らしてゆきました。

続いて
これまた
60年代ハンコック。
ちょっと守りに入っちゃったかな?
ちょっと
強面のおじさまが鋭い眼光で
僕を睨みつけていたのに気付いたので
ザ・ジャズなプレイに。

これなら
「KYOTO JAZZ MASSIVEの
どこがジャズやねん???」

怒られる事もないでしょう。

うっすら
ダブ処理&フィルター再び。

徐々にオーディエンスが
入場して来ます。

このまま
モダンな感じを続けるべきか?

それとも

僕が考える
”クラブ・ジャズ”というものを
提案するべきか?

分岐点に差し掛かりました。

場内はまだ明るく、
勿論
ダンスできるような場所ではありません。

立たせてやるぞ!!!
みたいな野望は
そもそも
持っていませんが、

ジャズだけどなんか変だな?
とか
ジャズだけどなんか身体がムズムズするな?
とか
ジャズじゃないけどジャズに似てるかも
みたいな事を
お越し頂いた皆さんに
感じて貰えればな・・・
とは思っていたんです。

僕が選択したのは
「MORNIN'」でした。
ま、4ビート繋がりですよ、まっとうに。

はい、アート・ブレイキーで有名なやつです。
これ、知らないジャズ・ファン、いないですよね?

当時、そば屋の出前でも口笛で吹いていた???
なんてエピソードがジャズ雑誌では大ヒットの
証しとして語られたそうですから。

実は、
クラブ的にはかなりコンサバな曲で
ほとんどかかる事はない(涙)。
僕、好きなんですけど・・・。

でもね。
そこは、自称世界ランカーの僕ですから、
普通にかけたりはしないです。

選択したのは。
LAMBERT,HENDRICKS&ROSSのヴァージョン。

でも、何かが違う!!!
そう、これはDANNY KRIVITのRE-EDIT。

そこに、
JOHN COLTRANE「BAHIA」の
ITALOBOYS REMIXを強引に重ね合わせる!!!

このMIX完璧だったでしょ(照)?

ここで
観客が総立ち!!!
だったら良かったんですが、
そんな訳には行きません。

全然コルトレーンじゃない
ハウス・ビートに
ピアノのループ&ディレイ+サックスのリバースは
ちと厳しかったか(涙)。

気を取り直して
再びDANNY KRIVITのRE-EDITを投入。

ここらで、
自分の曲を差し込んでもいい時間帯でしょ?
曲は
「THANK YOU」。

SLEEP WALKERのヴァージョンですから、
ぐっとジャズに回帰します。

客席がどんどん埋まっていってるなー
と見回したとたんに
照明が落ちて行きます。
突如として
舞い降りた闇を凝視すると
なんと
オーディエンスが
蠢くように
踊り狂ってるではありませんか!!!

というのは
冗談です。

ただ、
「THANK YOU」
の後の
「BROTHERHOOD(MARK MAC)」REMIXを
かけた時に、
そのブレイク・ビーツのループに
歓声が!!!

お一人でしたが(苦笑)。

ここまでで
35分。

最後に
何かけたと思います?

BPM122ドラムのループを曲の最後に再度呼び出し。
BPM 61のマイルス・デイビスをMIX。

これ『DJ選曲術』でも書きましたが、
テンポを半減させるテクニックです。

ただ、そのままかけても面白くないですよね。
打ち込みと生音のMIXと思いきや
徐々に
マイルスにダブ処理を施し、
リズムがどんどん崩壊状態に。

このカオス状態、
クラブではあり得ないし、
オーチャードでもあり得ない・・・。

そして、
大きな拍手を持って迎えられ
菊地成孔ダブ・セクステットが登場。

ドラムのループは、
フィルターで消滅させ、
マイルスをフェーダーの操作と75%のディレイで
切り刻んで行きます。
もはや、原曲の面影は殆どありません(謝)。
そのフィード・バックに
本田珠也&パードン木村の両氏が
絡んで
ライブが開始・・・。

こんな事だったんです。

菊地さんのライブは
是非
ご本人のブログをチェックしてみて下さい。

きっと、とても面白い内容になっていると思います。

こんな
アウェー感、
ちょっと味わえないよなー。

でも、
大ホール初DJという
普段味わえない緊張感、
そして、
クラブ・ジャズとは一体何なのか?
果たしてジャズとクラブ・ジャズは融合できるのか?
更には、
最先端ジャズのクリエーションを試みる菊地成孔氏に
拮抗しうるDJプレイが自分には可能なのか?
という
様々な課題を突きつけられた
かつてない
崖っぷち状態は
非常に良い経験となりました。

改めて
お声を掛けて頂いた菊地さんに感謝します。

ありがとうございました。

そして、
メンバーの皆さん、
お疲れ様でした!!!

PS

菊地さんのコンサートにお越し頂いた
無数の知的美女達

明らかにジャズしか聴かないであろう
強面のおじさま達

沖野修也の存在を知ってもらえた事は
大きな収穫だったと思います。

彼らに
僕のプレイを楽しんで頂けたかどうかは
ジャズの神様のみぞ知るところですが・・・。