金蹴り小説:青春の痛み<中学生編> | 天使のピリ辛エッセイ

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 しゅんすけです。わたくしめは他人様と性行為は一切行いませんが、金蹴り等、男子が急所をヤラレテしまう場面を妄想するという正真正銘の変態です。その変態しゅんすけが送る金蹴り小説シリーズ。

 桐山大輔は中学生になりました。さて今夜も一気に書いてまいります。いつもながら誤字、脱字、衍字等々お許しくださいませ。

 

 青春の痛み<中学生編>

 

 学校で性教育があった。確か「こんにちは13歳」というタイトルのDVDを鑑賞した。内容は思春期に男女はそれぞれどんな風に成長するのか、そして互いをどのように理解していくのか、という中学生の俺たちが見ても興ざめしてしまいそうなものだった。

 俺は中学2年生になった。

 

 DVDの中で女子の身体についても詳しい説明がされていた。乳房の発達、初潮、女性ホルモン、それら全て男子を魅了するものだが、俺たちは既に雑誌や漫画でもっと即物的な予習をしていた。オッパイを揉まれた女の子はイク時にオチチを出すということも。そして男子の身体、特に性器を横から解説した時、睾丸について「ここは男子の急所です」なんて言いやがって、おかげで女子はケラケラと笑いながら俺たちにちょっと卑猥な視線を送る。俺たちは「あの痛みが女にわかるかよ」と心持ち膝を閉じて言い返す。

 

 俺は中学生になってもちろんサッカー部に入部した。小学生の頃はエースだったが中学生になると3年生の先輩の圧倒的な体格と技術に翻弄されてばかりだった。昨年はほとんど試合に出ることもできなかった。2年になった今、ようやくレギュラーに届きそうだ。俺は益々サッカーにのめりこんでいた。

 

 掃除の時間、親友の小久保と廊下でじゃれ合っていた。小久保とは小学校もクラスは同じだったがほとんど話をしなかった。サッカーが上手いわけでもなかったし、面白いことで皆を笑わせるようなタイプでもなかった。もちろんいじめられっこでもない。そんな小久保と俺は中学2年になって急速に友情を深めていた。きっかけは、男子中学生なら誰でもするような猥談だった。

 

 俺もまだ身長が155㎝くらいだが、小久保はさらに小柄だ。同じくサッカーをしているが体格のせいか1年生の上手いヤツにさえ追い抜かれていっている。本人はそれに焦っているそぶりがない。いやそう見せないだけなのかもしれないが、いつも飄々としていて和ませてくれるようなキャラクターだ。

 

 小久保が言った。

 「桐山、お前チン毛生えているのか?」

 

 「おい、お前は生えてねーのかよ(笑)、お前ツルチンか」と言ってその場を逃げようとしたが、小久保が追い打ちをかけてくる。

 

 「逃げんなよ、お前も生えてねーんだろ」

 

 実のところ俺のペニスにはうっすらの陰毛が生えていた。風呂場で湯に濡れたら一つの束になってしまうような申し訳程度だ。しかし、生えているのと、生えていないのでは雲泥の差があるはずだ。

 

 「俺は生えてるぜ、山田先輩みたいなボーボーじゃないけどな!」

 「山田先輩はジャングルだ!」

 と言って2人して笑い転げた。無性に可笑しかった。俺たちは廊下に崩れてそのままプロレスを真似ているのか、総合格闘ごっこしているのかさえ分からないような態でくんずほぐれつしていた。俺たちは本当にいつもこんなことをしていた。真剣な初恋もまだだ、けれども女の裸にだけは興味があった、そして自分の性毛など身体の変化についても、俺たちは屈託なく話して、そしていつもきまってじゃれ合って終わるのだ。

 

 山田先輩は3年生でサッカー部の主将。身長も170㎝はあった。サッカーだけでなく運動神経抜群、俺たちのヒーローだった。そこへ本当に偶然にも山田先輩が教室から飛び出して来た。

 

 廊下で結んだ紐みたいになっていた俺たちは慌てて身を起こして大声で叫ぶ。

 「山田先輩、こんにちは!」

 

 山田先輩は俺たちの挨拶を無視した。理由はすぐに分かった。先輩の後をおそらく同じクラスメイトだと思う女子が追いかけてきてまるでカップルみたいにじゃれ合い出したからだ。さすがはサッカー部の主将だ。中学生にして男女交際かよ。そういえばDVDの中でもこんな場面があったぜ。

 

 先輩もかっこいいが、女子もなかなか可愛い、いや美人なのか。俺たちはぼんやりとその光景を眺めていた。するとふいに女子が先輩の股間を蹴った。ほんの軽い蹴りだ。少なくとも俺にはそう見えた。

 先輩は苦悶の表情を浮かべて前かがみになる。多少の演技はあったのだろうが、同じ男子として背筋がゾクっとした。小学6年生の時、5年の小田に急所を蹴られた時のことも頭の何処かにあったのかもしれない。

 

 先輩は暫くの間股間を押さえて痛がっていたが、女子が笑いながら走っていくと、「待て!」と短く言って追いかけていった。やはり演技だったのだろうか。

 

 気が付くと掃除時間も残すところわずかになっていた。終わる数分前に放送部のヤツらが決まって同じ音楽をかけるのでわかるのだ。何ていう題名かは知らないが、リズミカルなテンポだ、踊りだしたくなるような、そう、こういうのをルンバっていうのか。

 

 ♪チャチャチャ、チャラチャチャ、チャラチャチャ、チャラッチャチャ~

 

 小久保がふざけた調子で口にするとサッカーボールを持ってきてリフティングをし始めた。ボールを俺にキックで渡す。右足で受け取った俺がリフティングやり始めると、教室の中から何人かの女子がぞろぞろと集まってきた。

 

 「掃除やってくれるー!」

 

 リーダー格の浅野が小さな怒気を含んだ声で警告する。

 

 ♪チャチャチャ、チャラチャチャ、チャラチャチャ、チャラッチャチャ~

 

 俺と小久保は聴こえないフリをしてリフティングを続ける。

 

 ♪チャーラチャチャラッチャー、チャラッチャー、チャラッチャー

 

 音楽もそろそろ終わりそうだ。浅野が箒を持ってきた。そして友達の川島に渡した。どうせ俺たちに放り投げて早く掃除しろ、バカ男子、くらいのことを言うのだろうと思っていたら、川島が俺の真後ろに立ったのが分かった。

 

 「あ?」

 

俺はボールを足で廊下に止めて後ろを振り返った。

その時だった、箒が俺の股間をくぐり抜けていったのだ。真正面には浅野がいる。俺と目が合った。浅野は微笑していたように見えた。箒の柄の先が浅野の手元で握られる。そして浅野はその手を真上に上げた。

 

 ♪ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ

 ♪ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ

 ♪ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ

 

浅野と川島の声がする。他にも女子が周りで囃し立てていた。そしていっせいに俺の周りに集まって箒を手にした。箒は無残にも俺の股間を持ち上げいたのだ。箒の硬さが俺の睾丸をグリンと左右に割った。40㎏そこそこの俺は女子が何人か力を合わせれば容易に宙に浮かせることができた。箒を上へあげると、俺の体も上へ、下におろすと、俺の足は廊下に着地した。それを何度も繰り返された。

 

 「お、お、おい、やめてくれ、たすけてくれ、きんたまがつぶれるぜー!」

 

 「ここ、男の急所なんでしょう?さっき観たもんね~」

 

 女子は俺の顔が青ざめてきたのを見て漸く解放してくれたが、俺は山田先輩のような演技ではなく本当に男の急所が痛くて前かがみになったまま暫くの間、股間を押さえて苦しんでいたと思う。

 俺は叫んでいたのか、呻いていたのかさえ判別できないほどに潰れた声を出していたそうだ。お調子者の小久保は傍観者にしかなれなかったそうだ。次は俺がヤラレちまうと思ったら、桐山を助けられなかったと後に言い訳をしていたが、俺は一発小久保に蹴りを入れた。

 

 それ以来女子たちは箒を男子の股間に通してみんなで持ち上げる遊びを流行らせた。「オミコシ」という。ワッショイ、ワッショイ、と声がすると男子は逃げた。

 あの時かかっていた掃除の音楽、後年ジャマイカルンバというのを知ったが、俺はそれを聴くと今でも女子の悪魔の遊戯を思い出す。