こんばんは!
経営戦略と戦略会計で会社を変える、FSAコンサルティング株式会社社長の谷川俊太郎です。
今日はもう12月27日、年末ですね。正直全然そんな気がしないのですが・・・。私が所長を務めている谷川会計総合事務所の御用納めは明後日です。とはいえ、明後日は大掃除だけですので、実質仕事は明日で!もうそんな時期なんですね~。時が経つのは早いです。
さて、今日は水曜日!2017年最後の【他社戦略】更新していきます!
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【記事要約(平成29年12月20日 日経MJ P14 より】
ロッテは中高年消費者の「記憶力維持」の効能をうたう機能性表示食品ガムの販路を広げる。小売店向けの専用じゅう器を5割増やし、文房具売り場など食品コーナー以外への設置を働きかける。国内のガム市場は縮小しているが、9月発売の同商品の販売は当初の計画を上回る滑り出しを見せている。消費者との接点を増やし、潜在需要を掘り起こす。
従来はカカオ分を多く含むチョコレートや米菓など、中高年の購買が多い食品の売り場に設置されていた。追加したじゅう器は、文房具コーナーや祝儀袋コーナーなど食品以外の商品が並ぶ場所にも設置するよう働きかける。
(記事要約終わり)
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「記憶力維持」!魅力的な言葉です!と、いうのも正直私は自分の記憶力に自信がなく…。忘れることが多いんですよね。このガムは中高年を対象ということですが、私(35歳)も必要かもしれません。私は面白い文房具を眺めるのも好きなのですが、その時にこのガムが置いてあったりしたら…思わず買ってしまうかもしれませんね。
何かを書くときに記憶力が衰えたことを感じます。特に漢字を書くときなどに顕著に感じます。なので、文房具を見る→記憶力が低下していることを思い出す→記憶力ガム という流れで見つけてしまったら…。買っちゃいますよね。必要性を感じるからです。良い売り場だなと思います。
では、今回注目した点は以下のことです。
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【記事で特に注目した点】
TPOがニーズを現すとよく理解した販路開拓をしている点
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<注目した背景>
今回これに注目した理由の理論は佐藤義典先生の、「戦略BASiCS」からです。以下、「戦略BASiCS」を簡単に説明します。
*例によって、理論が分かりにくかったら、 佐藤義典先生の理論のせいでなく、私の説明の力量不足です。その場合は、佐藤義典先生の著書を是非読んで下さい。
戦略BASiCSの解説
この「戦略BASiCS」は、佐藤義典先生の中核的な理論です。ですが、この理論、見た目は簡単でも、非常に奥が深いです。ですので、ここで書くのは、あくまでもさわりのところだけです。詳しく知りたい方は是非佐藤義典先生の本を読んでみて下さい。
「戦略BASiCS」とは、経営戦略・マーケティング理論は世の中に数多ありますが、まとめると5つのパターンに分類され、それを再構築した経営戦略理論です。そして、その5つを一貫性と具体性を持って考えることで強い経営戦略ができるという実践理論です。その5つは以下の通りです。
Battlefield (戦場・競合)
Asset (独自資源)
Strength (強み)
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Customer (顧客)
Sellingmessage (メッセージ)
頭文字をとって「BASiCS(ベーシックス)」です。それぞれを簡単に説明すると、
B :自社が戦っている戦場・戦っている相手(競合)を明確にし
A :競合が真似できない強みをささえる資源を構築し
S :資源を強み(自社から買ってもらえる理由)にし、
C :自社の強みを選んでくれるお客様に対し
Sm :メッセージを伝えて選んでもらおう
とこのような考え方で構築される理論です。「お客様(C)が、競合(B)でなく、自社を選んでもらう理由を強み(S)とし、それを独自資源(A)で支え、それを伝えよう(Sm)」という言ってみれば当たり前のことです。ですが、これを自社で考えると難しいです。この理論、すべてにおいて「一貫性」を持つことが重要です。例えば、とても高品質なワンピースを作れる縫製技術(A)があるが、それを「ウチの強み(S)は『安さ』です!」といって売り出していたらどうです?『安さ』といっても、高品質なものです。ユニクロと比べて安いのでしょうか?しまむらと比べては?こう考えると、この会社は、「独自資源(A)」と「強み(S)」の一貫性がとれていないですよね。
一貫性を5つ全てにおいてとるというのは、非常に難しいです。この一貫性ですが、以下の「3つの差別化軸」で考えると一貫性を取りやすくなります。
※3つの差別化軸
佐藤先生の理論では、上記強み(S)のパターンは大別して3つしかないそうです。
①商品軸:(競合より)高品質・新技術
②密着軸:(競合より)個別ニーズに対応
③手軽軸:(競合より)早い、安い、便利
強みはこの3つのパターンしかありませんので、これを考えることで一貫性をとっていくことができます。
例えば、先ほどの縫製技術の話でしたら、他社よりも「破れにくい」という強み(S)を生み出せる技術力(A)があるなら、安くするのではなく、高くても「破れにくい服を欲しがるお客様」(C)を探す。といった感じです(具体性はないですが…)。これは①商品軸の例ですね。このように、自社が戦える(戦いたい)軸は何かを考え、それに合わせて一貫性を取った戦略を作っていけることで、BASiCSの一貫性がとれるようになります。
非常に難しいですが、できれば、とても強い経営戦略となります。そうしたら自信を持って、経営戦略を遂行していくだけです!是非この「戦略BASiCS」考えてみたいですね!!
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では、戦略BASiCSでみていきましょう!今回注目はC(顧客)です。お客様は自分が欲しいものを欲しい時にしか買いません。当たり前ですね。欲しいものを欲しい時にということは、指名買いをしてくれれば問題ありませんが、そうでない場合、お客様に「欲しい」と思わせなければいけません。
では、「欲しい」と思うときとはどのような時でしょうか?それは「必要と感じる時」でしょう。お菓子売り場で「記憶力」が必要と感じる時はあるでしょうか?お菓子売り場で購入するとき考えているときは「休憩したい」などではないでしょうか?その時に「記憶力ガム」と言われてもピンとこないでしょう。
ですが、文房具を使うときというのはどのような時でしょうか?「何かを書くとき」とか「何かを作るとき」でしょう。この時は「記憶力」が大事になります。人の名前を書こうとしたのに出てこないとか、何かを作るときでもその手順を忘れてしまったとか。
この例から分かるように、TPOを考える時にニーズが浮かび上がります。例えば
T(時間):年末の夜
P(場所):自宅の机の前
O(状況):年賀状にコメントを書こうとしているとき
このような状況ですと、「ああ~、漢字が出てこない!」と叫んでいる自分を想像できませんか?その時「記憶力を高めたい」というニーズが生まれているわけですね。そのニーズをつかんだ時に「記憶力ガム」は売れるはずです。では、そのTPOに関連する売り場はどこでしょう?文房具売り場ですよね。ほかにも今だったら年賀状コーナーなどの近くにおいてもいいかもしれません。
このように、TPOの裏にはニーズがあります。そのニーズをとらえるならTPOを考えることが有用なんです。ロッテさんはちゃんとTPOを考えてニーズを想起しそうなところに自社の商品を配置しているのですね。素晴らしい!
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【会計的な効果】
会計的な効果ですが、当然売上です。
売上(PQ)=売上単価(P)×売上数量(Q)
で計算されますが、TPOを考えてニーズが想起されそうな場所に配置することによってこの売上数量(Q)を伸ばすことができると思います。
※()の中はMGで使用するMQ会計の用語です。
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【自分ならどうするか?】
今回の商品、ニーズは「記憶力維持」です。ですが、この「ニーズ」は中高年の方ばかりのものでしょうか?「記憶力」でまず思い浮かぶのは試験ではないでしょうか?
ターゲットを選定するというと、よく性別や年齢で分類しがちですが、本当に分類すべきなのは「ニーズ」です。「ニーズ」は年齢や性別関係なく、また同じ人でもTPOが違えばニーズも違ってきます。この「ニーズ」をとらえてターゲットを選定することが、何かを「絞る」場合にも有効です。
ですので、今回の商品のニーズは明らかに「記憶力維持」です。そのニーズで絞った場合、ターゲットを中高年とする必要なく、「何かを覚えたい人」「試験前の人」などで考えればもっと人がるのではないでしょうか?
今は「あれ?」というPOPをつけているようですが、「記憶力を維持して試験の点数UP!」などのPOPで同じ文房具売り場に販売していくというような戦術を私なら展開するかなと思います。
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いかがでしたでしょうか?TPOの裏にはニーズありです。あなたの会社の商品も何か別のTPOを考えられませんか?そのTPOに関連する売り場に商品を置くことはできませんか?是非自分の会社で考えてみてください!
【FSAコンサルティング主催MGのご案内】
1日MG(3期)
通常のMGは2日かけて実施して
<開催日時・場所・講師>
日時:平成30年1月13日(土) 9:00~18:00
18時以降交流会予定 ※場所
場所:福井商工会議所 2階A会議室
〒918-8580 福井市西木田2-8-1
講師:谷川俊太郎(西研究所MG公認インストラクター)
<参加費>
お1人様:15,000円
<申し込み方法>
下記メールアドレスまでご連絡下さい。
メールアドレス:fukui-strategy@fsa-c.com
<カリキュラム>
9:00~9:15 MGについての説明
9:15~11:15 第1期(練習期)&ルール説明
11:25~12:30 第2期&決算
12:30~14:00 昼食&第2期決算
14:00~15:00 講義
15:00~17:00 第3期&決算
17:00~ 表彰式&感想文
※研修の性質上、終わりの時間が前後することがあります。ご了承ください。
<Facebookイベントページ>
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