鶏がいる家から校区内の家に引っ越してから
ずっと借家だった。
「こんなボロ家じゃ人を家にも呼べない」
とずっと母に言われていた父は、
私が中学生の時に
2軒目の家を建てた。
この家が今でも実家となっている。
2階には、
姉の部屋、私の部屋、父母の寝室がある。
そんな作りだった。
姉とは喧嘩もたくさんしたけれど
それなりに仲が良かった。
ドアノブにポストに見立てた袋をかけて
手紙の交換をして遊んだその日、
母が2階に上がってきて、
「手紙を読ませて」
と言った。
全く大した内容じゃなかったが、
なんとなく秘密に憧れる年頃だったので、
姉と口を揃えて
「駄目」
と言った。
すると母は、
「お母さんを蔑ろにして!!」
と叫ぶと階段をすごい勢いで駆け降りていった。
私と姉が後を追うと、
台所で包丁を自分に向けて
「お母さんなんて死ねばいいんでしょ!!」
と叫ぶ母が目に入った。
私は母のそういうところを何度も目にしてきたので、
「またか・・・」と思っていると、
初めて目にした純真無垢な姉は、
「お母さんやめてーーーーー!!」
と叫んで
母の包丁を取り上げに飛びかかった。
揉み合う2人。
数秒後
包丁は姉の手に渡った。
姉は泣いていた。
「お姉ちゃんに刺さってたらどうするん!!」
と
私は生まれて初めて母に怒鳴った。
母はそれ以降
包丁を持ち出す事はなくなった。
その代わりに、
気に食わないことをした人の茶碗を投げて割るようになった。
今実家には50代目くらいの私の茶碗がある。
ちなみに、持ち家の新築になったけど、
人なんぞ全く呼ばなかった。
母は何がしたいのだろうと
考えれば考えるほど分からなくなる。