11月24日に発売させていただいた

 

『「なぜ」と「流れ」でおぼえる日本史年代暗記』(東進ブックス)

 

 

これ、ものすごく制作費がかかっています。

 

私が手にする予定の初版印税は、全て制作費に消えてしまうでしょう。

 

 

よく言うと「こだわり」

 

悪く言うと私の「ワガママ」のせいです。

 

 

わがままはイラストと装丁と本文デザインと音声です。

 

と言うとわがままだらけですね。

 

本当にこれを許していただいていることに対して感謝しかありません。

 

 

まずはイラスト。

 

これは、『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」でわかる本』(東進ブックス)

 

 

でおなじみの水野歌さんにお願いしました。

 

 

 

あのイラストの堅苦しくなく、かつふざけすぎたり脱線しすぎてもいない感じ、

 

そして「ユルさ」

 

それでいて「覚えさせる」イラストであるということが第一の理由です。

 

 

水野さんがべらぼうに高いギャラを取っているわけではありません。

 

しかし、どんなに小さいカットであっても1枚です。

 

そのイラストが至る所にあるのです。

 

 

昔年代暗記の本はよく大学の漫画研究会の方がイラストを書いたりしていましたが、それは制作費の問題です。

 

これだけのクオリティのイラストレーターさんに、あれだけの分量のイラストを書いていただくと大変なことになります。

 

だから漫画研究会の方に書いていただくパターンが多かったわけです。

 

しかし、漫画研究会では「頭に刻み込む」という観点から考えると非常にお粗末なものになってしまうパターンが多かったわけです。

 

ここは東進ブックスさんにご負担いただきました。

 

いや感謝しかありません。

 

 

次に音声です。

 

教育系朗読ユニット「朗読むすめ」にお願いしましたが、

 

私としては非常にこだわりたいと考えました。

 

 

東進ブックスさんから提示された予算は、おそらくこういう音声収録をやるには十分の予算だったと考えます。

 

そこそこ上手な声優さんを呼んで、丸1日かけて淡々と収録すれば、十分儲けの出るような予算でした。

 

しかし私はそれをやりたくありませんでした。

 

 

以前のブログでも、お話ししましたが、

 

そういう教育系音声が、「頭に刻み込む」という観点から考えると、首を傾げたくなるものが多いと感じていたからです。

 

 

普段私は和歌山県西牟婁郡白浜町にいて、朗読むすめの収録した音声を受け取る立場にあるのですが、

 

今回は東京まで出てきてスタジオで直接音声をディレクションさせていただきました。

 

私がいたおかげで朗読むすめの皆さんは、さぞややりにくかったかと思います。

 

 

ただ私のディレクションにも限界があります。

 

私は教育のプロであるだけで、音声のプロや演技のプロではありません。

 

ですから、朗読むすめの青木めぐさんに、音声や演技の観点でのディレクションをお願いしました。

 

 

 

私は「頭に刻み込む」という観点のディレクション。

 

青木めぐさんには「表現としての完成度、面白さ、若い人への親しみやすさ」という観点のディレクション。

 

ですからディレクションだけでも通常の2倍の経費がかかっているわけです。

 

 

それだけではありません。

 

私は時代別に担当者を変えようと考えました。

 

「この声が出てきたらこの時代だな」

 

というのを印象付けるためです。

 

そのため、産休中の田辺桃菜さんをのぞいた全員の参加になりました。

 

 

しかも淡々と取るのではなく、

 

ひとつひとつディレクションを入れながら収録いたしました。

 

まずは朗読むすめの皆さんが自分なりに思っているイメージで読んでもらって、

 

そこから、演者さん、青木さん、そして私の三者で

 

「これをどう進化させようか」

 

を考えていく形をとりました。

 

10秒足らずの音声が、なかなかしっくりいくものが撮れず、

 

10テイクや20テイク近く撮ったものもあります。

 

 

おかげで収録は、合計7日間に及ぶものとなりました。

 

リテイクを入れると8日間です。

 

 

それだけではありません。

 

5月の段階でサンプル音声を撮ってもらいました。

 

収録直前にもサンプル音声を撮りました。

 

ですからスタジオを10日間も押さえてしまったのです。

 

 

そちらのスタジオ代とエンジニア代、さらにそこに編集が入るわけです。

 

もちろん朗読むすめの皆さんにも、多いというわけではないですが、手弁当というわけではないギャランティはお支払いしています。

 

全ての合計金額がいくらかかったのか計算するのが怖いです。

 

 

実は朗読むすめ事務局の運営会社(JRT)には、私のマネジメントもお願いしてるので、

 

「赤字分は天引きします」

 

と言われています。

 

今からその天引きが怖いです。

 

 

もし私が報酬をもらって、この仕事をしていたとしたら、そこに私の報酬も入るわけですからとんでもない金額になってしまいます。

 

つまりもうこの段階で、私の初版印税は消えてしまうわけです。

 

 

でも、もともと初版印税は消えてしまっても良いと考えています。

 

学習参考書というのは初版印税を無視して凝りに凝りまくったものを作った方が、

 

長い目で考えると売れるものになると考えています。

 

『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』は、

 

最新の入試状況に合うように改訂を繰り返してはいますが、元の原稿は20年前のものです。

 

 

おかげさまで、それが今でも売れ続けています。

 

実際、初版印税で儲けようというスケベ心を持った参考書は全く売れませんでした。

 

 

まだ話は終わりませんよ。

 

次は装丁です。

 

私は基本的に装丁には口出しをしない主義です。

 

なぜなら私は教育者であってデザイナーではないからです。

 

しかし今回は珍しく口出しをさせていただきました。

 

というか装丁に口出しをしたのは初めてかもしれません。

 

 

編集の担当者さんは私が装丁に口出しをしないことを知っているため、

 

ぎりぎりになってデザインを送ってきました。

 

もちろん私が何も言わないということを知っているからです。

 

しかしここで私は言いました

 

 

「これでは売れないので全て変えてください」

 

 

ちょうどその時私は美容院でカラーリングをしていたのですが、カラーリングをしながら一生懸命メールを打っていました。

 

担当の編集者さんはすぐに

 

「変更します」

 

という返答をして一週間後に新しいデザインが出来上がってきました。

 

それがこちらです。

 

 

これ実は『「なぜ」と「流れ」がわかる本』に比べて本のサイズが一回り小さいんです。

 

 

『「なぜ」と「流れ」がわかる本』は、おかげさまで受験生の定番として定着しています。

 

「それの一回り小さい本が横にあったら面白いのでは」

 

そう思って、こちらのデザインにするように強くお願いしました。

 

もちろんボツになったデザインもしっかりとデザイン料は取られているでしょうから、これは大きな負担増でしょう。

 

本当に東進ブックスさんには感謝しかありません。

 

 

最後に本文デザインです。

 

 

何年後にこれがあった

何年前にこれがあった

 

という時系列を表す本なので、その時系列を表すための矢印が多く施されています。

 

またスタートとなる年号とそうでない年号をしっかりと分ける工夫もされています。

 

これは出版をやってらっしゃる方ならわかるかもしれませんがとんでもない手間です。

 

ドバイとかに行って変わった人にインタビューして本を書くこととは違った大変さがあります。

 

 

しかも担当編集者さんは InDesign を使って、私が思いついたアイデアをすぐにデザインにして送ってくるのです。

 

早い時は昼間に送った原稿を夕方にデザイン化して送ってきたこともあり驚いたこともあります。

 

 

いやはや恐ろしくお金がかかってます。

 

これは売らなきゃということで

 

罪滅ぼしの意味もあり

 

年号の語呂合わせの一部を TikTok で公開することにしました。

 

 

これから当分の間毎日 TikTok がアップロードされることとなりますが

 

これも私の自腹です。

 

「宣伝広告費出るかな?」と思ったのですが、

 

ここまでお話してわかるように

 

これだけの経費がかかっているのでさすがにそこまでは無理です。

 

 

ただ自腹でやってるとつまらなくなってくるので、

 

テーマソングも作って踊ってしまいました。

 

 

さらに朗読むすめの皆さんにご協力をいただきPR動画も作りました。

 

 

うぐいすやらフランス在住の某有名人やらでてきます。

 

 

途中から何を書きたいのかよく分からなくなってきましたが

 

内容がしっかりしたものなので是非とも世の中に伝えたいと思って頑張りました。

 

多くの人に手にとってもらいたいと思って色々やりました。

 

是非とも手に取ってみてください。