シリーズ分泌⑨

 

耳垢⑤最終回

 

今回は、ノンフィクションでフィクションです。

 

目が覚めて、僕はまだ中耳にいた。

外で何か音がする度に鼓膜が鳴動し、その振動はツチ、キヌタ、アブミへと伝わるのが分かる。その都度、音は増幅する。内耳の天井にぶら下がっている大きなカタツムリ🐌のコルチ器の口の中に、音は飲み込まれて行く。カタツムリは、音波信号を電気信号に変換するのだ。

コルチ、蝸牛の中はリンパ液に満たされ、音を電気信号にし脳に送る。

 

「蝸牛内部は渦巻く方向に沿って膜で仕切られた 3 つの区画、前庭階 (scala vestibuli)、中央階 (scala media)、鼓室階 (scala tympani) からなっている。」Wiki

 

その床には無数の(ここからは想像)有毛細胞が揺れていて、手前に高い音、奥に向かって低い音を表現する。コルチの中は床一面に有毛細胞があり、僕が咳払いしただけで僕の方に身を仰け反らせる。

 

そもそもこの有毛細胞は、壊れ易いらしく、この有毛細胞の畑は、へし折れたり、拉たりして、リンパ液の中で潜水服を着た僕の前を漂っている。こうなると、音波は電気信号になって脳に行かない。

 

この耳の中は、となりのおじいちゃん👴の耳なので、有毛細胞は入り口からかなり傷んでいて、高い音は全く聞こえない。コルチの奥に向かって、倒れた有毛細胞が何箇所も有毛細胞のムラになっている。

 

とその時、となりから大きな叫び声が聞こえた。

 

「おい、爺さん。マスクつけろ!」

 

あれは僕だ。多分この声もここで止まって脳に🧠行く事は無い。

「馬の耳に念仏」そりゃ余りに馬さんに失礼だ。

「人の耳に念仏」が正解だろう。

いや、念仏も失礼だ。

 

ところでもう朝だ!

最後の疑問を教えてもらおう。

いつも、耳の図は片側だけですが、鼓膜の下に大きなスロープが見える。

ここを通って、逆側の耳に出る事は出来るのかなと。

 

 

「耳の奥(中耳)と鼻の奥は耳管という管で繋がっています。

この管は普段は入り口が閉じています。

嚥下(飲み込む動作)をすると耳管の入り口である耳管咽頭口が開きます。

耳管咽頭口が開くことで中耳の内圧と外気圧が均等になります。

誰しも一度は、鼻の調子が悪くなった時に耳が塞がった感じになったり、ツバを飲み込む度に耳の中でバリバリと音がしたことがありますよね。

これは耳管の働きが悪くなったせい(耳管機能異常)で起こっています。」Copyright (C)2019-2023 辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科 All Rights Reserved.

 

先生、本当に勉強になりました。

ありがとう!

僕の家の近くで関連した事があり、これも引用。

 

「カタツムリを信仰対象とするものは、前述の民間療法と関連したと見られるものが多い。埼玉県秩父地方には子供の耳ダレに験があるとされる「だいろ神(デエロー神)」というカタツムリ神があり、祠にはカタツムリの殻を奉納したといわれる(「だいろ」とはカタツムリのことで、地方によってはナメクジを指すこともある)。珍しい信仰で、カタツムリの粘液や蝸牛骨からの発想である可能性が高いが、詳しい由来は不明である。」Wiki

 

合掌

 

 

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