季節と記憶
ふと思った。
この人達は、
何故時間を、
何故命を、
こうゆう風に
無駄に使うのか?
15年もの間、
何故、
自分の人生の一部を、
我慢して、
僕と過ごしたのか?
不思議で仕方がない。
少なくとも、
換算すると、
のべ3年ぐらいは丸々、
僕と一緒にいたのだ。
お金?
国のプライド?
それか純粋な、
僕への怒り?
例えば明治なら、
僕より15歳年下だから、
子供の頃から、
僕への怒りを、
育てていたのだろうか?
それは、如何程か?
いや、違う。
それは季節だ。
季節と記憶だ。
日本には四季がある。
でも彼の国は、
暑いか、
ちょっと涼しいか、
四季のあろう筈も無い。
こうゆうところにいると、
記憶の引っ掛かりが無い。
間違い無くこれだ。
僕は今、
忘れっぽくなったのも加わって、
彼の地にいた頃の思い出と、
季節の無い思い出に
格闘している。
毎年冬が来れば、
「ああ、後、何回冬が来たら、
こんな奴と一緒にいなくて、
済むのかねえ」
と数える事が出来る。
ところが、
無い季節を
数える事は
出来ない。
成る程。
まあいいだろう。
今は満足なんでしょう。
それで満足ならよかろう。
言いたくは無いが、
僕も充分、
君の若さを堪能した。
本当に美人だった。
あの頃の明治は…
お互い、
いい事があったら、
幸せじゃないか?
でも、
でも2人の娘は?
彼女たちは生まれてきてすぐ、
本物と偽物の親がいた。
本物と偽物の少女時代があった。
その子達の不幸も、
僕の仕業なのか?
まあ、
何でも僕のせいにすれば良い。
僕は疲れた。
季節と記憶に…