2007年の記事より・・ディープなマージービート・・・Some Other Guys | 洋楽と脳の不思議ワールド

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マイナーな60年代ビートミュージック。駄洒落小話。写真と読書感想がメインのブログです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

63年当時、マージーサイド(リヴァプールのこと)で活動していたバンドは400近くあったらしい。
運良くレコードデビューまでこぎつけられたのはその一部。アルバムを出せるほどの人気バンドになったのはさらにその一部。文字通り氷山の一角というわけだ。

運が良かったバンドの大半も数枚のシングルを残しただけで消えていった。
だからシーンに深く下りていこうと思えば思うほどコンピ盤の重要性が増してくる。

 

当時リヴァプールにどの程度のライヴハウスがあったのか、手元に地図があるのでご紹介しよう。

 

 

 

 

 


コンピ盤と言えど商売なので、メジャーバンドを客寄せに使い、あとはどれだけ貴重な音源をぶちこめるか、プロデューサーの腕のよりどころとなる。

このコンピで言えば、サーチャーズが客寄せだ。
モッズ・シーンも同じだ。
コンピ盤にはメジャーバンドだけを集めたものも多いが(むしろこっちの方が多いのかな)、中級クラスを自認しているファンならば間違っても手を出してはいけない。


で、このCDだが、これはマイナーバンド特集ですよ、とタイトルで堂々と謳っている。

立派な心がけじゃありませんか。男子たる者心意気に感じて買い求めるべきだ。(おお、かっこいい! 自分で感動してしまった・・・バカだね)。


90年に Sequel Records という会社から出た1枚で、63‐66年に Pye とその子会社の Piccadilly から発売された14バンド、32曲を収めている。
サーチャーズ以外はLPを出せるほどの人気もなく消えていったバンドばかりだ。
8ページのブックレットが付いており、これは嬉しい。

しかも執筆者がこの方面の第一人者、Spencer Leigh なのだ。
ブックレットの中身は手に入れた時のお楽しみに取っておいて、それ以外の情報を少し加えておく。

 

① The Searchers

1, Farmer John('63) 2, Some Other Guy('63) 3,Stand By Me('63) 4, Needles And Pins(764) 5, I Pretend I'm With You('64) 6, I Don't Want To Go On Without You('65)

② Johny Sandon and The Remo Four

7, Yes('63) 8, Lies('63)

③ Tony Jackson

9, Stage Door('65) 10, Bye Bye Baby('64)

④ Tommy Quickly and The Remo Four

11, The Wildside Of Life('63)

⑤ The Remo Four

12, Peter Gunn('64) 13, I Know A Girl('64)

⑥ Tommy Quickly

14, I'll Go Crazy('65)

⑦ The Undertakers

15, Do The Mashed Potatoes('64) 16, Stupidity('64) 17, Everybody Loves A Lover('63) 18, Just A Little Bit('63)

⑧ The Chants

19, Come Go With Me('63) 20, I Could Write A Book('63) 21, She's Mine('64)

⑨ Jeannie and The Big Guys

22, Boys('63) 23, Sticks And Stones('64)

⑩ The Wackers

24, The Girl Who Wanted Fame('65) 25, Love Or Money('64)

⑪ The Trends

26, You're A Wonderful One('64) 27, The Way You Do The Things You Do('64) 28, All My Loving('64)

⑫ Paddy, Klaus and Gibson

29, I Wanna Know('65) 30, Hey Teresa('66)

⑬ The Takers

31, If You Don't Come Back('64)

⑭ Chris Curtis

32,Aggravation('66)
 

②③⑭の3人ははいずれもサーチャーズの初期メンバーだ。
②と⑭はレコードデビュー前に去り、⑭はデビュー後にヴォーカルを外されたので去った。
②の名義で出たレコードはここに収録された2枚のみ。個人名義でもう3枚シングルがでている。
③は自身のバンド Tony Jakson and The Vibrations 名義で4枚のシングルがある。
⑥はエプスタインが⑤のバンドと組ませて売り出しに力を入れたが失敗した。
しかし、ステージでは華麗なタップダンスを披露してローカル人気は高かったらしい。
バンド名義でのシングルは5枚、個人名義ではシングルが1枚あり、バンド自身の名義でもここに収められたシングルが1枚出ている。
⑦は Brian Jones (ストーンズの同名とは別人)のサックスが特徴的なR&Bバンドで、ボクは好みなんだけど、シングル4枚だけで解散。名前がよくないというので(葬儀屋の意)⑬の名前で最後のシングルを出したが失敗に終わった。
⑧は黒人ドゥーワップグループ。4枚のシングルを残している。

リヴァプールは国際的な港町なので黒人街があったらしい。というか、黒人奴隷の三角貿易で発展した港町なので関係があるのかもしれないが、ボクは勉強不足でそのへんの事情はよく知らない。
⑨は Rita Hughes という女性がメインヴォーカルを務めたグループ。レコードデビューに際してこの名前に改名。
⑩は実はマージー出身のグループではないのでボクも良くは知りません。スペンサー・レイも彼らのマージースタイルのけなげさに敬意を表して収録したとしか書いていない。

レコードはこの1枚のみ。
⑪もR&Bバンド。名前を4度も変え、この名前でレノンーマッカトニーの All My Loving でデビューしたがシングル2枚で解散。
⑫はビッグ・スリーの Paddy Chambers とビートルズのリヴォルバーのジャケットイラストを描いた Klaus Voorman、それに Kingsize Taylor and The Dominoes にいた Gibson Kemp の3人がハンブルグで結成したバンド。レコードはここに収められた1枚のみ。

 

 

好きだと言った Undertakers の Just a little bit を聴きましょう。

このコンピにも収録されている3枚目のシングルで、彼らのレコードとしてはイチバン売れた曲です。

もちろん米国黒人のカヴァー曲で、オリジナルは Rosco Gordon。