2008年3月の記事・・・The Big Three | 洋楽と脳の不思議ワールド

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マイナーな60年代ビートミュージック。駄洒落小話。写真と読書感想がメインのブログです。

ボクのブログはマニア向けの音楽ブログから出発したが、もう誰も知らない。

当時を思い出して昔の記事を採録する。

当時、日本の音楽マスコミがこの辺を採りあげることは何十年もなかったので、ボクのブログが日本語で読める唯一の記事だった。

だから大勢(じゃなくて、少数のコアなファンだけど。その分親密な付き合いになった)のマニアが駆けつけてくれたし、今日までブログが続いた原動力でもある。

いつのまにかこのへんも日本語マスコミが取り上げるようになったと思うので、手を引いた。

誰でも読める日本語の資料を基に、知ったかぶりした長ったらしい紹介記事を書いてるように思われるのが癪だったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

マージーバンドに2つの世代がある。
第1世代はビートルズと同時期に活動を始めたグループで、第2世代は彼らよりも半回りほど年下。第1世代を聴きながら育った世代だ。
言わずもがなのことだけど、聴くといっても、まだレコードも出ておらず、ラジオから流れることもない時代のことなので、もっぱらライヴハウスで聴いていたのだ。
キャヴァーン、ジャカランダ、アイアン・ドア、ブルー・エンジェルなどといったライヴハウスだ。
圧倒的に第1世代が多いわけで、第2世代の代表的なグループとしてはマージービーツやモジョズなどがあげられる。(このブログでもすでに紹介済み)。


ビッグ・スリーは第1世代のマージーバンドで、ビートルズとはシルヴァービートルズと名乗る以前からの付き合いだ。
初め Cass and The Cassanovas という4人組みだったが、リズムギターでリーダーの Cass こと Casey Jones がグループを抜け、リズム抜きの3人でグルー名を変えて活動した。
当時、この形態は非常に珍しい布陣。ベースの Adrian Barbar が当時としては大出力のアンプ(といっても30‐50ワット)をこしらえ、大音量でハードなR&Bを演奏して人気となった。

(ビートルズが欲しがったので、エイドリアンは彼らのためにもこしらえている。)

ついでにどのくらい人気だったかと云うと、63年の Mersey Beat 紙の人気投票では3位に輝いている。(62年は7位)。

63年に2位にランク付けされたのは、ビートルズをクビになった Pete Best が加わった Lee Curtis & The All Stars.

ピートのクビが、リヴァプールのファンに与えた衝撃が分かる。 

逆にリンゴ・スターを失った Rory Storm & The Hurricanes は 前年の4位から19位へと急落している。

1位はもちろんビートルズ。


話を元に戻すと、ドラムでヴォーカルもとる Johnny Hutchinson(写真中央)、ベースが Adrian Barbr、リードギターが John Gustafson(写真左)という布陣だ(話の都合上、第1次メンバーとしておく)。


脱退したケイシーはこの後ハンブルグへ行き、Casey Jones and The Engineers というマージーバンドを結成している。


当時の彼らの人気を知る資料として用意したのが写真下のキャヴァーンのランチタイムセッションのチラシ。
読みづらいと思うので、順に説明していくと、8月10日(多分62年)ダコタス、13日ビートルズ、14日ジェリーとペースメイカーズ、15日ビートルズ、16日ビッグ・スリー、17日フレディとドリーマーズ、20日ビッグ・スリー、21日ビートルズ、22日ゲイリーとペースメイカーズ、23日同。


彼らはブライアン・エプスタインと契約し、スター・クラブへ出演。エイドリアンは帰国せずに62年8月に脱退してスター・クラブのマネージャーに転身した。

62年12月、ビートルズがレコードデビューした後1度だけスタークラブに上がったことがあるが、このときの演奏を録音したのがマネージャーをしていたエイドリアン。

手持ちマイクで録ったので最悪の音だが、ジョージがミスった音もしっかりとらえていて、ビートルズファンには貴重な音源だ。(Live At The Star- Club)。

 

代わってベースを弾いたのが Brian Griffith(写真右)(第2次メンバーとしておく)。


デッカからデビュー・シングルが発売されたのは63年3月。
Some Other Guy/Let True Love Begin(Decca 45-F11614)というカップリングで、2度目のスター・クラブ出演の際、ハンブルグから日帰りでロンドンにあるデッカのスタジオに送り込まれ、1発録りをやらされた。
Some Other Guy は当時の彼らの十八番(おはこ)で、仲間内からはオリジナルの Richie Barrett よりも評判が高かったが、強行スケジュールのため、出来には不満足だったらしい。
そのせいかチャートは37位どまり。
このメンバーでもう2枚のシングルをリリースしている。
By The Way/Cavern Stomp(Decca45 F1189,63/6)と I'm With You/Peanut Butter(Decca45 F11752,63/10)。
この2ndの By The Way が22位と最大のヒットになるのだけど、ポップなこの曲を彼ら自身は気に入っておらず、バンドとしてはB面のハードナンバー Cavern Stomp をA面にしたかったらしい。
実際 By The Way はフレディとドリーマーズも演っていて、出来はこちらの方がいいし、リスナーにもこちらが受けたようだ。


そして11月にリリースされたのが彼らの最高傑作というだけでなく、当時のマージーバンドの最高傑作といわれているライヴEP、 Big Three Live At The Cavern(DeccaEP-DFE8652)。
ジャケ画像はこの書庫内の初期の記事にアップしてます。
レイ・チャールズの What'd I Say が最大の呼び物で、ビートルズやサーチャーズをはじめ色んなバンドが演っているけれど、ホリーズの Allan Clarke は、自分が聞いた中で最高の演奏だと言っている。
パワフルなドラム、跳ねるギター、ドライヴするベースにシャウトしっ放しのヴォーカルと、のってのってノリまくりなのだ。
様々なコンピ盤にこの What'd I Say は収録されているので、現在でも手近に聴くことが出来るはずです。


ドラムのハッチは190㎝近い大男。
写真でお分かりのようにリーゼントヘアのロッカータイプ。
ステージではとにかくワイルドだったらしい。

本人の弁として、ステージに上がって来た酔っ払いの暴漢の頭を片手で押さえ、空いたもう一方の手でドラムを叩き続けたと Spencer Leigh に自慢している。


エプスタインはなんとか自分好みの品行方正に矯正したかったらしいのだが、結局匙を投げて契約解除。
エプスタインから離れた63年11月には内輪もめでいったん解散。


ハッチはすぐに Falon's Flamingos の Falon(ベース)と Paddy Chambers(ギター)の2人を加えて新生ビッグ・スリーとして活動を再開し、64年に Bring It On Home To Me/You've Got To Keep Her Under Hand(Decca45-F11927,646)のシングルを1枚だけリリースするんだけど、直後に解散。
ハッチは音楽業界から完全に撤退してしまう。


バディとガスはその後も音楽活動を続けたので、このブログでも他の個所で何度か取り上げている。
73年になって、材木商に転じていたグリフとガスの2人はビッグ・スリーの名で Resurrection というアルバムを制作しているのでコアなファンなら手に入れてもいいんじゃないかな(ドラムはエルトン・ジョンのドラマー Nigel Olsson)。


前述したように彼らは4枚のシングル盤と1枚のEP盤しか残さなかったけれど、これらの音源全部を集めて、82年に初のLPとして Edsel がリリースしたのが写真のアルバム。
実は彼らの音源にはもう1曲あって、64年3月に発売されたデッカの At The Cavern というライヴ盤(コンピ)に4枚目のシングルA面の曲 Bring It On Home To Me のライヴ音源があり、そのライヴ音源もこのエドセル盤には収録されている。計13曲。
At The Cavern についても過去記事があるので興味のある方はこの書庫に入っているので御覧下さい。
一応収録曲のリストを掲げておくと、

 

A面 

1, Some Other Guy(1st-A面)
2, I'm With You(3rd-A面)

3, Let True Love Begin(1st-B面)
4, By The Way(2nd-A面)
5, Cavern Stomp(2nd-B面)
6, Peanut Butter(3rd-B面)
7, Bring It On Home To Me(Live)

 

B面 

1, What'd I Say
2, Don't Start Running Away
3, Zip-A-Dee-Doo-Dah
4, Reelin' & Rockin'

(以上4曲がEP盤所収)

5, You've Got To Keep Her Under Hand(4th-B面)    
6, Bring It Home On To Me(4th-A面ースタジオ録音) 

 

 

当時のブロ友さんのコメント。

 

以前の記事で画像を見させていただきましたが、ビッグスリーのEPは超が10個は付くお宝だと思います。