学生時代、酒が嫌いだった。
気持ちが悪くなって吐いていたからだ。
1度、ゴーゴー喫茶で飲みながら踊っていたら、吐き気がこみ上げてきた。
手洗いに駆け込んで胃の中のものを全部出したら、意識を失ってそのまま手洗いの床に仰向けに寝転がってしまったらしい。
ふと気がつくと、自分がどこにいるのかわからなかった。
数分たって状況がようやく認識できたときびっくりした。
汚くて汚くてたまらない。
以来お酒は義理でひとくちすするだけにしていた。
お酒の味を覚えたのは20代後半に恋をしたからだ。
年上の人妻に恋をしてしまったのだ。
人妻だから好きなときに会えないし、連絡もできない。
会えないと会いたくて会いたくてたまらなくなる。
幸いなことに彼女は相撲酒場が好きで、毎晩のように通っているのを知った。
ボーイさんは全員まわし姿で○○関と呼ばれていて、常連のご婦人たちは「○○関」のお尻の形が素敵~と贔屓にし、まわしのみをするような店だった。
ボクはと言えば、彼女に会いたいばっかりに、飲めないお酒を無理して飲んで通いつめた。
彼女には変な癖があった。
酔ってくると、相撲をとりたがるのだ。
お店のマスターが行事さんになって軍杯を返し、はっけよい~はっけよい~と声をかけるので、仕方なしにボクもぐいぐい杯をあけた。
マスター: はっけよい~はっけよい~吐っ気用意~残った~
トイレに駆け込む。
勝ち名乗りを受けるのはいつも彼女だ。
千秋楽の日も土俵際まで追い詰められたが、最後の1杯にボクは「美少年」を頼んだ。
マスター: はっけよい~はっけよい~吐っ気酔い~。
酒豪の彼女が「美少年」にぐらぐら~っと酔って、ボクがうっちゃり勝ちをしてしまったのだ。
以来、お酒が飲めるようになった。
Cadillac はヴィンス・テイラーの代表曲だが、59年に彼が発表したときにはシングル盤のB面だった。
シングルB面なんて捨て曲の時代だったので、もちろんヒットなんかしてない。
いつ頃からか多くのミュージシャンにカヴァーされるようになって有名になった。
クラッシュのカヴァーヴァージョンが1番有名なんだそうだが、ボクはまだ聴いていない。
スウェーデンのビートバンド The Shamrocks が65年にカヴァーしているのを偶然知った。
邦盤シングルまで発売されていたようだ。
シャムロックスが日本で知られているのは La la la の大ヒットのおかげなので、聞きましょう。