新栄電機を探しに行ってきた | たまに昭和散歩

たまに昭和散歩

某ブログで公開していた記録を保管している場所です。
昭和の頃を感じられるいろいろな場所を、たまに調べています。

某ブログに掲載していた文章の転記です。閉鎖を予定していたのですが、
考察的資料として需要があるようですので、ここで改めて公開とします。
本文の最後に記載しましたお願いをお守りいただければ、
情報のご利用については制約を設けません
(ここへのリンクやこのブログへの誘導になる記述、また転載はお断りします)。
現地を訪れる方はマナーを守って住民の方々に迷惑にならないようお願いします。


昭和CMから辿る、かつての企業が残した遺跡の探訪シリーズ。
磯村建設・続磯村建設に続き、ついにこれに着手しました。


[はじめに 新栄電機とは]

かつて東京都西部および千葉県・埼玉県内に店舗を展開していた家電販売チェーン。
昭和を知る世代には、先日公開した「磯村建設」とともに、
古典的なCMの双璧として、今なお親しまれています。
昭和40年代~50年代前半に制作された、画質が悪く見るからに古い時代のCMを、
平成に入るころまで流し続けていた、貴重な企業。
磯村建設より後まで営業を続けていたものの、2003年に経営破綻、自己破産しました。





廃業からすでに13年。すでに形跡はほとんど見つけられない状況で、
人々の記憶に残るこのCMがこの家電チェーン唯一の名残と言えます。

…しかし、今もかろうじて当時の面影を辿れるという噂もあります。
ですがまだネットにその様子を公開しているところは皆無です。
ここは磯村建設に続いて、新栄電機も探して記事にしてやろうじゃないの…
ということで、今回調査を行うことにしましょうか。
さて、新栄電機の残像をなにか見つけることができるのかどうか。


●新栄電機の店舗跡に行ってみる●

今から13年前に営業を停止した新栄電機。
その様子を見ようと過去の店舗跡などを訪れても、
もうほとんど名残は残っていないのが実情です。
そのせいか、ネット上にもその様子を紹介したところは皆無に等しいようです。

磯村建設はもう30年以上前に倒産しているが、分譲された家屋は購入者の所有だから、
その家が建て替えられたり取り壊されない限りは今も残っているわけです。
しかし新栄電機はビルやテナント、倒産すればその跡地にはすぐに別な店が入り、
同時に新店の外装や表示に改装されてしまうから、形跡は残りにくい。
倒産後13年程度の新栄電機を辿るのは、磯村建設より困難だったりします。

たとえばここ。かつて新栄電機堀切店が入っていたビル。
ご覧のようになにも形跡なし。今はドラッグストアが入っています。

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新栄電機の店舗は最盛期で20数店あったようですが、どこも似たような状況のようです。
そもそも磯村建設のように多数の分譲住宅が画面に登場するCMではなく、
主に店内撮りだから店舗外観が記録に残っているわけでもない。
映像と現地の物証を照らし合わせるという辿り方は、新栄電機では困難なんですね。


●亀有に行ってみる●

東京の下町、亀有へ。
ちょうど「こち亀」の連載が終わるということで、早朝の亀有駅には早くもファンの姿が。
私も昔はジャンプを見ていたが、中学に入って間もなく見なくなってしまった。
別に漫画に興味がなくなったわけではなくて、自分のやりたいことがいろいろ出てきて、
なんとなく漫画を見るという時間が無くなっただけなんですが。

亀有に来たのはもちろん新栄電機関係の調査。
ここ亀有は、新栄電機にとって聖地ともいえる、とても重要な地でした。

まずは本社として登記されていたという場所。
ご覧の通り、某有名宅配業者の配送センターがあるだけ。
恐らく元社長の所有不動産か何かだった土地を、破産後に債権整理の目的で
転売され、別の個人や法人が取得してきたものと思われます。

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そして、もう一つの重要な場所。
今はクリニックなどが入っているこのビル、かつて新栄電機亀有本店があったところです。
おそらく1階と2階が店舗、その上に本社や事務所機能が入っていたものと思われます。

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亀有店については別な方が当時の画像を公開しています。
転載は気が進まないので、その画像を参考に復元図を描いてみました。
こんな感じだったようです。ここには確かにあの新栄電機がありました。

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●CMに唯一外観が出てくる、あのお店●

前述の通り、新栄電機のCMにはほとんど店舗外観が出てきません。
唯一それが映るのは、大きなビルに入っているどこかの店。
じつはそのただ一つのCMに出た店舗、現在もビルが現存しています。
新栄電機柏店跡。
おなじみこの映像に映っているビルは、今どうなっているのでしょう。

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どうやら、これっぽい。

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外装は多少変わってはいますが、ほぼそのまま。
新栄電機が入っていたフロアは、今は猫カフェか何かになってるようですね。

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柏駅南口付近からも、このビルは見えます。新栄電機の形跡として、決定的なものの一つです。

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●誰も知らない新栄電機の残像●

最後にもう一つ。うち独自の調査結果を。
東京都墨田区東向島、ここにもかつて新栄電機がありました。
向島店が入っていたと思われるビルが、今も現存しています。

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4階建ての1階2階部分の一部が店舗、ほかは集合住宅として建てられたものです。
当然のことながら店舗部分は完全に改装され、新栄電機の名残はありません。
しかし、このビルには物証がしっかり見られます。

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横の路地に入って行くと、建物の脇にマンションの入口があります。
ここに新栄電機の建物だった証拠が。

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このマンションの名称は、「新栄マンション」です。
築年数は見た感じだと40年強でしょうか。40年前というと、新栄電機が全盛だった時代。
恐らくですが、ここ自社所有物件として建設されたのではないでしょうか。
店舗収入と住宅の賃貸収入の両方を狙ったのかもしれません。
その後新栄電機の破綻後は売却、所有者も変わっているのですが、ありきたりな名だし
特に差し支えないからと住宅名称がそのまま残っている…という事情のようです。

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「たぶんネット初の新栄電機調査レポ」、これで終了です。
ほかにも各店舗の入っていたビルなどがそのまま残っていたりしますが、
この先の調査は現地訪問だけで、特に記録できる物証はないはず。
よって形としての成果を目的とするうちの調査活動は、ここまでとします。
この先は「行ってきたよ」という会話で満足できる方々の担当すべき部分です。
私はこれ以上各店舗跡を巡っても、実績にできるものがないですから。

懐かしい昭和のCMで知られた磯村建設と新栄電機、
二つのレポを終了しましたので、このシリーズはこれで完結とします。
何か新しい対象物をご提案いただきましたら、取り上げてもいいですけどね。
リクエストとかアドバイスがありましたら、是非ともお寄せください。
当時流行りものじゃなく、今の人々の心の中にしっかり残っているもの。
そういうものを発掘する必要が出たら、またその気になるのかもしれません。
何か提案がある方、是非とも課題を振ってみてください。
共感したら、再びそれらを求めて出向こうと思います。

昭和のCMの名残を見つけるレポということで、そちらの話題がお好きな
新しいお客様にもお越しいただきました。ありがとうございます。
このシリーズについては今回で完結となりますので、
新たなものが見つからない限りこれをもって調査活動は終了となります。
次回以降はこの手の話題は扱いませんので、本来の運用に戻ります。
昭和CM関係の話題はイレギュラーなんですよ。
レギュラーを手薄にすると本末転倒ですので、次回から本業に戻ります。
昭和CMシリーズはとりあえず活動終了となりますが、ご了承ください。


★お願い★
今回の新栄電機レポについては、当方の記録を参考にしていただくこと、
また記載を転記することに制限は設けませんが、直接のリンクはご遠慮ください
(外部からのアクセスが激増して、当方の活動に支障が出る可能性があるためです)。
当方の記録を参考にしたことを説明していただいたうえで、
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