そうしてヒトツキが流れました。
おかげさまで描けています。
さて絵本の深読みも13回目?
今回の発表者はキノコ大好き作家、なや いくよさん。
選書したものはこちら。
久しぶりの、文章と絵で担当者が別々にいらっしゃるタイプの絵本。
いくよさんは文章担当の苅田先生に興味を持たれたそうです。
そのユーモアのセンスを学びたく、深読みをして下さいました。
幼少期に作文を「面白い」と褒められて育ったこと、大人になってから絵本の魅力を改めて思い出し、自分も絵本を作りたいと編集者になったこと。
しかし、児童書の担当になれないまま時が過ぎ、やっと児童文学編集部に所属したと思ったら、思うような作品を作れないまま、忙しさに体を壊しての引退。
その後、フリーの編集者をしながら物語を作る教室へ通い、そこで、やっと才能を開花させたとのことです。
絵本を追いかけて生きてきた姿が思い浮かびますね。
その時の受賞作がこちら、人気の1冊だそうです。
さて、お話についてなのですが……
大人目線では面白いけど、子どもたちにはどうなの?
と議論になりました。
私はラストのシーンで銭湯に浸かって
「ごくらく、ごくらく~」
と言ってるシーンに、ちょっと笑ってしまいました。
典型的ですが、やはり、わかってても入れたくなる画面ですよね。
極楽浄土。
でも、これを面白いと思うのは、子どもたちでは無いだろうし……。
仏像とか神様とか、狛犬、お地蔵様など、なんやかんや出てきますが、このキャラクターを子供達はどう受け止めるのか?
子どもの身近なものを扱うことに特化する絵本業界においての、立ち位置はこれで大丈夫なのか?
会社としては対象年齢を5歳からに設定しているそうです。
私の分析では、キャラクターについては「そういうもんだ」とあっさり受け取るだろうとの印象を受けました。
千手観音様なら「わあ、手がいっぱいだねえ!」とか。
子「この犬へーん」
親「それは犬じゃないのよ」
などとコミュニケーションしながら読めそうです。
では何故5歳が対象なのか?
それは「運動会」を把握する年齢が、そのぐらいなんじゃないかなという推測。
あとは短くても「物語」の形式になっているものは、3歳には少し難しいので、そこに仏教や神様の概念まで入れてコミカルに描いた絵本となったら、年齢が少し上がる感じだろうと思いました。
次に議題に多くあがったのが、絵について。
担当されたのは、ご自身も住職をされながらイラストレーターとしても活躍している、中川学さん。
パッと見の印象で、硬くて冷たい絵が、うちのメンバーからは、やや不評でした。
デジタル絵が好きじゃないのかな?
ペタンとして固くツルツル、ひやっこい絵が、“仏像を表現するのには合う”けど、線だけの見返しの絵の方が好き、などの意見もあがります。
私の分析では、むしろ雑然とした絵の作り方(無用なものは省略し、必要なものだけを配置する男性らしさ、動きの固い表現方法)が“少年ギャグ漫画っぽくて”女性陣に不評なんじゃないかな……と思いました。
illustratorというソフトを使って描いていることが判明した途端
「え?私、切り絵で作ってるのかと思ってた!」
という方も。
しかし、他人に読んで貰うことにより、自分で読んでいたときと違って、構図の工夫なども秀逸で、遠目から見た時も目に入りやすく、色の使い方も合わせて、絵本として魅力的だということがしっかりと伝わりました。
大きな仏像様と、小さな如来たちが一緒に運動会を開いてるわけですから、どう画面を切り取るか、よく考えなくてはいけません。
影の使い方で見せていたり、地面の色を少し変えていたりと、各所に工夫が凝らされています。
一番見ごたえがあり、物語が最も盛り上がる「組体操」の見開き場面は、この絵本の一番のオモシロどころ。
全体に流れるユーモラスで可愛らしいムード。
主役である仏像様のチャーミングさが終始たのしい絵本なのでした。
手に御取りのさいは、絵と文章の作家が違う「相乗効果」について考えてみると面白い気づきが得られるかもしれません。
噂の書籍消毒機。
……本の立てかたコレでいいのか?
間違っている気がする(笑)
15秒ほどで綺麗に殺菌消毒完了。
光を見ていると目が悪くなるかもと警戒し、電気が消えるまで離れて見ていました。
うーん、活用されるんでしょうかね?
市税を投入して、電気代までかけているわけですけど。
うーん。
業者との関係は健全なものなのでしょうか。
ミステリー発見。
ところで、今回の深読みで紹介したかった絵本があったのに、すっかり失念しておりまして、そちらはまた、今度とさせて頂きます。
↓ご来訪の皆様には先にご紹介を。
期待の新人作家さんですので、ぜひともチェック宜しくお願い致します。
私の通っていた絵本教室の先輩作家さんです。
発売記念の個展もありました。
また、どこかで開催される可能性が大きいので、出逢いがありましたら遠慮なく、ご入場下さいませ。
私が先にデビューや受賞をしたのが不思議です。
こちらの作品は5年かけて出版に至ったものです。
私は教室に通っていた時に、試作段階のものを拝見してました。
ここまで描いてるのに、出版に至らないってなんなんだろう。
実力より行動力、縁の力ってあるんだろうな。
と当時思ったものです。
個展のさい、作者様とお話しさせて頂けて
「本当にたまたま、運が良かった」とご謙遜なさっていました。
自分より明らかに実力が上の人たちをゴロゴロ見かけます。
だけどデビューしているのは私。
なかなか皮肉です。
それでも、だから頑張りましょう。
みやけ先生のデビューは、仕掛け絵本を作って5年経過した私にとっても、励みになる朗報となりました。
それでは、本日はココまで。
お付き合いありがとうございました。