絵本深読み勉強会、第12回も無事開催。
発表者はシュガーさんでした。
取り上げた絵本はこちら
馬場のぼる先生の11ぴきのねこシリーズです。
皆さんの分析は、かなり「絵」の方面に割かれていて、「話」や「構造」について考察しているのは、ほぼ私一人なのかな……という印象を毎回受けます(笑)
一言で言ってしまうと模範的でお手本にすべき、めっちゃ賢い先生。
という印象を持ちました。
絵にしても話にしても「省略力」が凄い。
要約力、言い換え力、等と先日、東大生を目指す学生たちを取り上げたドラマ『ドラゴン桜』で解説してましたけど、構造理解、物語の建設力が段違いの作家さん。
最終的には「絵だけでストーリーが成り立っているものを作らなくては」と思いました。
へんなねこと11ぴきの物語は、完全に落語の世界でした。
ただ落語が面白くなるのは本来、すでに現実世界をある程度かさねた人たちだけです。
「予想」をして「裏切られる」からこそ面白い。
「枝分かれするストーリー」を「どう繋ぐのか?!」とワクワクする。
これを絵本ですると、下手するとストーリーが破綻しますし、めちゃくちゃ説明的になって、酷いことになります。
幼稚園の子供でも読めるものにしたのは、彼が漫画家として培ってきた、4コマ力の成せる技だったのではと思いました。
始めに料理を楽しんでる猫たちが出てきます。
へんな猫が居ますが、仲間になんか入れてやりません。
だけど、あいつ何やってんだ?と気になってしまいます。
「葉っぱを集めてる」のです。
それをどうするのだろう?と考えます。
(自然な流れで物語に誘導)
へんな猫は穴の開いた家の修理に葉っぱを貼り付け始めました。
「なんか面白そうだ。ぼくたちもやる」
なんて言って、猫たちが交流をはじめます。
(すると幼い読者たちでも先の展開が気になる)
手伝って貰ったへんな猫は
「あなたたちイイ人!」と喜びます。
家の修繕が済むと目に入ったのが、干し魚。
次の場面で変な猫が川の中に居て、魚を採っています。
なんと大量の魚。
修理のお手伝いをしてくれたお礼にあげようというので、鍋に詰めて持ち帰ろうとする猫たち。
するとへんな猫は「その鍋蓋がほしい」と言い出します。
(新たな展開)
「もっと沢山の魚と交換ならいいよ」
というので、どんどん並べられ、増える魚。
(貰える魚がふえていくので面白い)
と、ここでへんな猫の正体が明かされます。
(お話の飛躍)
物語のオチが見えてきました。
宇宙に行くことになりそうです。
しかし、まだどうなるかまではわかりません。
11ぴきの猫たちは勝手に宇宙船に忍び込みます。
(宇宙に行けるのだとワクワクしてきます)
ところが……。
物語の動線が見事です。
賢い作り方をする人は、だけど、だから欠けてしまうものがあるとも思いました。
キラキラ花火のシーンが、とても綺麗。
というところは全員の感想が一致。
こちらの本は省略力がさらに明確にわかるシリーズ第一冊目。
これを見て参考にしたい点が沢山ありました。
絵のニュアンスを知るために描いてみた。
(似せる気はないし、見事に描こうともしていない。描いてみることで、理解できることがあるので、試しに)
この顔……ムーミンに似てる?
部品を残しながら上書きしてみたら全然、似てなかった(笑)
↑ニュアンスだけの落書きですので、お許しを。
ムーミンって白いんだな……(発見)
馬場先生もそうなんですけど、漫画家は連載用に絵を簡略化しています。長丁場にも耐えられて、連載のスピードで素早く作れる絵をそれぞれが持っています。
なので元々の画力は、もっと、
とても高いのです。
そこんとこ、子供の頃に知ってたら良かったな。
作家になりたい子供が居たら、画力を磨くことを怠らないことを教えてあげてほしいと思います。
それが何より一番わかりやすい「能力」になります。
以上、ご報告でした。