カーリングを応援したい | 小腸がなくても平気です!〜しょーへーのブログ〜

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23歳の時に「原発性小腸軸捻転症」という病気にかかり、それ以来小腸がない状態で生活している日々をゆるーく綴っていきます。

おめでとう、ロコ・ソラーレ!

平昌オリンピックカーリング競技で、日本女子のロコ・ソラーレ北見が見事銅メダルを獲得しました。カーリング種目としては日本初のメダル獲得です。本当におめでとう!

予選リーグは5勝4敗の4位となり、挑んだ準決勝の韓国戦は、第一エンドで3点を奪われ、序盤から厳しい展開になりますが、何とか10エンドで追いつきエキストラエンドまで持ち込みます。しかし最後は相手に決められ、本当にあと一歩のところで敗れてしまいました。しかし、敗れたとはいえ、脅威の粘りを見せ、日本らしい戦いを見せてくれました。

そして迎えたイギリスとの3位決定戦。カーリングは後から投げる後攻が有利で、有利な後攻で2点以上を取って点差を広げるのがセオリーと言われています。しかし有利な後攻でもお互い1点ずつしか取り合えない、しびれる展開が続きます。第9エンドで初めて日本が1点をスチール(先行で点を取ること)してリードを奪いますが、最終の第10エンドは日本が1点リードした状況で、不利な先攻となります。

第10エンド、スキップの藤澤さんのストーンは、2投とも少しだけ狙った場所からずれて止まってしまいます。あとは相手が投げるのを待つだけ。しかし相手のラストストーンも思ったとおりに飛ばず、自分たちの石をすべて押し出し、日本のストーンがハウスの中心に残ってしまいました。相手のいわばミスにより、3位決定戦に勝利しました。



カーリングでは、相手のミスを喜んではいけません。これが「カーリング精神」で、カーリングのルールブックにも記載があります。相手の失敗によって日本は最後に勝てたわけですが、相手のミスを喜んではいけない。日本チームも最後の一投が思ったところに行かなかった。おそらく負けを覚悟していたのでしょう。勝敗が決した時のリアクションはメダルが決まった時によくある歓喜の表情ではなかった。でもそれがカーリングという競技の良さなのだと思います。

私は2006年トリノオリンピックでカーリングに興味を持ち始めました。あのときは日本勢のメダルがフィギュアスケート女子、荒川静香さんの金メダル一つと、日本では今ひとつ盛り上がらないオリンピックとなりました。そんな中で、明るい話題となったのがカーリング日本代表として出場したチーム青森でした。

そのチーム青森のメンバーとしてオリンピックに出場した本橋麻里さんが、「地元北見からオリンピックを目指すチームを」「学校を卒業してカーリングを辞めざるを得ない選手の受け皿を」「地元から選手を流出させない」ということで2010年に結成したのがロコ・ソラーレ北見。選手もスポンサーもいないゼロからのスタートでした。今回の銀メダルメンバーの鈴木夕湖さんと吉田夕梨花さんを含む5人が集まり、チームは活動を開始します。

2014年のソチオリンピックは残念ながら出場を逃します。そのソチにリザーブとして、インフルエンザで欠場した選手に変わって出場したのが吉田知那美さん。しかし知那美さんは大会が終わる前にチームから戦力外通告を受けます。そんな失意のどん底にいた知那美さんに声をかけたのが本橋さんでした。

スキップの藤澤五月さんも、苦労を味わった一人です。中部電力カーリング部のスキップとして日本選手権を3連覇しますが、ソチオリンピックの代表決定戦で敗れてオリンピック出場を逃します。しかしまたオリンピックを目指すことを目標に、ロコ・ソラーレのメンバーに加わります。

こうして集まった5人が、平昌で素晴らしい戦いを見せてくれました。その戦いぶりは本当に清々しく、試合に負けた後の涙もまた美しいものでした。そして、メンバーの明るい笑顔、「そだねー」という道東地方の言い回し、休憩時間のおやつタイムなど、日本人の心をぐっと掴むような明るい話題を提供してくれました。



そんな彼女たちの強さはどこから来るのでしょうか。きっと5人それぞれの悔しい経験が大きな糧になっていると私は思います。4年前のオリンピック、最後の決定戦に敗れてあと一歩届かなかった、姉がオリンピックに出場して妹である自分が出場を逃した、大会が終わる前にチームをクビになった、スポンサーがつかずチームの活動が危ぶまれた。。。それぞれの悔しい思いがさらに彼女たちを強くしたのではないでしょうか。

「そだねー」「いいと思うー」「ナイスー」「やってみっか」。この大会でこれらの言葉を何度も聞きました。共通しているのは、相手の意見やプレーを否定しないということ。カーリングは4人の呼吸を合わせて行う競技です。意見がぶつかることもあるでしょうが、そういうときもお互いを否定せず全員が尊重し合うことで、最高のショット、最高のスイープを引き出すことができたのでしょう。

今大会の大活躍で一躍注目を浴びたカーリング。しかしカーリングの置かれた現実は今なお厳しいものがあります。野球やサッカーのように、代表レベルでなくても競技を続ける環境が整っているわけではありません。鈴木夕湖さんや吉田夕梨花さんがそうしようとしたように、国内トップレベルの実力を持つ選手でも、学校を卒業した後に競技に専念できる保証はありません。競技を続けられても、バイトや別の仕事で生計を立てながら競技を行う選手も多くいます。

男子カーリング代表スキップの両角友佑選手は、4年後の北京オリンピックへ向けた再挑戦について「この後の4年、北京に向かって頑張るかどうか、決めないといけない。それをサポートしていただけるスポンサーの方々にお願いしないといけない」と答えています。これだけ盛り上がっても、スポンサーを見つけるのは厳しいようです。女子の本橋さんも、 「4年に1度来るやつですね」とドライな反応です。以前のオリンピックでもカーリングは盛り上がりましたが、その熱は長く続かなかったことを物語っています。

私は今大会のカーリングをずっと見てきて、諦めないことの大切さを教えてもらった気がします。明るい表情で、仲間を信じて、自分たちが出来る限り最高の働きをすれば、結果は自ずとついてくるんだなと思いました。自分も諦めずに頑張らないといけませんね。

そして、この感動を4年後に分かち合えるように。「そだねー」ブームを一過性のもので負わせないために。どのチームがオリンピックの舞台に立つかはまだわかりませんが、日本の代表チームがオリンピックで躍動できるように、自分も力になりたいと思います。「もう『そだねー』が聞けない」などと言っている人がいますが、カーリングの日本選手権は準決勝以上の試合はテレビで放送されます。それ以外も大会は開催されています。会場の雰囲気を味わうのもいいかもしれません。何かしら、自分のできることを探してみようと思います。


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