「働く」 ということ  | ■■■現役商社マン/武浪猛の商社マン流人生指南■■■     若き血に燃ゆる者たちへ!

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このままじゃ、日本国は滅亡の国家に成り果てる。 世界の中で揉まれてきたオレは、オレ流の武士道というものを育んで来た。オレの言葉が、少しでも君ら若者の心に刺さればと思って、オレはこのサイトを立ち上げた。 さぁ、この国を元気にしようじゃないか。

暖かい気候を通り越して、少し暑いぐらいの気候だ。
新入社員の皆さんは、少しは「働く」と言うことに慣れてきただろうか?

さて、本日は、長いメールをもらったので、紹介したいと思う。特に新入社員の皆さんにとって、働くとを考えるきっかけになれば幸いだ。

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武浪さん、

今回海外経験が豊富な武浪さんにご教示頂きたいことがあり、メール致しました。
日々お忙しい所を大変恐縮ではありますが、ぜひご意見をお願い致します。

質問の趣旨としては、米国での現地の方の雇用/解雇に関してです。

米国での雇用に関して、慎重にする必要はあるのでしょうか?
米国での雇用/解雇に関しては問題が表沙汰にならないよう、
これほどまでに配慮を期して、実施していくものなのでしょうか?
単に海外滞在を短縮したことで、配慮となるのでしょうか?
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(長いメールかつ業務内容も含むため、一部だけを活用させてもらった)

少しだけ彼の背景を補足しておくと、海外トレーニーで長期出張に出るはずが、現地での雇用問題から幅に滞在期間が短縮されてしまったと言うものだ。

結論から言おう。リストラ/解雇と言うのは全世界、とにかく慎重にやらなければならない最もSensitiveな問題だ。そして、アメリカでは、尚更、解雇については慎重にやらなければならない。

キミは理不尽な扱いを受けたと思っているようだが、申し訳ないが、キミの目先の修行なんかより、職を失うかもしれない現地のスタッフ の不安ははるかに大きな問題だ。そんな状況であるにも関わらず、短期でも行かせてくれたことに、上司の懐の深さを感じる。
ご存知の通り米国は訴訟社会だ。憲法をめぐる訴訟事例なんて200年前からあるし、自己の主張が激しい国柄、最後は誰が正しいかとい うのは裁判所に判断してもらうという意識を国民は共通して持っている。

仮に、業務怠慢でクビになっても何かしら企業側の非をついて損害賠償を請求するケースも多い。従って、企業としては何か非を追及されないために、ありとあらゆる訴訟リスクの種を除去しておこうとする。アメリカではリスクマネジメント上、何ら珍しくない話だ。

特に、個人対組織の場合、陪審員制度では、個人が有利に働くことが少なくない。いくら公平性を求められる陪審員だって、最後は人の子 、不利な立場の個人のために、大きな会社や資本家に一矢報いてやりたいと思うのが人情だ。だからこ、個人に攻撃の材料を与えない方法でリストラを断行していく必要がある。

オレもかつてある国の事業投資先で、大幅リストラ仕事をしたことがある。その当時は最高執行責任者(今で言えばCOOか)のようなポジションで現地入りし、かなりの人数をリストラした。

あまり詳細なことは書けないが、現地ではアーミー上がりのSPを雇って、常に帯同していたしスーツの下には防弾チョッキを着ていたよ。

従業員を解雇する状況と言うのは、会社として出血が止まらず、大至急で止血する必要がある状況だ。やるならさっさと退路を断ち、一気呵成にやり切る必要がある。ダラダラと時間をかけても、傷口を広げるだけだ。リストラの噂が流れると、抗議運動やメディアから叩かれて、会社のブランドを大きき毀損するリスクもある。
オレは、極秘に連日の徹夜作業で、従業員から後々訴訟を受けないように弁護士チームと徹底的に議論をし、慎重に慎重を重ねて手続きを策定した。解雇事由というのも法律で決まっていて、これに則った解雇を実施しなくては後からトラブルの原因になりかねない。

弁護士からは「日系企業では、弁護士を代理人として解雇通知するのがリスクがなくていい」と助言されたが、一緒に汗水たらして働いて くれた従業員たちに無味乾燥な弁護士からのレターで解雇するなんてことは、人間の道理に反するとオレは猛反対した。結果、従業員全員 に一人一人、懇切丁寧に説明をした。

お互い感情的になって怒鳴りあいをしてしまったこともあるが(笑)、でも最後は従業員側も理解を示してくれ、泣き崩れる人とは一緒に涙を流した。転職のためのレコメンデーション・レターには積極的にサインしたし、レファレンス・コールでは本人の強みを強調しまくった。オレの留学時代の同級生や、当時知り合ったヘッドハンターに力を借りた。

あの頃は本当に汗水流して、従業員の職探しに奔走したものだ。オレも自分であれぐらい転職活動をしていれば、今頃、もっと別の会社で偉くなっているかもな(笑)。

ところで、最も思いでに残っているのはどうしても最後まで転職先が見つからなかった男性だ。ただ今日は時間がないので、彼の話は次回に回そう。

T2