仏画と現代アート | 奈良 聖林寺ものがたり

奈良 聖林寺ものがたり

奈良の聖林寺 国宝十一面観音立像の光について
四十年来光背(光)の研究をしています。

仏像は、平安時代に編纂された、儀軌というお経文に、細かな像様についての記述があり、仏師にとっては、それから、外れてはならない、厳しい約束事です。
自由に表現されたかに見える、恩師西村公朝先生は、天台宗大僧正であり、正統の仏師でありましたから、儀軌から、外れることを、弟子達に厳しく戒めました。
私も弟子の最後尾に認めていただいた、不肖の弟子であると自負するものです。
今回は、作品制作の最後との決心もあり、沢山の方々の為にあるお寺に置かれる仏画ではなく、個人の、私人の、仏画を目指しましたので、これを欲しいと言われれば、出来る限り、その方の為に、描き足しました。

介護の為に、大学生の娘を一人、自宅に残して、横浜に移住するときには、玄関の守りに、お不動さまを描き残しました。
お不動様は、火炎に包まれる像様ですが、私は、あえて、天人を飛ばしました。

個展会場に来てくれた、現代アートの学芸員である、マキちゃんに、「私の仏画は現代アートだから」と、言い訳をすると、かなりの、大ウケでした。
あの世で、公朝先生に、睨まれると、覚悟しております。