『お墓の大問題』 | 湘南雑筆堂~本と美味いもん日記~

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湘南(?)に暮らし30年近く経ちます。30年も住んでいると、いろんな発見をするもんです。 
 そんなちょっとした湘南の発見を自分の読んだ本に絡めて皆様にお伝えできればなと思います。
 

今、自分の関心事「お墓」。
自分の両親は健在だし、すでに墓地は決めており、差し迫って「お墓」の準備が必要ってわけではないが、義理の母を6年前に亡くしてから、お墓に行く機会が増え、「お墓」について考える機会が増えた。

それまでは、せいぜい祖父母の墓参りに行くくらい。それももう何年前に行ったのかも思い出せない。

「お墓」って、そんなに身近ではないものについて最近よく考えるようになった。

昨年末に伝を頼り石材店を経営者に無理を言って話を聞かせてもらった。

そもそもお墓を建てる時の相談にどう乗るのか?とか、基本的なところから、今のお墓を取り巻く環境などに話しは広がり、一つ一つ丁寧にお話ししてくださった。

「まずは、墓地があるのか?」

墓地があれば、その区画に建てられる墓も自ずと決まってくる。

「終活」なんて言葉が流行り、エンディングノートなるものも世に広まったが、書き上げている人はせいぜい2%だとか。時に非現実的なことが書かれて遺族が頭を悩ますこともしばしば。家族がインタビューしながら書くのが活用できるエンディングノートになるのではないか。

2000年頃に『お墓がない』と言う映画が話題となり、生前墓を建てることがブームとなったが、現在は落ち着き全体の約20%程度になっているとのこと。

生前墓のメリットはじっくりと考えて墓を建てることができること。亡くなってからだと、四十九日に納骨することが一つの目安になるが、納骨の時期は人それぞれで、それに縛られることはない。

お墓のデザインは和型と呼ばれるものの注文よりも、洋型と呼ばれる横長のお墓が増えてきている。事実、新規で建てられるお墓の4割は洋型だとか。義母の墓も洋型で、義母が書いた筆跡をもとに石に文字を刻んであり、和型よりもモダンな印象を受ける。お墓のデザインなどを遺族が考えることで、お墓をより身近に感じさせることも重要。と言うのも、現在墓離れと言う問題が切実。私も前述したが、ご先祖様をお参りすることが、核家族化に伴い縁遠くなっている。子どもがいない世帯であれば墓を継ぐ者がなく無縁墓となる問題も生じている。

お墓の形態も様々で、樹木葬や数年後には合葬される永代供養、または散骨なんて形をとることもあり、それは一人一人の考え方により人様々。

市営墓地などの安価な墓地は高倍率で手に入れられず手元に遺骨が残ったままの家庭も相当数あると考えられている。
無縁仏が相当数ある世の中であり、介護と墓地への埋葬を一連の流れとした仕組み作りを社会として作ることも必要なのではないか。

最後にお墓とは何かとの問いに対しては
遺族が故人と向き合える場所であるとのこと。故人のためだけに墓はあるのではなく、墓を守って行く遺族のことも考えたものでなければいけないとの答えは説得力があった。

話しを聞き終えてから、この本が現代のお墓事情をよくまとめて書いていると一冊の本を下さったのが『お墓の大問題』。



上記の話がほぼほぼ網羅されており、話しを聞いた後で読んだおかげで、現代のお墓についてさらに理解が深まり整理できた。

多忙な中、お話を聞いて下さった石材店さん、ありがとうございました。大変参考になりました。