山﨑和義著『入門の入門・法律のしくみ』という書籍を紹介する。
私は基本を大切にします。基本がしっかり分かっていれば応用もできるというのが私の考え方です。逆に、基本が分からなければ応用できないと思っています。私は何よりも基本を大切にしています。山﨑和義氏著の『入門の入門・法律のしくみ』という書籍を通じて、法律の基礎の基礎を復習しました。
六法あるいは六法全書というように、法律の話をする時には、この六法という言葉が出てきます。これは文字通り六つの法律を意味します。憲法、民法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の六つの法律です。まず、憲法は国の基本的な体制、あるいは人権の尊重を謳う、その国の大黒柱的な存在となるべきものであり、他の法律は憲法をもとにして、その精神に沿うような規定がなされています。民法は、私的取引関係を円滑にするための規定、あるいは親族や相続関係などについて定めています。商法は、特に株式会社を中心とした会社関係や商取引に関する定めをしています。そして、民事訴訟法は、民法あるいは商法等に基づく民事上の争いに関して、どのように訴訟が行なわれるのか、その手続きの規定をしています。刑法は、いかなる場合に犯罪となるか、そしてその個別の刑罰の規定をしており、刑事訴訟法は、犯罪を犯した者に対し、いかなる手順で刑事罰を与えるか、その適正な手続きを規定しています。人権の保障との関係でいえば、捜査機関によって人権が侵害されるおそれが強いことから、運用上刑事訴訟法は、憲法との繋がりを最も強く求められる法律です。そして、この憲法および五つの法律はいずれも基本的なものであり、その基本的な法律を補うために、いくつもの補充的な立法がなされています。時の流れや時代の要請に従って、基本的な法律のみでは対応しきれなくなるからです。このような、六法とそれを補う法律などを収録した法令集のことを「六法全書」と呼んでいます。現在では、数百という法令が収録されていますが、あくまでもその基本は六法ということから、今後法令数がいくらか増えたとしても、「六法全書」という呼び名が変わることはないでしょう(16頁参照)。
社会の利益や道徳に反する行為は民事上認められません。それを公序良俗に反すると言います。Aという人が賭博をして、大負けしたとします。ところが負けた分を支払えず、その支払いを目的としてBという人からお金を借りたとしましょう。後になってAがこのお金を返してくれないという場合、果たしてBは、この貸金の回収をすることができるでしょうか。賭博というのは刑法に違反するというだけではなく、民法上では公の秩序または善良の風俗に反することを目的とするものであり、公序良俗違反と言われています。そして、その公序良俗違反行為に関連したお金の貸付けもまた、公序良俗に反し無効であるということになります。したがって、Bはこの貸金を回収できないということになります。なお、「公序」というのは「公の秩序」のことですが、国家社会の一般的利益を指すと言われ、「良俗」というのは「善良の風俗」であり、社会の一般的道徳観念を指すと言われています(28頁参照)。つまり公序良俗違反の契約は民法上成立しないということです。いくら契約しても犯罪の契約は成り立たないのです。